表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】夜会で「婚約破棄しよう」という常套句に呆れて振り返ったら、双子の愚兄だった件。  作者: 織子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
60/62

Episode.60


次の日。シリルはまたも幸運に恵まれた。ミネルバにお昼を誘われたのだ。内心手紙の事が気になって仕方ないが、シリルは手紙には触れないよう努めた。


(二日連続で同じことを聞くのもな)

スマートじゃない。たとえミネルバが招待状を受け取ったことを伝えてくれずとも、するべきことは変わらないのだから問題はない。


――そう自分に言い聞かせる。


それでも、頼ってもらえないことには、少しだけ寂しさを覚えた。



せっかくなので、シリルはミネルバを第一食堂に誘った。第一食堂は主に貴族が使用する食堂で、事前に頼めばコース料理も出てくる。さすがにコース料理は頼まず、それぞれのメニューを選んだ。

ミネルバの事業での悩みを聞き、いくつか改善案を伝える。十六歳という年頃の男女が囲う席とは思えない会話をしながら、食事を終えた。


近くの席から視線を感じる。最近第二皇子とミネルバの噂が出回っていて、生徒たちが好奇の目でミネルバを見ているのを知っている。


(にも関わらず、食堂に誘ったのは申し訳なかったな。ロースチェント嬢からも最近ミネルバの食が細いからたくさん食べさせてくれと言われたし…)


とりあえず視線をむけてくる生徒に冷ややかな目で威嚇する。生徒達はすぐに目を逸らすので大変分かりやすい。



「シリル様、この手紙なのですが、見ていただけますか?」

「えっ手紙?」

油断してたので声が上ずった。ミネルバは手に皇室の紋章の入った手紙を持っている。


「はい。昨日届いたのです」


「俺が拝見しても良いのですか?」

まさか見せて貰えるとは思わなかった。


「はい。父がシリル様に見てもらうようにと……」


(そこまで信用してもらえていたとは……)

シリルは嬉しさを感じ、口元が緩む。


手紙には、シリルの予想通り招待状と第二皇子からのエスコートを受けるよう記してあった。


ミネルバの表情は暗い。

「エスコートは父に頼みます。婚約は決まっていない状態なので、父ならば角は立たないでしょう。うちには母もおりませんので……」


第二皇子からの誘いを断って、他の令息のエスコートを受ける事は不興を買うようなものだが、妻をなくした子爵が娘をエスコートしたいと言えば周りもある程度は納得するだろう。


「あと、父からの言伝です」

ミネルバはもう一通手紙を出した。


手紙には、エスコートは断れそうだが、自分の手に負えない問題が起きたら助力してほしい。と書いてある。子爵が急いで書いたのだろう。走り書きのような字だった。


(頼まれるまでもない)

シリルは少しだけ口角をあげた。


「子爵に分かりましたとお伝えください」








皇室のパーティーに出席するとなると、やる事が劇的に増える。パーティー当日まで日にちもないので、ミネルバの予定は美容に関することでほぼ埋まった。ため息をつき、ベッドに顔を埋める。



『この招待状をシリル様にも見てもらってくれ』


父がそう言うので、ミネルバは従ったが、本意ではなかった。


助力を求めるのも申し訳ない。先日、アカデミーで女生徒達に言われた言葉を思い出す。


『あの方よね?噂の……皇族に求婚されてどうして渋っているのかしら。子爵家でしょう?』


ミネルバと第二皇子の婚約騒動は、ほぼ事実のまま社交界にも拡がっている。

皇帝のお気に入りであるアウグスタ嬢に第二皇子が婚約を申し込み、拒まれている。……と。一国の皇子が子爵家程度の令嬢に断られるなど醜聞でしかない。なのに積極的に噂を流したのは皇室だ。第二皇子は醜聞が多く、この程度の醜聞は今更なことらしい。被害を被るのはアウグスタだ。アレックスとの件から日も浅く、また婚約の問題で世間を騒がせるアウグスタの令嬢はどんな人物なのか、気になるのも当然だ。皇妃はミネルバを貶めれば、おとなしく婚約を結ぶと思っているのだろうか?



アカデミーは休みたくないので、毎日来ているが、一緒に好奇の視線にさらされるアリアにも申し訳ない。

父も何も言わないが、最近は一緒に視察へ行くのもミネルバは躊躇するようになった。


だから今日のお昼も、シリルには目立たない中庭でサンドイッチを食べようと提案したのだが、シリルは皆の目に留まる食堂を勧めた。


(私と噂になっても醜聞だと思わないと言っていたけれど……)


そうは言ってもシリルは公爵家の後継者だ。まだ決定ではないらしいが、ミネルバはそうなると確信している。良家の令嬢に避けられるような事はない方が良い。


パーティーでもそうだ。第二皇子との婚約を拒むミネルバを助けても、シリルにメリットなんてない。


(当日は何かあっても、自分でなんとかしないと……)


不安を残したまま皇城のパーティーに出るのは初めてではない。前回も、エスコートをされるはずだった相手に寸前で断られた。

(あの時は父も来れず、途方に暮れた思いがあるのに、どうしてかしら。今回はもっと心細い)



何も起きず、皇帝に挨拶だけして帰れたらどんなにいいか。ミネルバはそう願いながら瞼を閉じた。




読んでいただきありがとうございます!


いいね、ブクマ、コメント、返信出来ておりませんがいつも嬉しく読んでおります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ミネルバちゃんを婚約者とする為の陛下との取引条件の魔道具その他ゎ終わったんでしょ? だったら!(๑•̀ㅂ•́)و✧帰還された陛下がまだグズグズ言う様なら!初心貫きでwクーデターしちゃおう! とにか…
シリル、しっかりしろ。不安を消してあげられる様に。いつまでも空回りしてるんじゃ無いよ。
もう勝手な事ばかりする皇妃ごと潰そう・・・皇帝も皇妃のいいなりだし碌に政治的な事を一切考えてなさそうだから。 なんせ成績は良いが子爵令嬢過ぎないのに公爵家と破談になった時に縁談を二度と押し付けないって…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