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2話目です。
そうニナには前世?の記憶的なものがある。
ニナが一度目の人生を終えたのは十八歳だった。
彼女が十二歳になったばかりの頃、他国で猛威を振るった悪質な感冒で相次いで両親が亡くなり、引き継ぎもろくに出来ぬまま、後を継いだ姉は寝る間も惜しんで奮闘していた。
にもかかわらず、姉の夫であるクリフォードは金を使うこと以外なにもしないでいればいいものの、どう考えても詐欺だろ?な儲け話に、アホみたいにフォワード家の金を湯水のように使うバカタレと化した。
姉が立て直す→バカタレがぶち壊すを二度繰り返し、さすがにこのバカはうちには必要ないと家門全体で王家に抗議し、ここまでバカなら離縁もやむ無しと王(クリフォードの兄)が頷き、見事サーシャとクリフォードの離婚が決まった日。
なぜかニナはクリフォードにバルコニーから突き落とされ、後頭部を強く打ち命を落とした。
は?
もう一回言いたい。
クリフォードが失態を繰り返すので、フォワード一族一同が離縁を望み、王家がそれを受け入れました。
そうしたら。
ニナがクリフォードに、バルコニーから突き落とされ命を失いました。
意味がわかりませんが?
しかも。
ニナは長年の片思いの相手と婚約が決まったばかりの幸せの絶頂と言ってもいい時期に、姉の夫に殺された。
一億歩譲って、クリフォードがサーシャをバルコニーから突き落とし命を奪った。
と言うならまだわかる。理解したくはないが理解出来なくもない。
しかしクリフォードが、バルコニーから突き落したのは妻であるサーシャでなく、義妹のニナだった。
ニナは一度目の人生でも、クリフォードが大嫌いだったのでヤツと会話をした覚えは殆どない。
クリフォードはサーシャと結婚したその日から別居を選んでいたので、幼い頃はともかく成長したニナの為人も殆ど知らなかったはずだ。
それなのにあのぼんくらは、バルコニーで涼んでいたニナを走り寄った勢いのまま突き落した。
人生の最後にニナが見たのは、姉のサーシャでも長く片思いしていたリオンでもなく、自分をどこか間抜けな表情で見つめるクリフォードだった。
「ニナ、どうかした?」
俯いていた自分の顔を覗きこもうとする姉に気付き、ニナはぱっと四歳児らしい笑顔を作る。
「うれしくってびっくりしてたの!」
「ニナちゃん殿下のこと大っッッッ嫌いだもんね」
笑いながら軽口を叩くリオンにニナは
「うん大っっっっっきらい!!」
と朗らかに返事を返した。
「まあ、ニナは本当に殿下のこと毛虫みたいにおもってるのね?」
いたずらっぽく笑うサーシャに、ニナは首を横に振って答える。
「でんかと毛虫なら毛虫のほうがすき!」
さすがに毛虫と王子を比べるなと普通の親なら言うだろうが、エルンストとアニスは涼しい顔で紅茶を楽しんでいる。
「……おじさん、注意しないんだ?」
からかうようなリオンの問いにエルンストは頷く。
「サーシャがいらないと言うのなら、我が家があのバカを婿に迎える気は一切ないからな。
遠慮などする必要はないぞ。ニナ」
「婿に迎えなくてはならない相手だからと、丁重に接してあげていただけですものねぇ」
なんとなーく積年恨みの籠もってそうな笑顔でアニスも続けた(壁際に控える見目麗しい侍女が何度も何度も強く頷いているので、きっと二人にしか分からない何かがあったのだろう)。
ぱん、とエルンストは手を鳴らし皆が彼に視線を向けた。
「では、我がフォワード家は王家に対してクリフォード殿下とサーシャの婚約を解消を求めると言う事でいいな?」
エルンストにまっすぐ見つめられたサーシャは優雅に微笑む。
「ええ、お父様。
扱いやすいバカが欲しかったとはいえ、さすがに機密文書を解読させるようなバカはいらないわ」
明日から毎日大体20:00頃に、1〜2話ずつ投稿します。
エタらないですよ?




