教材作成
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その日、帰宅してから俺は単語帳アプリの新規作成画面をウェブブラウザで開いて、西本くん向けの単語帳の作成に取り掛かった。障害の特性上、紙をめくるより電子化したものの方が扱いやすいと考えたからだ。介助者に指示を出して、現役の受験生だった頃に使っていた単語帳を写真に写すと、クラウド経由でパソコンに保存した。そこから必須となるであろうワードを抽出して、電子単語帳の作成に勤しんだ。BGVとしてテレビを垂れ流していたが、集中して作業を終わらせた。
ふと時計を見ると時刻は午後9時を示していた。ふと画面を見るとニュース番組になっていた。俺は作業を止めてじっくりみることにした。半年前から議論されていた、民間軍事会社への閃光手榴弾の使用を許可する条件が与野党の協議で合意に至り、昨日の特別国会で法改正が行われたという物だった。施行日は翌日からだとキャスターは説明していた。その後、番組は次の話題に移っていった。今日の特集内容は若者の間で広まる麻薬の実態についてだった。その中で、若者たちが薬に溺れる理由として専門家は次のように語っていた。
「適切な情報に辿り着けないことにくわえて外食などで満足のいく食事を摂るより薬物で空腹を紛らわす方が安価だということが問題です。市場には外国から密輸入された麻薬が大量に出回っており以前より若者が入手しやすい価格帯になっていると推測されます。いくら麻薬取締法で規制薬品にしたとしても類似品が出回って、いたちごっこの状態になっています。さらに、暴力団と極右組織が連携するようになったため、違法薬物と共に銃火器も流入していると、一部のシンクタンクが報告しています。これから警察は暴力事案だけでは無く、暴力団が若者を引き込むための薬物対策にも手を焼かれている状況です。これらの問題は決して若者だけのせいとは言えないでしょう。」
それを見た俺はもう前のような日常は戻らないのかと思い、かなりの絶望感を抱いてしまった。ニュースを見終えると、就寝介助を受けて横になった。急変した世界で激しい精神的負荷を抱えるようになったため、医師からは睡眠導入剤を処方されていたが、その日はそれを飲んでも寝付くことができなかった。
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次回の投稿予定は6月21日です。




