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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生2学期
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夏の自由研究その9 試験勉強の中間確認

 9月15日木曜日の放課後。俺たちは駅前のファミレスに集まった。

自由研究の進捗に関して話し合いをするためだ。

本当は学校で済ませたかったが、教室は人がいるし、大図書館は私語厳禁だ。

落ち着いて話せる場所で思いついたのは、結局のところ近くのファミレスだったということだ。


店内は平日ということもあって、そこまで混んではいない。

奥の四人席に腰を落ち着け、ドリンクバーを取りに行ってから、ようやく本題に入る。


「じゃあ、今の状況を確認しよう」


俺が切り出すと、二人はそれぞれ頷いた。


「月曜から今日までの三日間で、実践したことの確認から」


軽く区切る。


「とりあえず、月曜に決めた内容は、全員実行してるって認識でいい?」

「うん」「一応は」


二人とも肯定する。ただ、言い方に微妙な差があるのが気になった。


「じゃあ順番に詳しく聞いてくね。まずはーー万和人から」


そう振ると、万和人はストローを口から離す。


「外でやるのは、わりと良かった。帰りにそのまま寄る流れも習慣にできたと思う」

「いいね」


環境面は問題なさそうだ。


「で、勉強の方は?」

「動画見て、問題も一応やってる」

「一応?」


少しだけ突っ込むと、万和人は苦笑した。


「やってはいるけど、なんか身についてる感じが薄いんだよな」


ああ、そこか。


「動画見た直後はわかるんだけどさ。ちょっと時間空けると解けないんだよな」


典型的なパターンだ。わかった気になってるだけで、ちゃんと覚えられていない。

俺が口を開こうとしたところで、日代さんが先に反応した。


「前に言ったAIの試験モード使ってる?」

「試験モード?」

「うん。問題を自動で出してくれて、正答率とか理解度も見えるやつ」


万和人が肩を縮める。


「使ってない。それ、どんな感じ?」

「ちょっと待ってね」


日代さんはスマホを操作しながら続けた。


「私も最近使ってるんだけど――」


 画面をこちらに見せる。


「こんな感じで、範囲ごとに理解度がパーセンテージで出るの」


色分けされたバーが並んでいる。


「赤いところが苦手、緑ができてるところ」

「わかりやすいな」

「あと、連続正解でポイントが増えたりして、ちょっとゲームっぽい」


万和人の目がわずかに光る。


「いいじゃんそれ」

「問題の質も調整できるよ。基礎固めから応用まで」


冷静な補足も入る。


「櫻井くんも一度試してみてよ。きっと向いてるから」

「そうかな?」

「うん。動画のURLを貼り付けるだけでテストできるんだから、そんなに手間じゃないはず」


その意見に、万和人は小さく笑った。


「……まあ、それなら続けられそう」


なんだか返事がぎこちないな。コピペはめんどくさがらずにやってもらわないと。


「じゃあ次、日代さん」


視線を向けると、彼女は軽く頷いた。


「やること自体は、決めた通りやってるよ」

「まとめすぎない、だっけ?」

「うん。一応時間も測ってる」


そこまで聞いて、俺は一つ確認する。


「問題なく回せてる?」


一瞬だけ、間があった。


「ときどきオーバーする」


やっぱりか。


「気になるところを直してたら、いつの間にかオーバーしてるんだよね」


完璧主義とは言わないが、マメな性格なのかもしれない。

理屈では理解しているが、実行でズレるタイプ。

俺はふっと軽く息を吐く。


「それは、たぶん区切り方に問題があると思う」

「区切り方?」

「頭で理解していても難しい場合は、行動で強制的に切るしかない」


日代さんが首を傾げる。


「例えば、この問題を解いたら本を閉じるとか、このページ終わったらデスクを片付けるとか」

「なるほど」

「合図を固定するといいかもね」

「合図……?」

「タイマー鳴ったら必ず席を立つとか」


万和人が口を挟む。


「それはいいな。強制的に止められる」

「うん。何かしら切り替え方法を決めてしまうのが良い」


日代さんは深く頷いて、


「確かに、それはめっちゃ良さそう」


と大きく綻んだ。


「最後に俺だけど」


二人の視線がこちらに向く。


「一応、全部回せてはいる」


正直に言う。


「ただ――ちょっと重い」

「重いって?」

「やることが多すぎて、ギリギリで回してる感じ」


今回は期末試験ということで試験範囲がかなり広い。

部活もあるため、余裕があまりない中で勉強をしている。


「効率重視で詰め込んでる分、どこかが遅れたら一気に崩れそう」


言葉にすると、改めて実感する。日代さんがすぐに反応した。


「それなら、削った方がいいね」

「やっぱり?」

「うん。全部やるより、確実に回る量にした方がいい」


万和人も頷く。


「無理して続かないのが一番ダメだしな」

「だね」


 俺は少し考える。


「優先順位、もう一段はっきりさせるか……って言っても、どこ削るか悩むけど」

「そこは頑張って」


そう言いながら、日代さんが続ける。


「あと、ツールももう少し整理した方がいいかも」

「ツール?」

「うん。ツールごとに役割とか得意分野が違うから、優先順位と同時に見直すのが良いんじゃないかなって」

「なるほど」


その指摘は合理的だ。レベル上げ方法に応じて使う道具も合わせないといけないな。


***


 その後も各自の学習を進めるうえで気になる事柄について、意見交換をしていく。

よい頃合いとなったので、そろそろ総括に入る。


「じゃあ、まとめると――」


俺はスマホにメモを取りながら口に出す。


「万和人はAI試験モード導入。動画視聴からテストの流れを習慣化する」

「おう」


万和人が調子よく返事をする。


「日代さんは特定の行動・合図を決めて時間管理を行う」

「うん」


日代さんが元気に頷く。


「俺は学習量を見直す。ツールも整理する」


二人が頷く。わずかに沈黙が落ちた、万和人がふっと笑った。


「なんか、充実してるな」

「だね」


思わずそう返すと、日代さんも控えめに笑う。


「前よりはちゃんと回せそう」

「そうであってほしい」


俺は願望込みで返す。学習が改善されればよいが。

スマホの画面を見ながら、軽く息を吐いた。


「まあ気負わずに、気楽にいこうぜ」


万和人の励ましに、俺は「うん」と頷く。

その後、会計を済ませて解散する。

試験期間は折り返しだ。どこまで行けるかわからないが、とにかくやってみよう。

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