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騎士団長の誰かが、魔王軍  作者: 自ら


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第四日文書:鹵獲文書

鹵獲文書 訳文(抄) 受領:第四日 五刻 宛:監察官 エリアス・ヴェント殿 発:前線司令部 文書課


附記。第二騎士団の騎兵斥候が三日前、敵伝令一名を捕捉し、囊中より押収せる文書である。第九騎士団の訳を経て、監査の参考資料として回付する。原文は情報団保管。

――以下、訳文。

「魔王軍前線諸隊に告ぐ。

王国の疲弊は、諸隊の見る通りである。彼らの冬営の穀は、集積九千二百六十石を数えるのみ。南方よりの補充兵は、この一巡でおよそ四百。渡河の舟は三十六艘に満たない。八年の重みは、我らよりも深く彼らの背にある。

聞くところによれば、王国は近く大攻勢を企図するという。恐れる要はない。窮した者ほど、大きく振りかぶる。振りかぶった腕は、胴を空ける。諸隊は持ち場を固め、命令を待て。

なお、諸隊の内に停戦の流言を口にする者があると聞く。和議を説く声は、老いた氏族の迷いである。流言を口にする者、これを広める者は、氏族の別なく軍規に照らす。

我らは待つ。王国の台所事情は、彼ら自身より、我らがよく知る」

――訳文、以上。


訳注。文中「老いた氏族」は、魔王国内の有力氏族の一部を指すものと思われるが、特定に至らない。

以上

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