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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生夏休み
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創作活動 その1

 夏休みが始まり、一週間が経った。

短歌や俳句はまだできていない。

考えてはいるが、いいアイデアが思い浮かばない。なので気分転換がてら創作してみることにした。

テーマは『恋愛』でいくことにする。


~~~~~~~


目が覚めればいつも変わらない真っ白な天井が見える。

透き通った純粋な色。混濁した私の心とは正反対だ。


歯磨きをしながら、まだ眠そうな自分の顔とにらめっこをする。

「なんだか浮かない顔ね」と鏡の中の自分がそう語りかけている気がした。


寝ぐせの酷い髪を整え、髪留めを付ける。

眠気が徐々になくなって、意識がはっきりしてきた。


私の友達はみんなおめかししてるけど、私はあまりやらない。

まつ毛が長いし、鼻筋はまっすぐ通っている。顔は整っている部類にはいるはず。

保湿と荒れ予防にリップクリームを塗って、身支度完了。


外見に問題はないのだけれど、なんだか胸がもやもやする。


この気持ちの異変に気付いたのは、二週間前にさかのぼる。


~~~~~~~~~~

「彩音って、好きな人とかいる?」

「え、いないけど。どうしたの、響?」


 幼馴染の響が唐突に恋愛話をしてきて、他のクラスに好きな人がいるらしい旨を聞かされた。


「響なら大丈夫だよ。自信もって!」

「うん、私頑張る!」


私は彼女を応援し、アドバイスをした。そしてそこから一週間後。


「オッケーもらえたよ。彩音が応援してくれたおかげだよ。ありがとー」

「そっか。良かったね」


響、告白に成功して良かったね。


~~~~~~~~~~


 回想終了。今は放課後。

放課後は部活がなかったので、すぐ帰宅することにした。

下駄箱のところまでやってきて、私は響の後ろ姿を発見した。


「響」に声を掛けようとしたが、途中で言いとどまった。

響とそれからもう一人。あれは……私と響のもう一人の幼馴染、貴文だ。クラスが分かれてから、やや疎遠気味だったけれど。

よく見ると、二人は手を握っている。恋人繋ぎだ。ふたりともほんのり顔が赤いな。


響が他の人と手をつないでいる。頬を赤く染めて。


なんだろう、胸のあたりがもやもやする。この不快感はなんだ。


響が他の人に満面の笑みを見せた。


可愛さと優しさが絶妙に混ざり合い、決して見飽きることのないその表情が、私以外の人に向けられる。なぜだろう。胸が締め付けられる。


不快感が増して、頭が痛くなってきた。


保健室で体温計で熱を測るけど、平熱だ。


このモヤモヤは何? 病気? 生理現象? それとも他の何かなの。


響は一番に話を聞いてくれる。

いつだって私に優しくしてくれる。

いつだって傍にいてくれる。



でも、今は……。


彼女が誰かのものになるのを想像するーーいやだ、そんなのいやだよ。


私には彼女が必要。ずっと一緒にいたい。


この不快感の正体は…………そう、嫉妬だ。


嫉妬(しっと)

何かを失うこと、または個人がとても価値をおくもの(特に人間関係の領域)を失うことを予期することからくる懸念、怖れ、不安というネガティブな思考や感情に関連した言葉


間違いない。私は嫉妬している。


~~~~~~~~


「ねえ、彩音」

「え?」

「どうしたの? 上の空だよ?」

「何でもないよ。ちょっと寝不足なだけで」


響は私の俯く姿を見て、首をかしげる。その仕草が私の中をかき乱す。

私は思わず顔を逸らした。


何であの時アドバイスをしてしまったのか。そう後悔しても、もう時すでに遅し。


響には幸せになってほしいけど、今回はうまくいかないでほしいな。




 真の気持ちに気づいてから数日経った。響たちの中は傍から見て、うまくいっているようだった。この数日、ずっと響のことばかり考えている。授業は全然頭に入らない。

このままじゃだめだーー素直に気持ちを伝えなきゃ。

やり取りが少なくなっていたラインのトーク画面を開く。


数分悩んだ末、響にメッセージを送信した。


「明日の放課後、体育館の裏に来て」


 次の日の放課後。


「急に呼び出してごめんね」

「どしたの? 悩み事?」

「私は……」


私は頭の中を整理し、息を大きく吸った。


「あなたのことが……好き」

「え? それって、どういう……?」

「友達としてじゃなくて、響のことが好きなの……」


私は上目遣いで、たいして身長差もない彼女に言う。すると彼女は一瞬驚いたような表情をみせる。そして、私の予想通りの返答をよこした。


「えっと、ごめんなさい」


返事は分かりきっていたことなのに、きゅるると胸が締め付けられた。

でも、これで正解だ。私はこの気持ちを伝えずにはいられなかった。


少しの沈黙の後、彼女はその瑞々しい口を開いた。私を突き放すの? それとも蔑む?


「恋人になるのは無理だけど、これからも友達でいてほしいな」

「とも、だち……」


響は私のことを依然として友達として見てくれようとしている。

様々な思考が頭中を巡り、目頭が熱くなってきた。あなたはやっぱり優しい。

ああ、だめだ。涙で視界が……。


「響、ごめん……ありがとう」


 私はかすんだ声でそう答えながら、明るく微笑んだ。




 あの告白から十数年が経った。

私は27歳になった。響はあの告白の後、依然と変わらない態度で接してくれた。

今日は喫茶店で食事をする約束だ。


「彩音ー。そっちはどうなの?」

「一昨日も出張で、九州に行ってた」

「えー、そうなの。大変ね」

「響は? 子供が出来たんでしょ?」

「ええ、結構大変よ、育児っていうのは」

「双子なんだってね」

「ええ、男の子と女の子が一人ずつ」

「大変ね。貴文はどうしてる?」

「今日も大事な会議があるとかで、朝早くに出ていったわ」

「そうなんだ」


「この喫茶店は全然変わってないわね」

「そうね」

「でさ、来週のことなんだけど……」

「うんうん……」


私は響に対して恋愛感情を持ったけど、性同一性障害というわけではない。

今は会社先で知り合った男の人と交際している。

あの気持ちは胸の奥深くに留めて置くことにしよう。


喫茶店の中には、緩やかなメロディーが流れていた。


~~~~~~~


な、なんだこれは……。

思うままに小説を書いてみたが、それを見返すと、一昨日見たアニメにがっつり影響されていた。

でもうん、まあ自己満足ということで良しとするか。


パソコンを閉じると、すでに日が暮れていた。


「はぁ。疲れた」


立ち上がって背伸びをする。

そうだ、夕食の当番だった。食材を調達しに行かなくては。



頻度は下がりますが、これからも頑張ります。

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