外出レク
入社して数日が経ったある日、施設のスタッフとともに散歩のレクに警護要員として同行することになった。事前に鈴木が備品のドローンで偵察したルートを二人で前後を守って移動した。その時の俺のバディは虹香さんだった。装備は2人とも共通の弾薬が使えるように外出用のものを選んだ。俺は最後尾について、背後からの脅威に備えた。死角をカバーするために時折、超信地旋回で電動車椅子を反転させて、バックしたままグループに追従する機動をとった。それは昔から遊び感覚で介助者との距離を知るために使っていた技術だった。例えると戦闘機のロールに近い動きだった。施設の周囲の住人は比較的懐に余裕のある層らしくて、俺たちを見掛けると手を振ってくれたり優しい言葉をかけてくれたりした。それを見た利用者たちはニコニコ笑ったり手をバタバタ動かしたりして反応しているようだった。喜んでいるようで俺は嬉しかった。「油断しないで警戒を維持して!過激な連中が紛れている可能性があるわ」ほのぼのとしていた空気の中で無線から注意が入った。それに対して俺は「了解した」と短く答えた。行程も終わりに差し掛かった頃、事件は起こった。事前に知らされていない場所で歩道の改修工事が行われていた。遮音材が貼ってあり、その奥の様子がどうなっているのかはわからなくなっていた。俺は後方を警戒するポジションを維持しながら、相棒が突き当たりの安全を確認しに行くと「カーン」と言う甲高い金属音が聞こえた。急いでそちらに視線を向けると若い男が金属バットを振り落とした直後の状態であった。相棒には怪我はなさそうでその男とは距離をとっている状態だった。後方にいた俺は咄嗟に「虹香さん!」そう叫んだが彼女は何のこともなく、一気に距離を詰めると男の手首を掴み足掛け技で男を転倒させた。そのあと彼の両手を腰に付けていた、結束バンドで固定した。「元自衛官を舐めるな!」その際に発した言葉は印象的だった。俺は心の中でうそだろう! と思った。
しかし相手は一人ではなく数人単位で迫っていた。俺は援護をするために隊列から車道のある右に出た。そして威嚇のために持っていたM P7を襲撃者たちに向けて「それ以上近づくな!」そのように警告を発した。しかし逆上した数人がこちらに向かってきたため、近くにあった空き地に銃口を向けて実力を見せるために発砲した。近接武器しか持っていなかったのか、流石の火力を目の当たりにした敵は一目散に逃げていった。公共の場所での対応だったため、持っていたスマホの音声アシスタントで警察を呼び、拘束した男を突き出した。事情聴取を受けた後、簡単な状況説明を行った。そのあとは最短距離で施設に戻った。
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次回の投稿予定は6月11日です。




