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クリッカーの転職物語  作者: タヌキ汁
第七章 感情が薄れし者はこの世の真実を知る
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五感が敏感なせいで


 シオウは兎獣人の子供を担ぎながら、シェミ達が向かったであろう方向へと駆けていた。

 勿論向かっている間はシェミ達の匂いなどを探りながらである。

 大体の方向を教えてもらっているけれど、道沿いを駆けるのではなく、道なき道を突っ切っているからね。

 だから追い越してしまっているかもしれないから、こうやって五感をフルに使っていると言う訳だ。

 それにシェミ達が向かっている街の名前も教えてもらってもわからないしね。

 担いでいる兎獣人の子供も地理には疎いのか、知らないらしい。

 全くコイツは使えない奴だよ。ホントに全く。


「くんくん・・・・・くんくん・・・・くんくふげぇぇぇぇっ!?」

「ぎゃふん!?・・・・きゅう」


 匂いを嗅ぎながら駆けていると、不意に鼻の奥を突き刺すような匂いを嗅ぎ取ったシオウは急ブレーキをかけながら、両手で鼻を抑えた。

 そして当然担いでいた兎人族の子供は行き成りの急ブレーキに自力でシオウにしがみ付いていられるわけもなく飛んでいき、木にぶつかった。

 幸い常時クーお姉さんが柔らかハンドで包み込んでいたので、木にぶつかってもそこまで衝撃は来なかったが、流石に顔面から激突したのでそれなりにいたかっただろう。

 気絶しているし。


『行き成り止まってどうしたのよ』

『くっさい!? くさいくさい!? これうんちの匂いだー!!』

『臭い? ふ~ん?』


 残念なことに五感のないクーお姉さんでは、シオウが感じている匂いを感じ取ることができず首を傾げる。


『糞じゃないよ! ホントにくさいんだから! それと面白くないよ!』

『誰も受けを狙って言ったわけじゃないわよ! というか、はい、これで匂いは大丈夫でしょ』

『お? おぉ! あんがと! クーお姉ちゃん!』

『はいはい、どういたしまして』


 頭部を柔らかハンド覆うと、探れる匂いや音が無くなるが、まぁそれは仕方が無いだろう。


『それで排泄物の匂いだって言っていたけど、そんなにひどいの?』

『う! この先ヤバイくらい臭い! 臭いを探ろうとするとうげぇぇぇってなる!』

『そんなに・・・・う~む・・・あっ、ねぇシオウ。もしかしてその匂いって卵が腐った匂いじゃない? 排泄物の匂いじゃなくて』

『わかんない! けどなんか鼻にツンと? フンと? ムガ~と? 来る感じ?』

『うん、わかんない。わかんないけど・・・なんか湯けむりが見えるし、多分この先は温泉地帯なのかもしれないわね』

『温泉?』


 聞きなれない単語にシオウは首を傾げる。


『温泉と言うのは自然にできた大きなお風呂の事よ』

『へ~』

『少し探してみれば見つかると思うけどどうする? 温泉探ししてみる?』

『いいや。今はシェミちゃん達のことを探したいから』


 そう言うとシオウは放り投げてしまった兎人族の男の子を拾い上げ、臭い匂いから遠ざかる様に駆け出した。

 ちょこっと方角はズレるが、臭いが気にならなくなるところまで来たら修正するので問題ない。



 この時匂いを我慢して真っ直ぐ進んでいれば、高確率でシェミ達の一団を見つけることができたのだがなぁ。




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