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利用者への挨拶

無線機とホルスターに収められたグロックピストル、予備のマガジン一本を受け取ると、利用者のもとへ向かった。彼らが過ごしているのは隣の建物だった。「こんにちは〜」そう言って入室したが、返事を返してくれたのは、ほとんどが介護スタッフだった。利用者も、何人かが挨拶を返してくれたが、視線をこちらに向けたり、手足を無造作に動かしたりするだけの反応で沈黙を貫いたままだった。それはある程度予想していたことだった。なぜならば、彼らは意思を表出させるのが障害によって難しい状態だったからだ。それでも俺は挨拶を続けた。「今日からここの警備を虹香さん達と担当する佐藤です。これから皆さんの側にいる事が増えますが、どうぞよろしくお願いします。」古参のスタッフからは「浩也くん久しぶり。」などと言った声が上がった。しかし利用者からの反応は先ほどとあまり変わらなかった。俺は車椅子に乗っていた某国会議員の経歴も思い出して、伝わっている可能性を排除しなかった。彼は、ある手術を受けたせいで植物状態と診断されたが、実際には知的な能力が残っており、それを発見した家族らの尽力もあって、作家として成功したという例を知っていたからだ。そのため喋れないことと感受性は別だと考えた。


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次回の投稿予定は6月1日です。

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