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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生夏休み
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ビデオゲーム対決

ゲームのお話です。

 夏休み中盤のある日。

家で一人適当に昼食を済ませた俺は、リビングのソファーにどっさりと深く腰掛けてスマートフォンを操作し、テレビの電源を入れた。


「八月何日、土曜日です。今日の天気予報をお伝えします。今日は関東全域晴れで……」


ニュースがやっている。今日は土曜、休日か。

休みに入ってから数週間過ぎたので、曜日の感覚が無くなってきている。


宿題は午前のうちに済ませるという習慣をつけているので、部活動の無い日の午後はたいてい暇だ。

新作のラノベかミステリーでも掘り出しに行くかなと思っていると、ピンポンとベルが鳴った。


誰だろう。今日来客の予定はない。

付けたばかりのテレビの電源を消して、どっと立ち上がる。

部屋の壁に近づき、照明スイッチの上にある高性能ドアホンに話しかけた。


「どちら様ですか?」

「花音でーす」


返ってきたのは高くて可愛らしい声。聞き覚えがある。この声の持ち主はーーそう、妹の友達の佐野(さの)花音(かのん)のものだ。


「ちょい待ち」


モニターはつけるまでもないと音声でこと済ませ、玄関に向かった。

玄関の鍵を外し扉を開くと、小柄で可愛げのある少女の、亜麻色の髪がふわりと揺れた。


「こんにちはっ!」


彼女の澄み切った瞳が輝きを放つ。


「遊びに来たよ」


太陽のように眩しい笑顔は、人当たりの良さを感じさせる。おや、肌の色が前会ったときより濃くなっているな。

細い鼻と薄い紅色の唇は変わっていない。若干幼さが残っている印象だが, 顔のパーツのバランスは極めて良い。

クレオパトラ、楊貴妃、小野小町。彼女が成長したら一体どんな姿になるのだろう。絶世の美女、高嶺の花。いや、彼女の明るい性格からは想像できない。女優やモデルといった華やかなイメージが似合いそうだ。

とまあ、壮大な妄想を膨らませるのもそこそこにして、彼女の顔に視線を戻す。


「おう。久しぶりだな」

「ゴールデンウィーク以来だね」


花音の声は弾んでいる。


「随分焼けてるな」


にこにこ笑う彼女に疑問を投げかける。まさかバカンスに行ってきたなんて言わないよな。


「先週海に行ってきたからね」

「え、うそだろ!? 超絶羨ましいんだが」


日本の海岸か海外か。ハワイとかロマンでしかない。うらやましすぎる。


「ふっふーん。すっごい楽しかったよ。快晴で、気温も高かったしー-」


花音が悠々と自慢話を始めたので俺は、


「うらやましやー、うらまやしやー」


としわがれた声で羨望歌を送ってやった。


「んー? ちょっとその呪いの呪文やめてくれる? せっかくこれ持ってきたんだけど、要らないのかな~?」


花音が後ろに回していた手を前に出す。その手には大きな紙袋がぶら下がっている。

これは……お・み・や・げ!? ーーまずいまずい!


