第二日文書:戦闘詳報
第六騎士団前哨部隊 戦闘詳報(抄) 受領:第二日 五刻 宛:監察官 エリアス・ヴェント殿 発:前線司令部 文書課
附記。本詳報および末尾の添付資料は、監察官の請求に基づく基礎資料として送付するものである。
一、行軍経過
前哨部隊(総員五十名。騎士団長ロタール・ヘム以下)は、灰の谷北方の哨戒線再構築のため発進。行軍二日目、第一騎士団長クローム卿の要請により、宿営地を丘陵北縁に変更している。三日目早朝、隘路通過中に伏撃を受けた。
二、戦闘経過(抄)
「敵は隘路最狭部の両側稜線に布陣し、先頭と後尾を同時に撃てり」 「退路に当たる木橋は、戦闘開始の時点に於いて既に焼失せるを確認す」 「敵陣地に炊爨の跡あり。布陣は半日以上前と認む」 「敵は我が方の進路を、既知の如く待ち受けたり」
三、損耗
戦死四十七名(騎士団長ヘム卿を含む)。生還三名。総員五十名中、馬匹・輜重の全てを喪失。
四、所見
伏撃地点の選定、布陣の時期、退路の遮断、いずれも我が方の行程を事前に知らなければ成立しない。本件は偶発の遭遇に非ず。ただし情報の出所に関する調査は、本詳報の所掌外である。
添付。文書統制改定記録(王国暦八〇年)写し
要旨。写し台帳の一元化、保管権限の整理、回覧順の明文化の三点を定め、施行する。 委員。フェルゼン参謀次長(議長)、ロデル、カステル、モロー、ヴィヨン、ダンヴェール、ギース、クレセ、ボワロー、ユメール、ラング、ペトリ、外二名。
以上の通り、請求に係る基礎資料を送付する。なお生存者三名の証言記録は別紙とするが、内一名の証言を左に付す。
「橋は、我々が着く前から、燃えていた」




