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騎士団長の誰かが、魔王軍  作者: 自ら


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第十二日文書:供述調書

供述調書(第一回・抄) 受領:第十二日 五刻 宛:監察官 エリアス・ヴェント殿 発:前線司令部 文書課(参謀本部直轄尋問の記録)

供述者。ヨルグ・ヴェルナ。第七騎士団長(勅命により拘束中)。 尋問事項。魔王軍への内通の嫌疑に係る事実関係。


一、内通の事実について

「認める。開戦の二年目からだ。八年のうち、六年になる」


二、経路について

「配られた紙は、写して流した。自分宛に正規に届く文書だ。写しは自分の手で作った。誰にも触らせなかった」

「配られない紙は、拾って読んだ。中継所には、袋から落ちる紙がある。荷に紛れて、宛先と違う場所に着く紙がある。哨戒は毎夜あの結節点を回る。拾うのに、忍び込む必要はなかった。職分の外の紙は、そうやって手に入れた」

「拾える紙は選べない。良い紙の夜もあれば、屑ばかりの夜もあった。誰かが置いていた、とは考えなかった。迷い込む紙は、大抵ゴミだった」


三、出自について

「灰の谷の生まれだ。集落は、もうない。それ以上、何を訊きたい」

「開戦のときの忠誠審査に、誤りはない。あの日の俺は、潔白だった。変わったのは、その後だ」


四、尋問官所見

供述者は、以下の問いに答えない。

数字への変換の方法。 受け渡しの手段および場所。 魔王国側の受け手の氏名、所属、その他一切。

答えない理由を問うたところ、供述者は「それだけは、最後まで」と述べ、以後この項に関する問いには沈黙した。

供述態度は一貫して平静。事実関係の供述に虚偽の徴候を認めない。尋問は継続する。

以上

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