「誠に申し訳ござませんでした!」


頭を深く下げて謝る。しかしお嬢様から何も返答がない。


「ごめんなさい、許してください、許し給へ」


三段活用しながら、より深く頭を下げる。これで無理なら土下座だ。


「仕方ない。許してあげる」


花音の声を聞き、俺は勢いよく顔を上げた。


「はいどうぞ」

「うわー、ありがとうございますー」


俺は紙袋を受け取って、家に上がるよう促した。案内は不要なので、素早くリビングに入った。


「アップルでいいか?」


一切の遠慮もなくソファーでくつろぎだした花音に飲み物の注文を伺う。

普通の来客なら無論、お茶を淹れるのだが、花音の場合はアップルジュースと相場が決まっている。


「お願いしまーす」


そこはお構いなくでしょと内心つっこみながらも、食器棚からグラスを二つ取り出し、冷蔵庫から常に備蓄している二リットルのペットボトルを取り出した。


「ほれ」


ソファー前のテーブルにコップを並べ、慣れた手つきでドリンクを注ぐ。

そして、「お待たせしました」と紳士にドリンクをサーブすると、花音は「さんきゅー」と微笑んだ。


「隣に座るかな」


そう呟いてソファーに腰掛ける。二人がけなので距離がかなり近いが、彼女はまったく気するそぶりを見せなかった。


「明里は出かけてるの?」


花音は無邪気な子どものような目でこちらを見つめてきた。中学生男子、いわば中坊どもはこの仕草にイチコロだが、自分は慣れているので大したことはない。


「ああ、朝早くにな。なんの用事かは聞いてない」


俺はそっけなく返答した。


「ふーん、そっか……。ま、また遊びに来ればいっか」

「そうだな」


花音は唇を突き出して頷き、ふと笑みを浮かべた。


「じゃ、和人。早速勝負しようよ!」

「おう。いいけど、何やる?」

「アリオカート!」


花音は即答した。ククッ、いい度胸をしている。


俺はタブレットくらいの大きさの機械を起動し、テレビの画面を切り替える。


アリオカートのメニュー画面から、インターネット対戦のマルチ対戦を選択した。


カートという言葉の通り、アリオカートは対戦型レースゲームだ。オンラインで最大十五人が対戦可能で、自分がカスタマイズした車に乗ってレースバトルを行う。


アリオカートは、単に運転技術を競うのではなく、『アイテム』をいかに上手く使えるかが重要である。コースの特定の位置にアイテムボックスというものが置いてあり、使用することによって自分の車を加速させるものや、相手の車の走行を妨害するものなど、様々なアイテムが存在する。ただ、入手できるアイテムはランダム、すなわち運次第だ。

また、レース場にはダッシュボードというものがあり、その上を通過すると特定の時間だけ、車の性能が著しく向上する。いい順位を取るために、ダッシュボードは必ず使っていく必要がある。


「じゃあ、キャラを選んで」

「じゃあ、私はこれ」


彼女はピンク色の衣装を着た人型のキャラを選んだ。このキャラは軽量級で、加速が速い分、最高速度は遅い。


「俺は、これで」


全身ベトベトで緑色のスライムを選んだ。

このキャラは重量級で最高速度が速いが、加速は遅い。


「車体パーツのカスタマイズはまあ、デフォルトでいいか」

「私はこれに決めた」

「よし。そんじゃ、お手並み拝見な」

「負けないよ!」


3、2、1、Go!


俺は最高のスタートダッシュを切った。姫様も好スタートを切った。


アイテムボックスの手前で俺はスピードを落とす。

ふと横を見ると、彼女も同様の動きをしていた。

というのも、順位が高いとあまり役に立たないアイテム、順位が低いと使い勝手の良い便利アイテムが出やすくなるという仕様がこのゲームにあるからだ。


大抵、最初のアイテム入手場所までは横並びに走り、そこからは先頭集団を決めるためのアイテム乱闘が必ず起こるのだが、今回も案の定そうなり、完全にやり慣れている俺はそれを難なく乗り越え、先頭集団に入ることができた。強いアイテムが出て良かった。


カーブはアウト、イン、アウトを意識して、緩やかなカーブでもしっかりドリフトを決める。オフロードに入らないギリギリの最短コースを着実に攻めていく。

ダッシュボードやジャンプボードがあるところは勿論のこと、ちょっとした段差やくぼみでジャンプアクションを決める。

ジャンプアクションは、車体が宙に浮くタイミングでちょうどよくボタンを押すことによって発動し、少しの間加速を得ることができる。具体的に言うと、加速効果があるのは0.5秒で、ダッシュボードに乗ったときの加速に比べたらちっぽけなものが、塵も積もれば山となるのをわかっているため、俺は逃すことなく決めていった。


