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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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30/47

聖剣覚醒 ――応えろ、光――

戦いが終わった夜。


王都は静まり返っていた。


半壊した街。


応急処置の灯り。


遠くで泣き声。


リュカは城壁跡に座っていた。


包帯だらけ。


腕は震え、体は重い。


昼間の光景が頭から離れない。


王。


魔王。


自分の無力。


隣にアルヴァンが立つ。


「怖かったか」


リュカは笑う。


「当たり前だろ」


沈黙。


夜風が吹く。


そのとき。


王城跡の地下から、淡い光が立ち上る。


ノアが息を呑む。


「……反応、出ました」


地面が震える。


石が割れる。


王都中央、崩れた玉座の奥。


封印されていた祭壇が姿を現す。


そこにあるのは――


一本の剣。


古びている。


鞘に収まったまま。


だが、存在感が違う。


空気が澄む。


魔力が静まる。


ミラが呟く。


「……これが」


アルヴァンが低く言う。


「聖剣」


誰も触れていないのに。


剣が、微かに震える。


リュカの胸が熱くなる。


心臓と同じ鼓動。


一歩。


無意識に近づく。


王の声が、遠くで響く。


「まだ早い」


魔王の声も、どこかで笑う。


「壊れるぞ」


リュカは止まらない。


祭壇の前に立つ。


手を伸ばす。


触れた瞬間。


世界が白く弾ける。


――光の中。


見知らぬ場所。


広い草原。


空が澄んでいる。


目の前に立つ影。


鎧をまとった青年。


優しい目。


「初代……勇者?」


影は笑う。


「違う」


「ただの、人間だ」


リュカは睨む。


「選ばれに来たわけじゃない」


影が頷く。


「知っている」


「お前は“均衡”を壊そうとしている」


リュカは答える。


「壊して、作り直す」


影が問いかける。


「一人でか?」


リュカは首を振る。


「仲間とだ」


沈黙。


そして、影が剣を差し出す。


「ならば応えよう」


光が収束する。


現実に戻る。


リュカの手が、柄を握っている。


眩い光。


王都全域を照らす。


魔力が浄化される。


瘴気が消える。


契約騎士団の鎧が軋む。


遠くの魔王城まで光が届く。


魔王が目を細める。


「……来たか」


王が玉座で目を閉じる。


「均衡が、揺らぐ」


リュカが、ゆっくりと剣を抜く。


刃が現れる。


白銀。


だが内部に、五色の光が流れている。


仲間の色。


一人の力じゃない。


聖剣が、鳴る。


共鳴。


ミラが息を呑む。


「綺麗……」


ガルドが笑う。


「似合ってんじゃねぇか」


アルヴァンが静かに言う。


「もう候補じゃないな」


リュカは剣を握る。


重い。


責任の重さ。


でも、折れない。


夜空に掲げる。


光が天を貫く。


「私は」


息を吸う。


王都中が見ている。


「勇者になる」


宣言。


聖剣が完全に覚醒する。


地面に刻まれていた王の黄金紋が、一部砕ける。


均衡に、亀裂。


世界が、新章へ入る。

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