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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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三つ巴

第五層へ続く回廊。


壁は黒い結晶で覆われ、足元は細い橋。


下は奈落。


魔力が濃い。


リュカたちは慎重に進んでいた。


そのとき。


カン、と乾いた音。


金属が擦れる音。


全員が止まる。


橋の向こう側。


白銀の鎧。


整列した十数名。


中央に立つのは、背の高い男。


青い外套。


鋭い眼差し。


アルヴァンが低く呟く。


「……王国騎士団」


リュカの胸がざわつく。


どうしてここに?


レオニスが一歩前へ出る。


「侵入者四名を確認」


声は冷静。


「元魔族アルヴァン。そして勇者候補リュカ」


ガルドが舌打ちする。


「追いかけてきやがったか」


ノアが小声で言う。


「戦力的に不利。だが向こうも消耗している様子」


レオニスの視線がリュカを射抜く。


「聖剣が反応した」


リュカが息を呑む。


「王都の聖剣が、お前を指している」


空気が張り詰める。


「よって、王命により――」


剣を抜く。


「身柄を確保する」


ガルドが前に出る。


「ふざけんな」


アルヴァンの目が鋭くなる。


「ここは敵地だ。内輪揉めしてる場合か」


レオニスは一切揺れない。


「王の管理下にない勇者は、国家の不安要素だ」


リュカが叫ぶ。


「私は戦ってる!魔王を止めるために!」


「証明がない」


冷たい一言。


その瞬間。


空気が震えた。


ドォン――


橋の奥。


結晶の壁が砕ける。


黒い巨体が現れる。


四足。


甲殻に覆われた魔獣。


巨大な単眼。


魔力が噴き出す。


ノアが叫ぶ。


「上層守護獣!」


最悪のタイミング。


レオニスが即座に判断する。


「第一小隊、迎撃!」


騎士団が陣形を組む。


リュカたちも反射で構える。


魔獣が咆哮。


衝撃波。


橋が揺れる。


騎士団の一人が吹き飛ばされる。


奈落へ落ちそうになる。


リュカが跳ぶ。


腕を掴む。


「離さない!」


引き上げる。


騎士が驚愕の目で見る。


レオニスが一瞬だけ目を細める。


魔獣が突進。


橋が軋む。


アルヴァンが炎を放つ。


「ブレイズ・スラッシュ!」


甲殻に焦げ跡。


だが浅い。


ガルドが横から叩く。


「硬ぇ!」


ノアが叫ぶ。


「単眼が核!」


だが位置が高い。


届かない。


レオニスが命じる。


「全員、散開包囲!」


騎士団が一斉に動く。


統率は完璧。


さすが王国最強。


だが。


魔獣が尾を振る。


三人まとめて吹き飛ぶ。


橋に亀裂。


崩れ始める。


リュカが歯を食いしばる。


「協力するよ!」


レオニスが一瞬だけ迷う。


だがすぐ頷く。


「……一時共闘だ」


三つの勢力が動く。


アルヴァンが魔獣の足を炎で拘束。


ガルドが正面を引き受ける。


騎士団が側面を抑える。


ノアが魔力を集中。


「リュカ、今なら跳べる!」


魔獣が咆哮。


リュカは走る。


崩れる橋を蹴る。


跳躍。


光剣が輝く。


レオニスが驚く。


その光。


王都で見た、聖剣の波長と同じ。


リュカが叫ぶ。


「シャイニング・スラッシュ!!」


一直線。


単眼を貫く。


爆発。


魔獣が崩れる。


橋の中央で、巨体が沈む。


静寂。


荒い呼吸。


騎士団とリュカたちが向き合う。


敵ではない。


でも、味方でもない。


レオニスが剣を収める。


「……確かに、勇者の光だ」


リュカは息を整えながら言う。


「私は捕まらない」


「魔王を倒すまで」


レオニスはしばらく黙る。


そして。


「王命は絶対だ」


空気が再び張り詰める。


そのとき。


城の奥から、低い笑い声。


魔王の気配。


「愚かだな、人間ども」


空間が歪む。


第五層の扉がゆっくり開く。


さらに強烈な魔力。


三者が同時にそちらを見る。


レオニスが低く言う。


「ここで争えば全滅だ」


アルヴァンが頷く。


「一時休戦だ」


リュカは光剣を握る。


三つ巴は終わっていない。


むしろ、これから本番。


魔王。


勇者。


王国。


それぞれの思惑が交差する。

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