また、アイテムボックス同様、コース上の所定の位置にコインが落ちていて、最大で10枚まで貯めることができる。コインは一枚ごとに、車の走行速度が1パーセント、永久的にアップするものなので、それの回収は必須になってくる。ただしコインは、アイテム妨害によって、落としたり盗まれたりする可能性があるので、ちらちらとカメラをバックに切り替えて、後ろを走るカートの状態を確認するのが大切になってくる。


レースの終盤に差し掛かってきた。

俺の車は1位をキープしていて、花音がそのあとを追って2位だ。3位4位がかろうじて見えるぐらいだ。このままいけば勝てそうか。

いや、ゴールするまで油断は禁物。ここから番狂わせが起こることも可能性としては十分にあり得る話だ。


おっと。今、四位の人がゲットしたのは、消費後3秒経った時点で1位にいる車を3秒スタンさせることができるアイテムだ。

俺が大嫌いなアイテムが来たな。このアイテムが実装されてから、何度1位を逃したことか……。


とまあ、このアイテムへの嫌味はこれくらいにして、早く対応しないとな。全員の所持しているアイテムや、どの場所を走っているかを常時確認しているおかげで、すぐさま対処できる。


4位の人がそのアイテムを使用した後、俺は花音に気づかれないようにスピードを緩め、ほんの少しバックし、彼女に1位の座を譲る。


彼女はふと、俺の奇妙な行動の意図に気づいたが、時既に遅く、3秒のスタンを食らってしまった。

その間に俺は姫様を楽々と追い越し、ゴールへまっしぐら。

そして、


Goooool!!!


俺はこのレースの観戦者から賞賛の嵐を受けた。正確にはグッドボタンの嵐だ。

そして間もなく花音もゴールした。なんとか2位をキープできたようだ。


「花音、結構上達したね」

「悔しい……あそこでもっと早く気づいていれば対処できたのに」

「まあ、次は頑張れ」


俺は心の中で勝ち誇った。日本代表としてオンライン大会に出たことがあるプレイヤーに勝とうなんざ十年早い。


「次は格闘ゲームで勝負ね!」


「うん、いいよ」




 だんだん楽しくなってきた。指も十分あったまった。


アリオカートを止めて、今度はシナプス・ファイターズを起動した。

シナプス・ファイターズ、略してシナファイは1on1で、相手の体力を先に削りきった方が勝ちという単純明快なルールの格闘ゲームだ。

コントローラーのボタンの操作によって様々な攻撃パターンがあり、特定の条件を満たすと超必殺技という、相手に大ダメージを与えることができる技が使える。


シナファイには約五十種類のキャラが存在し、与えるダメージが大きいパワー系や、敏捷さのあるスピード系など、キャラによってその特性が異なる。

キャラ自体の性能や、対戦相手キャラとの相性によって、戦い方が違ってくるのがこのゲームの面白いところだ。


「じゃあ、キャラを選んで」

「私はこれ」


彼女が選んだのはA。キャラ性能ランキングは堂々の一位の、マジシャンのような恰好をしたキャラだ。

一つ一つの攻撃はそこまで強くないが、近距離での戦いにめっぽう強く、連続攻撃、すなわちコンボが入りやすい。また、牽制用の遠距離攻撃を持ち合わせているため、どの距離でも相手に対応できるという非常に強いキャラだ。

また、このキャラの特性として、『イリュージョン』という必殺技があり、イリュージョンゲージを溜めることで発動することができる。イリュージョンゲージは相手にダメージを与えることで蓄積されていく。

イリュージョンは相手に大きなダメージを与えることができるが、技の当たり判定が非常に狭いので、ほぼゼロ距離まで相手に近づいて技を使う必要がある。また、ゲージが最大まで溜まってから一定時間以内に技を発動しないと、ゲージがゼロの状態に戻るので、相手に逃げの立ち回りをされると厳しいものがある。


「俺はランダムで」

「ちょっと。手加減する気?」


格闘ゲームの熟練プレイヤーは『持ちキャラ』といって、一つのキャラをメインにして使うようだが、俺の実力はそこそこだし、一通り全部のキャラを使ってはみたが、しっくりくるキャラがなかった。なので、


「いいや、俺はオールラウンダーだから」


と言って、ランダムでキャラ選択がなされるおまかせボタンを押し、試合開始ボタンを押した。


3、2、1、FIGHT!


