「デデーオー」+「ピザ」
「支払いは俺で、その何とかってポイントは、おまえのものか」
「だって、こういうの興味ないでしょ。ポイント集めて、景品と交換。前に景品カタログを見せたら、鼻で笑っていたよね」
デデーオーに言われて、アーノルドは記憶を掘り起こす。
「あれがそうだったのか」
たしか、ヒーロー映画とのコラボグッズとか、そういう物がたくさん載っていた。
アーノルドとデデーオーが自分たちの席に戻ると、
「クワトロフォルマッジ!」
チャーリーが叫ぶ。
「どれだ? クワトロフォルマッジは」
「一発で当ててみてよ」
「よし、それだ! デデーオー、おまえが右手に持っているやつ」
「ぶぶー。残念でした。クワトロフォルマッジは売り切れだったよ(僕の中では、だけどね)。だから、別のにした。新しい味とめぐり会える素敵なチャンス♪」
「おお! 何てことだ! 俺のことを愛してくれる神は、この世界にいないのか!」
落胆するチャーリー。それを笑いながら慰めるデデーオー。
そんな二人を横目で見ながら、
「俺たちがいない間に、何か進展はあったか?」
アーノルドはベイカーに聞く。
「パトロール中の班から連絡があった。土砂崩れは本当だ。丘の上への道が、完全にふさがっているらしい」
それ以外には何もなかったという。庭師からの電話もかかってきていない。
「わかった。みんな、少し休憩しよう。まずは頭に栄養を、だ」
しばしの食事タイムに入る。
ピザを一人一枚。チャーリー、アーノルド、ベイカー、デデーオーの順に食べ終わった。
ピザが入っていた箱を四人で片づけたあと、アーノルドは言う。
「さて、それでは『推理』を再開するか。まずはもう一度、状況を確認しておこう」
現在の時刻は「午後十一時」。
問題の電話があったのは「午後十時十五分」頃だ。
丘の上にある館からで、執事が電話をかけてきた。あの館で殺人事件が起きたらしい。
ただし、途中で電話は切れてしまった。電話回線に何か問題が発生したようだ。
台風により外は暴風域。館につながる唯一の道は、土砂崩れで通行不能だ。今すぐ警察が、現場に駆けつけることはできない。
だから、アーノルドは『推理』することを提案した。
あの館で何が起きたのか。
重要そうなポイントを前もって話し合っておいて、それを『初動捜査』に活かすのだ。これは、そのための『推理』である。
「事件当時、あの館にいたと思われるのは――」
館の主人(大富豪)
執事
メイド(金髪)
メイド(黒髪)
料理人
運転手
(三男?)
書き直したメモを、他の三人に見せる。
本来なら、ここに「庭師」も入るのだが、
「チャーリー、庭師からの電話は?」
彼は昨日から、西海岸に行っているそうだ。親戚の結婚式があるらしい。
「まだ電話はかかってきていないぞ。どうする? こっちからもう一回かけてみるか?」
「いや、もう少し待とう」
「その結婚式は案外、アリバイ工作だったりしてな」
ベイカーが口を挟んでくる。
アーノルドは思った。あり得ない話ではない。庭師にとっては、自分の留守中に起きた殺人事件だ。容疑者からは外される。
「庭師のアリバイは、しっかり確認するとしよう」
親戚の結婚式が本当にあったのか。式の時間はいつだったのか。式に庭師は出席していたのか。もちろん、本人による証言だけでは信用できない。
アーノルドがメモ用紙にペンを走らせていると、ベイカーが言う。
「デデーオー、他に調べてもらいたいことがある。大富豪の三男がSNSをやっているのかどうか」
それを聞いて、アーノルドはにんまりする。
(ベイカーも気づいていたか)
三男はお笑い芸人だ。SNSをやっていてもおかしくない。そこに何か重要な情報があるかも。
「わかった。今調べるよ」




