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『私は美しいのだから仕方ないじゃないか』とかっこつけるぼんくら王子と姉をこんやくはきさせたいわたし。  作者: 六


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今日は2話投稿します。


 言葉少なに心持ち急ぎながら、食事を終えた五人はダイニングから応接間へと移動した。

 普段夕食後はゆっくりシガーを嗜むエルンストも今日ばかりはそれをせず、情報交換をすることを優先している。


「さて、誰から始める?」

 ぐるりと四人を見渡してエルンストが言った。

「嫌だわ、あなた。勿体ぶらないで頂戴。貴方から始めるのが筋でしょう」

 アニスが眉を顰めながら返す。

「……先に話したいかと気を使ったんだがな」

「そういうのいいから」

 妻の現実的な言葉にちょっと悲しそうな顔をしたあと、切り替えるように一つ咳払いをしエルンストは皇太子との話し合いについて、掻い摘んで話すことにした。……あまり長いとニナが寝てしまうかもしれないので。


「では私から話そう。

 まあ皆もうわかっているだろうが、皇太子様はサーシャとクリフォード殿下の婚約解消に賛成して下さった」

 エルンストの言葉にアニスとサーシャは顔を合わせて頷き口を開く。

「こちらも王妃様に賛成して頂けたわ」

「むしろもっと早くに解消して欲しかったとお小言を頂いたの」

 肩をすくめるサーシャにリオンは笑いかける。

「僕はいいタイミングだったと思うよ。

 セン達が側近を外されたからこそ、クリフォード殿下の悪行が日の下に晒されてくるはずだから」

「まあセン達が自主的に、側近を外れたのではないの?」

 アニスに問われリオンは、ポケットから手紙を取り出し文面を眺めつつ言った。

「詳しいことはまだ言えないらしいけど、フォワード家から許可を貰えるならセン達が、そのことについて直接話したいらしいんだ。エルおじさん」



互いの情報を交換しあう四人の間で、にこにこ笑いながら頭の中でニナはまた叫んだ。


(二回目って言っても四歳児じゃなんの役にも立てないじゃない!)


 しかし本人が嘆くように、ニナは何の役にも立ってないわけではない。

 一回目は『嫌いだけど王子様に、子どもの私が文句を言ってはいけない』と黙っていた『クリフォードが感染する流行り病で隔離されていた未来の妹の元に友人を連れて押しかけた』ことは、かなり大きな問題とされていたのだ。


 感染率の高い病の菌が充満している隔離部屋に、クリフォードに連れられて来た侯爵令嬢の弟が、病

に感染したせいで後遺症で耳が聴こえなくなった。

 やっと産まれた男児を跡継ぎにと、望んでいた当主は激怒し娘の顔を数回殴り家から放り出した。

 歯が折れ腫れ上がった不自由な口で娘は『クリフォードにフォワード家に無理矢理連れて行かれた』と泣きながら訴えたが、それを伝え聞いた当のクリフォードは『そんなことはしてない』と、取り合わなかった。


 令嬢の訴えを『ありえなくはない』と、考えた王妃は家を叩き出された彼女を匿い詳しく聞き取りをしたが、一回目では『病に罹っていた幼児』であるニナが何も訴え出さなかったのもあり、因果関係は不明なままだった。


 だが今回ニナは『感染する流行り病で離れに隔離されていた自分の元にクリフォードが友人を連れて押しかけた』『高熱をだしている自分の枕元でうるさくされていた』『顔が風船みたいだと笑われた』

と両親と姉に被害を訴えていた。


 公爵家の来客名簿にはその日クリフォードと件の侯爵令嬢の他三人が、昼過ぎから夕方近くまで離れに滞在していたと記録がしっかり残されている。

 公爵家の使用人たちも、クリフォードが連れてきた令嬢達と病床のニナの枕元でバカ騒ぎをしていたことを証言している。

 因みに公爵家の取り次ぎと饗しを担当出来る使用人は、みな貴族なので『平民の言うことなど信じられるか』なんて見下しは使えない。


 ということは、だ。

 クリフォードは感染率の高い流行り病で隔離されている子どもの元へ、幼い兄弟がいる令嬢を連れ数時間滞在していた証拠と証言がばっちりと残されている。


 侯爵令嬢の怪我はともかく、彼女の弟が流行り病の後遺症で失聴したことは、悪気があるにしろないにしろクリフォードの大きな失態の一つだと、王族が認めたのだ。

 ニナに対しての失態だけであれば『身内のことだ』と突っぱねられるかもしれないが、侯爵令嬢の弟の件はそうはいかない。

 彼女の友好関係に幼い弟妹がいる者はいないし、弟本人も流行り病が流行してからは、ずっと邸の中で過ごしていた。跡継ぎが万が一にも感染することがないよう邸で働く使用人も休みは基本敷地内で過ごすよう徹底されている。手洗い換気もだ。

 更に出入りの(医療知識の低い)商人などと接するような立場の者は、上階の人間とは関わることはないから侯爵家の関係者から、感染する可能性はごく僅かだけだ。


 にも拘らず、令嬢の弟は流行り病に感染した。

 姉がクリフォードに誘われ、流行り病に罹り離れで隔離され寝込んでいるニナ・フォワードの枕元でバカ騒ぎをした数日後に。

 更にクリフォードにとって悪いことに、侯爵家当主は娼婦だと噂される側妃を皆の反対を押し切って娶った王を軽蔑し、自分は皇太子派であると公言している。


 ならば皆こう考えはしないだろうか。

『第二王子は皇太子派である侯爵家の跡継ぎをわざと流行り病に感染させ失聴させた』と。

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