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勇者はだれ?  作者: 臥亜


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13/47

契約の鎖

第二層へ続く階段は、やけに長かった。


黒い石を踏むたび、音がやけに大きく響く。


誰も喋らない。


さっきの戦いの余韻が、まだ体に残っている。


そのとき。


アルヴァンの足が止まった。


「……っ」


右腕を押さえる。


契約痕が、ドクンと脈打つ。


赤黒い光が一気に広がる。


「アルヴァン?」


リュカが一歩近づいた瞬間――


爆発。


黒い魔力が吹き荒れる。


「離れろ!!」


ガルドがリュカを引き寄せる。


風が止む。


空気が重く沈む。


アルヴァンがゆっくり顔を上げる。


瞳が、赤い。


感情が、ない。


「命令、確認」


その声は、冷たい。


ノアの顔色が変わる。


「魔王城が契約を引っ張ってる……!」


床の紋様が浮かび上がる。


この城そのものが、アルヴァンを“所有物”として呼んでいる。


「裏切り者」


アルヴァンが呟く。


「排除」


踏み込んだ。


速い。


リュカは反射で剣を構える。


ガキンッ!!


重い。


腕がしびれる。


「アルヴァン!目を覚まして!」


反応はない。


闇が刃にまとわりつく。


二撃目。


三撃目。


速い。重い。


ガルドが横から弾く。


「正気じゃねぇ!」


ノアが叫ぶ。


「精神を握られてる!罪悪感を刺激されてる!」


罪悪感。


裏切った過去。


魔族だった事実。


そこを、掴まれてる。


アルヴァンが再び踏み込む。


リュカは受け止める。


足がズレる。


怖い。


でも。


逃げたくない。


「あなたが選んだんでしょ!」


リュカが叫ぶ。


剣を押し返す。


「王都を守るって、自分で決めたでしょ!」


アルヴァンの瞳が揺れた。


ほんの一瞬。


「……守る」


かすれた声。


ノアが叫ぶ。


「今だ!」


リュカは踏み込む。


「シャイニング・スラッシュ!!」


閃光。


でも、斬らない。


刃を契約痕に当てる。


光が流れ込む。


闇が暴れる。


階段が軋む。


アルヴァンが叫ぶ。


黒い鎖の幻影が浮かぶ。


ギリギリと締め付ける鎖。


リュカは歯を食いしばる。


「離せ!!」


光が強くなる。


パキン、と音がした。


鎖にひびが入る。


もう一度。


「アルヴァン!!」


叫びと同時に、鎖が砕けた。


紫の光が弾ける。


静寂。


アルヴァンの体が崩れ落ちる。


リュカが抱きとめる。


荒い呼吸。


赤い瞳が、ゆっくり戻る。


「……止められた、か」


ノアが息を吐く。


「完全じゃない。でも今は大丈夫」


ガルドが肩を叩く。


「ったく、心臓に悪ぃ」


アルヴァンは苦く笑う。


「城が俺を“鍵”にしてる」


その言葉が落ちた瞬間。


パチ、パチ、と拍手。


階段の上。


紫の霧の向こうに、人影。


細身の男がゆっくり歩いてくる。


「実に美しい友情だ」


目が冷たい。


「だが無意味だ」


アルヴァンの腕が、また疼く。


「彼は我らの契約者」


男が微笑む。


「返してもらおう」


空気が一気に重くなる。


圧力。


魔力が収束する。


ノアが叫ぶ。


「第二層の守護者!」


リュカはアルヴァンを後ろに下げる。


剣を構える。


怖い。


でも。


さっき、鎖は砕けた。


完全じゃなくても。


切れ目はできた。


「奪わせない」


リュカが前へ出る。


ガルドが並ぶ。


ノアが魔力を練る。


アルヴァンも立ち上がる。


「……今度は、俺が守る」

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