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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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31/47

共鳴 ――光は世界へ広がる――

聖剣が覚醒した夜。


王都を貫いた光は、消えていなかった。


空の彼方へ伸び、


山を越え、海を越え、


世界の端へと走った。


その瞬間。


各地で“何か”が起きる。


■ 北方の雪原


吹雪の中、ひとりの少女が魔物に囲まれていた。


細い剣。


震える手。


もう限界。


そのとき。


剣が、淡く光る。


少女の目が見開かれる。


「……なに、これ」


吹雪が割れる。


一閃。


魔物が凍りつき、砕ける。


少女は呆然と立ち尽くす。


胸の奥が、熱い。


■ 砂漠の交易都市


盗賊に追い詰められた少年。


逃げ場はない。


その瞬間。


首から下げていた古いペンダントが光る。


少年の拳に、光が宿る。


無意識の一撃。


砂嵐が巻き起こる。


盗賊たちが吹き飛ぶ。


少年は、呆然と空を見る。


遠く、光の柱。


「……呼ばれてる?」


■ 東の島国


道場の片隅。


木刀を振る青年。


突然、刀身に白い光が走る。


空気が震える。


師範が目を見開く。


「……何だ、その気配は」


青年の心臓が高鳴る。


知らないはずの鼓動。


どこか遠くで、誰かが剣を抜いた感覚。


■ 魔王城・玉座


魔王が、ゆっくりと目を閉じる。


「広がったな」


側近の魔将が眉をひそめる。


「勇者は一人では?」


魔王が笑う。


「違う」


「核が目覚めれば、波は伝わる」


玉座の背後。


古い壁画。


そこには描かれている。


五つの光。


王に抗う者たち。


■ 王城地下


王が静かに玉座に座る。


契約騎士団の隊長が膝をつく。


「世界各地で異常反応」


王は目を細める。


「聖剣は“選ばなかった”か」


黄金の紋様がわずかに乱れる。


「一極ではなく、分散」


低く呟く。


「最悪だ」


■ 王都・城壁跡


リュカが夜空を見上げている。


聖剣は静かに光を宿している。


だが――


遠くから、微かな反応。


同じ波長。


ノアが震える声で言う。


「これ……王都だけじゃない」


ミラが目を輝かせる。


「他にもいるってこと?」


アルヴァンが腕を組む。


「共鳴者……」


ガルドが笑う。


「勇者量産か?」


リュカは首を振る。


「違う」


胸の鼓動。


確かに繋がっている。


遠くの誰かと。


「たぶん」


「“仲間”だ」


風が吹く。


聖剣が、静かに鳴る。


一人の勇者。


ではなく。


世界に散った光。


王の均衡。


魔王の破壊。


そのどちらにも属さない第三の波。

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