共鳴 ――光は世界へ広がる――
聖剣が覚醒した夜。
王都を貫いた光は、消えていなかった。
空の彼方へ伸び、
山を越え、海を越え、
世界の端へと走った。
その瞬間。
各地で“何か”が起きる。
■ 北方の雪原
吹雪の中、ひとりの少女が魔物に囲まれていた。
細い剣。
震える手。
もう限界。
そのとき。
剣が、淡く光る。
少女の目が見開かれる。
「……なに、これ」
吹雪が割れる。
一閃。
魔物が凍りつき、砕ける。
少女は呆然と立ち尽くす。
胸の奥が、熱い。
■ 砂漠の交易都市
盗賊に追い詰められた少年。
逃げ場はない。
その瞬間。
首から下げていた古いペンダントが光る。
少年の拳に、光が宿る。
無意識の一撃。
砂嵐が巻き起こる。
盗賊たちが吹き飛ぶ。
少年は、呆然と空を見る。
遠く、光の柱。
「……呼ばれてる?」
■ 東の島国
道場の片隅。
木刀を振る青年。
突然、刀身に白い光が走る。
空気が震える。
師範が目を見開く。
「……何だ、その気配は」
青年の心臓が高鳴る。
知らないはずの鼓動。
どこか遠くで、誰かが剣を抜いた感覚。
■ 魔王城・玉座
魔王が、ゆっくりと目を閉じる。
「広がったな」
側近の魔将が眉をひそめる。
「勇者は一人では?」
魔王が笑う。
「違う」
「核が目覚めれば、波は伝わる」
玉座の背後。
古い壁画。
そこには描かれている。
五つの光。
王に抗う者たち。
■ 王城地下
王が静かに玉座に座る。
契約騎士団の隊長が膝をつく。
「世界各地で異常反応」
王は目を細める。
「聖剣は“選ばなかった”か」
黄金の紋様がわずかに乱れる。
「一極ではなく、分散」
低く呟く。
「最悪だ」
■ 王都・城壁跡
リュカが夜空を見上げている。
聖剣は静かに光を宿している。
だが――
遠くから、微かな反応。
同じ波長。
ノアが震える声で言う。
「これ……王都だけじゃない」
ミラが目を輝かせる。
「他にもいるってこと?」
アルヴァンが腕を組む。
「共鳴者……」
ガルドが笑う。
「勇者量産か?」
リュカは首を振る。
「違う」
胸の鼓動。
確かに繋がっている。
遠くの誰かと。
「たぶん」
「“仲間”だ」
風が吹く。
聖剣が、静かに鳴る。
一人の勇者。
ではなく。
世界に散った光。
王の均衡。
魔王の破壊。
そのどちらにも属さない第三の波。




