表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

霧雨に溶ける村

民俗学者の雅彦(まさひこ)は、一年を通して霧と小雨に包まれているという山奥の「湿り村(しめりむら)」の調査に訪れた。村は常に高い湿度に覆われ、家々の壁は苔生し、村人たちの肌は蝋のように白く、じっとりと濡れていた。彼らは雅彦を穏やかに迎え入れるが、その会話はどこか要領を得ず、焦点の合わない瞳は霧の奥を見ているかのようだった。村に滞在するうち、雅彦の身体にも異変が現れ始める。思考は鈍化し、常に気怠い眠気に襲われる。そして何より、自分の身体の輪郭が曖昧になり、周囲の湿った空気に溶け出していくような奇妙な感覚に囚われるようになった。この村は、かつて飛来した隕石に含まれていた未知の液体生命体の影響下にあり、村人たちは人間と水の境界が失われつつある存在と化していたのだ。彼らは雅彦が新たな同胞として完全に「溶け合う」ことを待ち望んでいた。「さあ、あなたも一つになりましょう。雨は、気持ちがいいですよ」。霧の中から現れた村人たちに囲まれた時、雅彦はすでに逃げる気力も、人間としての自我も失いかけていた。
湿った誘い
2025/08/15 10:28
境界の溶解
2025/08/16 07:34
最後の記録
2025/08/19 10:24
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