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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第七章 感情が薄れし者はこの世の真実を知る
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まったり3 ぽよぽよ編


「モロキュー! あの丘を越えれば目的地はもうすぐだよ!」

「がんばれぇ~! モロキュ~!!」


 スライムに応援されながら長い長い急な坂道をゆっくりと歩むモロキューと、馬車から降りて、ぽよぽよと横をはねるスライム達。

 この先にはセア達スライムが目指す、大きなスライムの王様が住む街があるのだ。

 彼等はその街に、いじめっ子オーガ三兄弟が向かっている事を伝えに来ている。

 ああ、後はそのいじめっ子オーガ三兄弟をどうにかしようとも考えている。

 どうやるのかは不明だ。


「うんしょ! うんしょ! ふぃ~! ついた~っ!!」

「わ~い! のぼった~!」

「みんな頑張ったなっ!」

「う~~~ん、疲れましたスラ~」

「オーロ、大丈夫~?」

「・・ね・・ね・・・ねむ」


 そうして何とか丘を登り終えたモロキューとスライム一行。

 皆で励まし合い、一つの難関を超えることができて、皆にっこり笑っている。

 だがその笑みは、目指した街を見て消える事となる。


「あ、あ、あれは!?」

「「「「なぁ~!?」」」」

「・・・・すぴぃ~」


 丘から街を見下ろすと、そこにはスライム達のお家よりも大きなオーガが三体もいた。

 そう彼等こそが、セア達スライムが追いかけて来たいじめっ子オーガ三兄弟なのだ。


「いじめっ子青オーガだ!?」

「いじめっ子黄色オーガだ!?」

「いじめっ子赤オーガだ!?」

「ま、間に合わなかったと言うことでスラか?」

「ど、どうしよう。せっかくここまで来たのに」


 今まさにいじめっ子オーガ三兄弟が街に襲い掛かろうとしていた。

 街は城壁に覆われ、大きな城門が閉じられているが、そんなモノいじめっ子オーガ三兄弟は物ともしないだろう。

 スライム達からすればとても大きな城壁であっても、いじめっ子オーガ三兄弟にとっては「よっこらせ」と乗り越えられる高さなのだから。


「う、うううう、やってやる! やってやるもんね!」

「せ、セア! 何するつもりなの!」

「何するもないよ! 僕達はあのいじめっ子オーガ三兄弟を止めに来たんでしょ! だったらやることは一つだよ!」

「け、けど、とっても大きんだよ。あんなに大きいなんて思ってなかったんだよ」

「お、大きすぎるぜ」

「私もでスラ。まさかあんなに大きいとは・・・・」

「うんうん! 私も、オーロと私を足して二でかけたくらいだと思ってた!」

「・・・・そんなアホな・・・・すぴぃ~」


 大きな足跡を見てから結構大きい身体なのだろうことは皆予測していた。

 だが残念なことに、スライム達の知能とても低い。

 稀にとても頭の良い子はいるが、本当に稀なのだ。


「僕だってそう思うよ! まさかあんなに大きいなんて予想外もいいところだよ! 大きすぎてとっても怖すぎるよ! けど! けど! このまま見ているだけなんてできない!」

「「「「け、けど~」」」」

「すか~・・・すぴ~・・」


 セアはプルプルと身体を揺らし、恐怖しながら必死に皆を励ます。

 けれどやはり自分達よりも何十倍も大きな生物に立ち向かうのは怖い為、皆動けずにいた。


「僕はこのまま見ているなんて嫌だ! なんの力にもならないかもしれないけど、ここで逃げ出したくないよ! それにここで僕達が向かわなかったせいで街の皆がべちゃ、ごろごろ、ずざ~(オーガ達にスライムが遊び道具になった場合の効果音)になっちゃったイヤだよ! 皆もイヤでしょ! そんなの見たくないでしょ!」

「「「「・・・・・・・うん」」」」

「だったら頑張ろうよ! 皆で、僕達の力で、あのいじめっ子オーガ三兄弟を止めるんだ!」

「・・・し、しかたない・・なぁ」

「や、やってみるか」

「う~、行きたくない、行きたくないでスラ。けど、ここで友を見捨てるはゴールドの名が廃りまスラ!」

「私だって皆が行くなら行くよ! 置いてけぼりやイヤだもん!」

「・・・・ Good Luck・・・すぴぃ~」

「わぁ~! ありがとう皆!」


 若干一名見送るつもり満々であるが、何を言っているのか理解できないセア達は、黒影の言葉を気にする事はなかった。

 そして、セア達は巨大ないじめっ子オーガ三兄弟に向けて突撃する。

 恐怖する己の心を押し殺しながら、街を守るために・・・今、セア達の戦いは始まる。






「のじゃぁ~。今度の敵はとってもとってもおおきゅうのじゃ」

「あんな大きいのスライム達じゃ勝てないよぉ」

「・・スライムさんがんばれ~」

「・・・・・・・・・・・・ぅ」


 相変わらず互いに押し合いながら、ぎゅうぎゅう状態でクリッカー画面を眺めているシオウ達。

 少々熱中し過ぎだと思うが、この世界で早々見る機会のない映像技術であるため、夢中になるのは仕方が無いだろう。


「ポヤよ! 次じゃ次!! 次を早う見せるのじゃ!」

「うんうん、次気になる」

「・・・私も気になる。シオウ次ある?」

「・・・・・・・・・・・・・・ぅ」


 クイクイと手を引っ張って、催促してくるシェミに、シオウは小さく頷くと次を見せるために操作し始めた。


「貴方達、一旦そこで終りにしましょう」

「「「えぇ~!」」」


 だが、次を見る前にヒノエから待ったがかかる。


「なんでなのじゃ! 母さま! 今ええ所なのに!」

「お夕食の準備がそろそろできると言われているのだから、止めるのは当たり前でしょ? それともご飯を食べないつもりですか?」

「うむ! 飯などよりもこっちを優先するのは当たり前なのじゃ!」

「そんなこと言って、後でお腹が空いても知りませんからね」

「ぬふふ、問題ないのじゃ! 妾の懐には・・・のじゃ~ん! お菓子がこんなに入ってふぎゃん!?」

「いつの間にこんなにお菓子を忍ばせていたのですか。全く、これを用意したのはセンタロウね。後で叱っておかないと」

「のじゃぁぁっ! 返してたも! 返してたもぉぉぉ!!」


 取られたお菓子を取り戻そうとぴょんぴょんと跳ねるノア。

 とっても可愛らしい行動であるが、激しくぴょんぴょん跳ねているせいで


「お菓子が降ってくる」

「・・・ノア姉さま」

「・・・・・・・・・・・・」

「のじゃ? ふにゃーっ!?」


 服の中に忍ばせていたお菓子が雨のように降ってきた。

 いったいどれだけ忍ばせているのかと言わんばかりに。


「や、やべぇ、やべぇなのじゃ」

「ノ~ア~」

「びくっ!?・・・え、えへへ」


 小さな山ができあがるほどのお菓子の量。

 流石にこれがバレるのはマズイと思ったのか、ノアは笑って誤魔化そうとする。

 だが、それで誤魔化されるわけもなく首根っこを掴まれ、


「ちょっとお話ししましょうか?」

「い、いやなのじゃぁぁぁぁっ! 助けてたもぉぉぉっ!! シェミィィィィッ! ポヤァァァァッ! オトコムスメェェェェッ!」


 そのまま部屋の隅まで引きずられていくのだった。


「ノア姉さまのじごうじとくだよ。ねぇ、シオウ」

「・・・・・・・・・・・・・・ぅ」

「僕は男娘じゃなくて男なんだけど・・・」




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