表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】夜会で「婚約破棄しよう」という常套句に呆れて振り返ったら、双子の愚兄だった件。  作者: 織子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/64

Episode.62


「子爵とミネルバは?」


二階席から会場を見渡し、シリルはライナスに聞いた。まだ時間はあるものの、大勢の貴族が会場に入っている。


「まだ入られていないようです。ですが子爵も時間通りに外出先から出発されたようですので、まもなく来られるでしょう」

「陛下はもう皇城へ戻られたのか?」

「皇妃が出迎えに行かれて、先ほど皇都の門を通過されたようです」

「ぎりぎりのお帰りだな。開始時間が押しそうだ」


ライナスが何かに気付き、一歩下がった。シリルが振り向くと、令嬢たちの熱い視線を受けながら長身の赤髪の男が近づいて来た。正装したレオンハルトを初めて見るが、前世の言葉で表すなら、ホストだ。ナンバー1ホストがシリルに向かって歩いて来る。


レオンハルトは持っていたグラスをひとつシリルに渡した。シリルはホストに向かって不満を吐いた。


「遅かったな。出来る限り急いでくれと言ったのに」

「旦那。それを言うなら、移動スクロールの場所をもう少し近くにしてほしかったな」

「皇都のど真ん中に急に現れたら驚くだろう」

(ただでさえ目立つのに)


レオンハルトはシリルをじとりと睨む。

「そうだけど、もう少し皇都に近ければ余裕を持って戻れたのに」


不満をぶつけあっていると、ライナスに近づいた侍従が耳打ちをした。嫌な予感がした。ライナスが珍しく表情を崩す。


「奥へ行こう」

シリルが席を立つと、レオンハルトも付いて行く。



「子爵から『戻れない』と一報があったそうです」

「子爵は無事なのか?」

「はい。なんでも道が崩れたらしく。どの道かは把握できておりません」


シリルは大股で闊歩し、ミネルバがいるであろう噴水広場へ急いだ。皇城の扉は今日は開かれている。外に目をやり、違和感に気付く。扉の前には馬車が何台も止まり、列が出来ている。


「……ん?普段はここまで馬車は来れないはずだよな?」

パーティが開かれる場合でも、いつもは扉の前までは馬車での乗り入れは禁じられている。年配の貴族など、配慮が必要な者は、会場の近い別の馬車寄せが用意されているはずだ。


「衛兵、なぜここまで馬車が来ている?」

扉の前に立つ門番に叫ぶように言った。


「皇妃様の計らいで、本日は扉の前まで馬車を通して良いと言われております」

門番はシリルの剣幕に驚きながらも答える。


「ちっ」

思わず舌打ちをした。

(だとすれば、広場は馬車の通り道で砂埃が舞っている。とても待ち合わせなど出来ない)


「ミネルバを探そう。……おそらく城内にいるはずだ。ヴェラが付いているから大丈夫だとは思うが…」


取り乱さないように低い声でライナスに伝え、シリルも踵を返して城内へ戻った。








ミネルバは通された部屋があまりに華美だったので恐縮していた。


(ここで待つように言われたけど、本当にお父様はここに迎えに来るのかしら?なんだかこの部屋、来客用にしては家具が豪華だわ)



コンコン!

窓から聞こえた音に、ミネルバは視線を向けた。


「えっ」


窓の外に、ヴェラの姿が見える。ミネルバはソファーから立ち上がり、慌てて駆け寄る。


「ヴェラ卿?どうしたの?何故ここに?」


ヴェラはどこか慌てているように見える。周囲を警戒していた。

「ミネルバ嬢、ここは第二皇子専用の応接室です。すぐに出てください」


「えっ何ですって?」


第二皇子の部屋?そうだとしたら何故こんな場所に案内されたのか。


「侍従が間違えたのかしら?」


間違いだとしても、第二皇子専用の部屋と言うのは体裁が良くない。ヴェラの言う通り、すぐに出た方がいい。ミネルバは扉に向かおうと振り返った。


「いけません。扉の外には見張りがいます。こちらに来てください」


(見張り?)


何がなにやら。もう一度ヴェラを見ると、手招きをしている。


(こちらと言うことは、窓から出ると言うこと?)


「でも……」

さすがに躊躇する。


「お急ぎください」


ヴェラの焦りを含む様子からして、急いだほうがよさそうだ。ミネルバは生まれて初めて窓枠に足をかけた。










読んでいただきありがとうございます!

いいね、ブクマ、コメント等、いつも嬉しく拝見しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あー(・o・)なるほど? 王妃の手段が…下衆な件!!
ミネルバ〜早く逃げて〜〜!(この子プライドが高い割に脇が甘い、助けてもらうのまってる系)
ミネルバが怖い目に会う前に来てくれて良かった。 ハラハラ展開に耐性がないので、助かります!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