俺が使うことになったキャラはIといい、中距離での戦闘が得意な剣士だ。攻撃の範囲は広いが、近すぎると当たらないので、中距離を基本に戦うキャラである。

このキャラの特性として『エネルギー』という概念があり、エネルギーゲージを溜めることで効果を発揮することができる。エネルギーゲージは自分で溜めるか、相手から一定のダメージをもらうことによって溜めることができる。エネルギーが最大まで溜まると、好きなタイミングでエネルギーを開放することができ、自分のステータス(ジャンプ力、移動スピード、攻撃力など)を大幅に向上させることができる。また、技の当たり判定の範囲が拡大し、技の出す速度も上がるので、いかにしてエネルギーを溜め切るかが重要になってくる。


「よーし、いくよ!」

「おう、かかってこい!」


とは言ったものの、最初は相手の様子見から始まる。

俺はとりあえずエネルギーゲージを溜めた。シュウィンという音とともに、エネルギーが溜まっていく。


Aはジャンプで後ろに下がりながら、遠距離攻撃を打ってきた。この牽制技はもうお決まりの動きなので、ちゃんと対応できる。


俺はゲージ溜めをキャンセルし、その攻撃を前回避して、間合いを詰める。そして、Aにダッシュ攻撃を入れた。攻撃の判定が長いので、遠くからでも放てる技だ。


しかしAにその場回避をされ、その攻撃は当たらなかった。そしてAは、俺の操作キャラIに弱攻撃を仕掛けた。


Iはダッシュ攻撃の反動のせいで後隙というものが生じ、Aの攻撃をくらって、空中に浮かされた。

そこからはAのコンボが炸裂した。これはもうダメかもしれない。


Aは小ジャンプをしながら、空中上攻撃を二回繰り出し、Iはさらに舞い上がる。攻撃を終えたAは急降下で素早く着地し、空中を漂うIへ、次の攻撃のモーションに入る。


Aは大きくジャンプをして、今度は空中下攻撃を繰り出した。俺はIの吹っ飛ぶ軌道をずらそうとするが、避けることは叶わず、まともに攻撃をくらって、地面に叩きつけられた。


無属性の攻撃なら、地面にぶつかる際に受け身がとれるのだが、Aの空中下攻撃には相手を痺れさせる効果が付与されているので、受け身をとることができない。

したがって、Iはまたしても宙に浮かされてしまった。


そこからは同じようなコンボが三回続いた。

追撃をされないように、吹っ飛んでいく方向をなんとかずらそうとするのだが、三回とも見事に読まれてしまった。


そして、コンボの四回目の終わりで、Aの必殺技ゲージがちょうど溜まった。

これを食らったらおしまいだと思い、ジャンプボタンを連打するが、地面に当たったあとの反動の硬直がなかなかなくならないので、必殺技を避けることが出来なかった。コンボから必殺技が確定とか、もうこんなの試合放棄だろ!


背景が宇宙空間になり、Aが魔法のステッキを振りかざす。すると周りの星々がI目がけて飛んでいき、直撃して大爆破。そして、


K.O!!!


の文字が画面にでかでかと映し出された。はい、ゲームオーバー。


「やったね!」

「はあ、エネルギー溜まり切らんかった」

「はっはっは、どうだ参ったか?」

「くっそー。ずらし方向の読み強すぎだろ」

「ふっふっふ。それも含めて、キャラ対策はばっちりだもんね!」

「うわー」


シナファイのオンライン対戦でレーティング一位になったことのある彼女に、そう簡単に勝てるはずもないか。


「じゃあ、次は……」




 ドアを丁寧に開けて、屋内に入る。


「ただいま」


……お兄さんの返事がない? でも鍵は開いていたし、もしかして寝てるのかな。


あれ、お兄さんの他にもう一足靴がある。

ベージュのトレッキングシューズ。女性ものだ。


今日お兄さんに来客があるとは聞いていなかったけれど、一体誰だろう。


ドドドド、ババババ、ドッカーン!


