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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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魔王城・第二層守護者戦

守護者の男は、ゆっくりと指を鳴らした。


空間が歪む。


次の瞬間、床が砕けた。


「散開!」


ノアの声。


四人が跳ぶ。


砕けた床の下は、奈落。


浮遊する足場だけが点在している。


第二層――空中回廊。


「歓迎しよう、侵入者」


守護者が空中に立つ。


足場もないのに、立っている。


「私はゼルヴァ。魔王城第二層管理者」


リュカは歯を食いしばる。


「管理者って、何よ」


「君たちは試される」


ゼルヴァの視線がアルヴァンへ向く。


「特に君は」


アルヴァンの腕がまた疼く。


「くっ……!」


黒い魔力がにじむ。


ゼルヴァが笑う。


「契約はまだ生きている。私はそれを“起動”できる」


パチン、と指が鳴る。


アルヴァンの体が宙に浮いた。


「ぐああああ!」


鎖の幻影。


今度はさっきより濃い。


リュカが足場を蹴る。


「やめろ!!」


跳躍。


だが空間がねじれ、距離が伸びる。


届かない。


「ここでは空間そのものが私の剣だ」


ゼルヴァが腕を振る。


空間の刃が飛ぶ。


ガルドが受け止める。


「ぐっ……重っ!」


ノアが詠唱。


「凍てつけ!」


氷の柱が足場をつなぐ。


「リュカ、上!」


足場が一直線になる。


リュカは走る。


一直線に。


恐怖を振り切る。


「アルヴァン!!」


アルヴァンの目が揺れる。


「……来るな……」


「来るに決まってるでしょ!」


跳ぶ。


空中で剣を握り直す。


ゼルヴァが眉を上げる。


「愚かだ」


空間が圧縮される。


押し潰される。


息が止まりそうになる。


でも。


前より、怖くない。


「もう仲間を取られるのは嫌なんだ!」


光が刃に宿る。


「シャイニング・スラッシュ!!」


一直線の閃光。


空間の歪みを裂く。


鎖に当たる。


ギギギ、と軋む。


ゼルヴァが目を細める。


「光属性……?」


もう一撃。


ガルドが叫ぶ。


「ぶち抜けぇ!!」


ノアが魔力を重ねる。


「出力、最大!」


光が増幅する。


アルヴァンが歯を食いしばる。


「俺は……選んだ……!」


鎖が砕ける。


今度は完全に。


爆発。


空中に魔力が弾ける。


アルヴァンが落ちる。


リュカが抱き止める。


ゼルヴァの表情が変わった。


初めて、焦り。


「契約の完全破壊……だと?」


アルヴァンが立つ。


もう赤い瞳じゃない。


剣を構える。


「返してもらう」


炎が走る。


「ブレイズ・スラッシュ!!」


一直線の炎。


ゼルヴァの結界を焼き切る。


ガルドが突っ込む。


「どけぇ!!」


重撃。


空間が揺れる。


ノアが最後の詠唱を放つ。


「座標固定――砕けろ!」


足場が収束する。


ゼルヴァの動きが止まる。


その一瞬。


リュカが踏み込む。


「決めるよ!」


光が最大まで膨れ上がる。


「――シャイニング・スラッシュ・ブレイク!!」


閃光が一直線に走る。


ゼルヴァの胸を貫く。


沈黙。


そして、崩壊。


第二層が揺れる。


守護者が消え、空間が安定する。


浮遊していた足場が一つに繋がる。


静寂。


荒い息。


アルヴァンが自分の腕を見る。


契約痕は、薄くなっている。


「……切れた」


ノアが頷く。


「魔王城の支配からは外れた」


ガルドが笑う。


「スッキリした顔してやがる」


リュカも笑う。


でもそのとき。


城の奥から、重低音。


ドォン……


空気が震える。


ノアの顔が硬くなる。


「上層が動き出した」


アルヴァンが前を見る。


遠く、黒城の中心部。


巨大な塔が脈打っている。


リュカが静かに言う。


「……近づいてる」


魔王に。


そして。


まだ誰も知らない。


この城の最上層に待つ“真実”を。

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