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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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33/47

奪還 ――闇に堕ちた共鳴――

海沿いの港町。


潮の匂いと、錆びた鐘の音。


そこにいた。


三人目の共鳴者。


名はレオン。


王都出身の元騎士見習い。


剣は未完成。


だが心は強い。


「王が間違ってるなら、俺が止める」


真っ直ぐな男だった。


聖剣は確かに共鳴した。


仲間になるはずだった。


――その瞬間。


空が、割れた。


黒い裂け目。


重力が歪む。


港の水面が逆流する。


リュカが歯を食いしばる。


「来る……!」


降り立つ影。


黒衣。


長いマント。


世界を見下ろす眼。


魔王。


圧倒的な静寂。


誰も動けない。


風さえ止まる。


魔王はレオンを見る。


「お前か」


レオンが剣を構える。


震えている。


だが、退かない。


「……何だ、お前」


魔王は一歩踏み出す。


空気が軋む。


「光は、未完成ほど美しい」


その言葉と同時に。


レオンの剣が暴走する。


聖剣の共鳴が、狂う。


リュカが叫ぶ。


「やめろ!!」


だが遅い。


黒い魔力が、レオンの胸に流れ込む。


拒絶。


叫び。


光と闇が衝突する。


港が崩壊する。


ガルドが吹き飛ぶ。


ノアが結界を張る。


ミラが魔力をぶつける。


効かない。


魔王は、ただ触れているだけだ。


レオンの目が白く染まる。


「俺は……俺は……」


聖剣の共鳴が、ねじ曲がる。


光が黒に侵食される。


魔王が微笑む。


「選択を与えよう」


「王の犬か」


「私の剣か」


レオンが叫ぶ。


「俺は――」


次の瞬間。


闇が爆発した。


衝撃波。


全員が地面に叩きつけられる。


煙が晴れる。


魔王の腕の中に、レオンがいる。


目は、闇色。


剣は黒く染まっている。


聖剣の鼓動が、悲鳴のように鳴る。


リュカが立ち上がる。


「返せ……!」


魔王は視線だけを向ける。


その一瞥で、膝が震える。


「奪ったのではない」


「選んだのは、彼だ」


嘘だ。


だが、完全な嘘でもない。


レオンの中にあった怒り。


王への失望。


守れなかった過去。


そこに闇が差し込んだ。


魔王は空へ浮く。


「光は、闇があってこそ輝く」


「奪い返してみせよ、勇者」


裂け目が閉じる。


静寂。


港は半壊。


波が戻る。


リュカは歯を食いしばる。


聖剣が震えている。


怒り。


悔しさ。


そして――恐怖。


エリアが震えた声で言う。


「私たちも、ああなるの?」


ノアが静かに答える。


「共鳴は、均衡だ」


「どちらにも傾く」


カイルが拳を握る。


「取り戻すぞ」


ガルドが立ち上がる。


「当たり前だろ」


リュカは海を見る。


まだ、レオンの残滓が残っている。


共鳴は消えていない。


繋がっている。


完全には堕ちていない。


リュカは剣を握る。


「助ける」


迷いはない。


「仲間だからだ」


聖剣が強く鳴る。


遠く。


魔王城方向。


黒く歪んだ共鳴。

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