まったり1 スリスリ編
「・・・・・・・・」
只今シェミに連れられてお外(柔らかハンドは解除されています)に出たシオウは、シェミとミラに挟まれるようにして座っていた。
これが他人であれば掴まれている手を振り払って逃げる、暴れて逃げる、なんて選択肢が浮かぶのだが、残念なことに傷付けたくないランキング最上位の二人が相手では何もできない。
ただ二人を傷付けないように力を抜き、ぴっとりと寄り添われるがまま、石のように動けずにいた。
「今まですぐ傍にいたって聞いた。なんで会いに来なかったの?」
「・・・・・・・・・ぅ」
「シオウ君大きくなったわね。身体もあの頃と比べ物にならないくらいにガッシリしていてよかったわ。ホントに良かったわ。それと・・・あの時は守れなくてごめんね」
「・・・・・・・・・ぅ」
ミラさんが申し訳なさそうに謝りながら、抱きしめ撫でてくる。
とっても気持ちよくて嬉しくなるけど反応に困る。
それとあの時ったどの時だろう?
「いい加減にしなさい。ブラウン。この子は人食いではないと言っているでしょ」
そんな風にされるがままになっていると、ヒノエとトウカの父である兎獣人のブラウンが言い合いをしていた。
ブラウンと言う名前ではあるが、彼の毛の色は白である。
トウカと同じ雪のように白い毛だ。
ちなみに母兎獣人も同じように真っ白である。
「だがそいつは最愛の息子を生贄と称したのだぞ。我等を餌としか見ていない聖教国人か、下に見ている帝国人ではないか」
「聖教国人なら生贄などではなく糧と呼びますし、帝国人ならばわざわざ獣人の子供を抱えたりしません。奴等は弱者を引きずって運びます」
帝国人の事をよくわかっているなぁと思う。
帝国騎士に初めて捕まったときは、馬に引きずられて移動したからね。
嫌な思い出だよ。
引きずられながら眠ると、石や木に何度もぶつかるんだもん。
「それにあの子は逃げ回っていただけですよね? 確かに言動には色々思う所はあるでしょうが、攻撃する気の無い相手に刃を向けるのは野蛮な帝国人と同じことだと思いませんか?」
「しかしそいつは息子を・・・」
「貴方達の声を無視して息子さんを連れ回していたことは、確かにしかりつけるべきことです。ですが聖教国に奪われた息子さんを救いだしたのはシオウさんであり、聖教国からここまで連れて来てくれたとトウカさんがおっしゃっているではないですか」
「確かにそうだが、言わされている可能性も・・・」
「ブラウンさんは我が子の言葉を疑うのですか?」
「我等の可愛い子を疑う訳が無かろう! こんなに可愛いのに!」
「~~~~~~~~!?」
母兎獣人に抱きしめられているトウカに、父親であるブラウンはスリスリと頬擦りする。
トウカの方はなんだか迷惑そうだ。
「ならシオウさんは貴方達の息子さんを助けてくれた良い人だと理解してください。聖教国人や帝国人とは違うと」
「う~む、しかしなぁ・・・」
そんな感じで話しが続いていく。
終わる気配が全然見えないなぁ。
「あれはやられたくないのじゃ」
「お髭痛そう・・ね? シオウ?」
「・・・・・・・・・・・・・・ぅ」
「ノア様もシェミもそう言うこと言わないの。そんなこと言われたら、あの人やりたくてもできなくなっちゃうでしょ?」
「やらなくていいのじゃ! スリスリはもち肌同士でやるからいいのであって、ガサガサお肌と、チクチクお髭が生えた者がやっては痛いだけなのじゃ!」
「ノア姉さまの言う通り」
「うむ! 故に妾達はスリスリできるのじゃ! ほれす~りす~り!」
「!?!?」
「・・・・・・・・・」
そう言うとノアはシェミの頬に思い切り己の頬をくっつけ、臭いを擦り付けるように思い切りスリスリし始めた。
思い切り頬を付けたせいで、隣にいたシェミの頬がシオウの頬にぶつかり、そのまま遠慮もなく思い切りスリスリしてくるので、シェミとシオウの頭も嫌がおうにも動きだした。
ちょっとスリスリ度が弱いけど、なんだかシェミからスリスリされている感じでちょっと気恥ずかしい。
「・・・えい」
「!?」
更に一人だけ仲間外れにされているのが嫌なのか、ミラが参戦してくる。
イヤじゃないけどやっぱり気恥ずかしい。
そしてミラのスリスリ度が高いので、シオウの頭も勝手に動きだす。
何なんだろう。この状況。
「楽しいのじゃ!」
「・・ちょっと恥ずかしい」
「・・・・・・・・・・・ぅ」
「恥ずかしいのはシェミだけなんじゃないかな~? だって今すりすりしているのは――――」
「!? ままっ!」
「??」
「うふふ、言わないから大丈夫よ」
「・・・むぅ」
「??」
ホント何でこんな状況になったんだろ?
よくわからないや・・・わからないけど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ今はいいや。




