ヒネモス・ヒメモス

近未来の日本、大手製薬会社に勤めるトランスジェニック生物（遺伝子組み換え生物）の研究者、関川ノボルは禁忌の実験に参加してしまう。その禁忌の実験というのは、あるウィルスに抵抗のある豚の遺伝子を組み込んだヒトをつくりだすという、倫理を踏み越えた実験だった。ノボルは罪の念から、そのつくられた少女ヒメモスを研究所から連れ出す。それから始まる二人の逃避行。しかしヒメモスの身体は世間で生きるにはあまりにも弱く、虚弱で、その命も数年以内に絶えてしまうという残酷な運命を背負っていた。それでも二人は思い出をつくるために、様々な行動をする。ノボルの葛藤、ヒメモスの好奇心、この二人は世界に何を見るのか。