リビングから銃声のようなものが聞こえる。ドラマ? いや、テレビゲームかな。

だとすれば、来客は花音ちゃんである可能性が高い。


リビングのドアをゆっくり開いて中を覗き込む。

二人がソファーに並んで座っている。銃声に混じったカチャカチと鳴る音はビデオゲームのコントローラーを操作しているときのもの。

一人は黒髪。十数年見てきたお兄さんの後ろ姿だ。そしてもう一人は亜麻色の髪。二人の距離が近いのは知り合いだから。なんだ、やっぱり花音ちゃんだ。


私はドアを開けて「ただいま!」と大きな声を上げた。


「ん、明里か。おかえり!」


お兄さんはゲームに集中しているようで、テレビの方を向いたまま言った。玄関では無視されたのかと思ったけど、そうじゃなくて安心した。


「あっ、おかえり! そしてお邪魔してます!」


花音ちゃんが振り返って、嬉しそうに微笑んだ。わあ、肌がいい感じに焼けてる。きっと沢山泳いできたんだろうな。


「よそ見してると……はいっ、勝ちー!」


テレビの方から「GAME!」という声が聞こえると、お兄さんはガッツポーズをして喜んだ。


「え、ウソ!? ずるーい!」


花音ちゃんは振り返ってテレビ画面を見るやいなや、お兄さんの方を向いて、ぷくっと頬を膨らませた。


「今のは無しだよ! 明里が帰ってきたんだから!」


膨れっ面になってお兄さんにブーブー文句を言う花音ちゃん、とってもかわいいな。


「ダーメーでーすー! 明里が帰って来たのを口実にもう一回、というのは認められませーん!」


お兄さんは間延びした口調で、花音ちゃんの提言を否定する。お兄さんの子どもっぽい姿もかわいい。


「はぁー!?」


花音ちゃんの声のボリュームが上がった。ちょっとびっくり。


「認められませーん! どうせこのゲームでお前には絶対に勝ち目は無い」

「そんなことないもん! あかりー、はやくこっち来て味方して!」


花音ちゃんがほらほらと手招きしてくる。


「ちょっと待ってて。荷物を置いてくるから」


私は頬を緩めながら、一度リビングを出た。




 明里が帰ってから二時間ほど経った。電脳世界での大戦争を終えたところで、明里が口を開いた。


「花音ちゃん、時間は大丈夫?」

「うわっ、もうこんな時間!? 帰らないと」


コントローラーを離し手をぶらぶらさせていた花音が大声を出して立ち上がった。

テーブルの横に置いた二リットルペットボトルは空。いつの間にかカーテンが閉まっていて景色はわからないが、完全に暗くなっている時間だ。


「家まで送ろうか?」

「いい、一人で帰る」


前は家まで送っていたのに、何故か断られた。大人になったということなのだろうか。

やっぱり送るよと言いかけるが、


「じゃ、バイバイ」


と花音が手を振ったので、俺は軽く手を上げ、「わかった。じゃ、気をつけてな」と彼女を送り出した。




 夜、寝室のベッドにて、久々の戦いを振り返った。本当に疲れた。

アリカーから始まって、シナファイ、モルコン、スタウォー、ファイエン……。

格闘ならこれ、シューティングならこれというような、王道のオンラインゲームを中心にしてひたすら勝負を繰り返した。

三十回勝負した戦績は十五勝、十三敗、二引き分け。今回は勝ち越すことができた。

カーレース系ゲームは俺の十八番なので当然ながら全勝したが、格闘ゲームは非常に残念ながら一回も勝てなかった。シューティングゲームは拮抗していた。


勝負の内容を振り返っていたら、どっと疲れが押し寄せてきた。さすがにやりすぎて、指が悲鳴を上げている。


今日は早めに寝ることにしよう。おやすみなさい。






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