「デデーオー」+「ホテル」
「自業自得というか、何というか」
ベイカーが呆れている。
一方で、チャーリーは爆笑している。
「この国の未来は明るいな♪」
「まったくだ」
アーノルドはそう同調してから、
「つまり、芸能事務所を解雇されて、三男は金に困っているわけか」
金。殺人の動機としては、定番の一つだ。
(もしも、三男が丘の上の館にいたなら)
そして、「被害者」が大富豪(三男の父親)なら、三男が「犯人」の最有力候補になる。
(とはいえ、まだ『推理』の初期段階だし、いろいろな可能性を考えるべきだな)
今は自由に意見を口にした方がいい。そこから次の『推理』が始まるのだ。
三男が犯人じゃない可能性について、アーノルドは考えてみる。
たとえば、三男が今この瞬間、町のホテルにいるなら、丘の上の館にはいない。
だが、「館に共犯者がいる」とか、「遅効性の毒を使った」とか、「館に何か罠を仕掛けた」とか、そういうこともあるわけで・・・・・・。
そんな可能性の数々を、ひとまずメモ用紙に書いておく。
とりあえず、まずは「三男が今どこにいるのか」を知っておきたい。
デデーオーに頼んで、この町にあるホテルの『宿泊者記録』を、大急ぎで調べてもらう。
「んー、どこの『宿泊者記録』にも、三男の名前は載っていないみたいだね。『偽名』を使っているのかも」
この町に着いてから、三男はクレジットカードを使用していないそうだ。その使用履歴から、三男の行動をたどることはできない。
「三男は普段、どのくらいの頻度で、クレジットカードを使っているんだ?」
ベイカーがデデーオーに尋ねる。
「結構な金額を、結構な頻度で使っていたみたいだね。芸能事務所を解雇されてからは、金額も頻度も減っているけれど、それでも毎日必ず一回は使っている」
「それがいきなり、クレジットカードを使わなくなったのか・・・・・・」
考え込むベイカー。
「使う必要がないのか。それとも、使うことができる状況にないのか」
そのつぶやきを聞いて、アーノルドも考える。
前者の理由としてありそうなのは、「実家に帰ったから」だろうか。
で、後者の理由としては、「クレジットカードの利用限度額に達したから」とか、「『偽名』を使っているから」とか。あとは、「本人が死亡しているから」とか。
(・・・・・・)
アーノルドの思考が、さっきと同じ場所にたどり着く。
やはり、「三男が今どこにいるのか」が重要だ。それがわかれば、いくつもの選択肢を消すことができる。
この台風だ。三男がずっと屋外にいるとは、考えにくい。
では、いったい「どこ」にいるのか?
そこでチャーリーがゆっくりと口を開く。
「アーノルドよ、掘っても掘っても答えが出ない時には、別の穴を掘ってみるもんだ」
さらに視線を他の二人に向けると、
「ベイカーとデデーオーよ、ゴールデン・チャーリーからのありがたい助言だ。この町で三男を見かけたのが何人もいるんだろ? そいつらから情報を聞くってのは、どうだ?」
「なるほど」
二人の声が重なる。
そして、彼らが告げたのは、同じ名前だった。




