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文学少年の恋物語 〜令和版源氏物語〜  作者: AYASAM
1年生1学期
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34/117

前期中間考査 三日目

 今日はテスト三日目だ。

科目は物理基礎、家庭科、地理の三つがある。


家庭科と地理はおおむね対策できているが、問題なのは物理だ。

公式は一応全て暗記しているが、用途をちゃんと理解できていないものもあるので、聞かれ方によってはお手上げになるかもしれない。


「それでは始めてください」


キーンコーンカーンコーン。


生徒たちが一斉に問題用紙を裏返し、問題を解き始めた。


第1問 次の問い(問1~5)に答えよ。

問1 次のように水平な板の上に置かれた質量m[kg]の物体に、ばね定数k[N/m]の軽いバネが取り付けられている。この物体を持ち上げたときに……。



問題は全部で三十問といったところか。一つの問題にかける時間はあまりなさそうだ。

わからない問題は飛ばしながら、できるだけ空欄を埋めた。



わからない問題も結構あったが、七割くらいは解けたと思う。計算ミスしてなければいいが。


キーンコーンカーンコーン。


終了の時間だ。三日目にもなると、答案用紙の回収はもう慣れたものだ。

俺は自分の列の分を速やかに回収し、自分の席に座る。物理の手ごたえはあまり良くなかったが、それは後で考えることにする。今は次の教科に集中だ。




 二十分ほどの休憩の後、次の教科のテストが始まる。

俺はテスト開始直前まで教科書を見ることにした。覚えられていない用語を脳内に焼き付けて、少しでも加点を増やしていきたい。



そして、家庭科のテストが始まった。

俺はついさっき記憶したことを問題用紙の空白の部分にメモした。


DHA ドコサヘキサエン酸 EPA イコサペンタエン酸 高度不飽和脂肪酸


問題を解き進めるうちに、これらを直接問う問題が出た。ラッキー、書いておいて良かった。これで四点ゲットだぜ!


俺はあまり家庭科の授業を真剣に聞いていなかった。眠くなるような授業をする先生が悪いのだ。

とまあ愚痴はこれくらいにして、一週間前くらいからの暗記でこのテストを乗り越えようとしていた。


考えさせる問題が何問かあったが、選択問題が大半なので、あまり心配はいらないな。


キンコンとチャイムが鳴り、俺は見直しをやめた。きっと大丈夫だ。




 さて、次は地理だ。

俺は海外旅行の経験は無いが、地理には結構自信がある。昔一度だけ家族で県外に遠出したことがあり、自分の住んでいる町は世界のほんの一部にしかすぎないことを痛感した。その時から俺は日本や世界の地理に興味を持ったんだ。


また、中学の修学旅行で東京に旅行に行ったのを思い出した。都会は人が非常に多く、道を歩いていて何度も人にぶつかりそうになった。祖父母が住んでいるド田舎の村とは別次元だった。


「おい、和人。どうした?」


ライトが小声で聞いてきた。あ、回答用紙ね。


「ああ、ごめん。何でもない」


ライトはそうかといって、前を向いた。回想している場合じゃなかった。テストに集中しなくては。


「それでは、始め!」


俺はシャーペンを持って、問題用紙を裏返した。


太平洋ベルト、那覇、適地適作、ワシントンD.C 。


地理は暗記する量が圧倒的に少なく、資料から読み取る系の問題も結構多い。

なので、一番点数が取れるといってもいいだろう。


俺は鉛筆を走らせた。全て回答をして、普段はつけていない、アナログの時計機能しかない腕時計を見ると、二十分くらい時間が余っていた。

俺は見直しをして時間を潰した。


「それまでです。鉛筆を置いてください」

これでテストも半分終了だ。残り半分。


 放課後。


「じゃーな和人」


「うん。じゃーね」


ライトを見送った後で、俺は教室を出た。廊下を通って、階段を降りる。


昇降口まできたところで、知っている後ろ姿を、歩いている生徒たちの中に見つけた。


「先輩」


俺が声をかけると、霞先輩は振り返った。


「……古暮くんか」


少し驚いたような表情をし、すぐに元に戻った。


「今帰りですか?」


俺は先輩と同じ速度になって訊いた。


「ええ、そうよ」


先輩は、見ればわかるでしょと目で訴えてきた。


「そうですか。……先輩はどっちの方ですか?」


「商店街の方よ」


先輩はすぐに答えた。少し間があるかと思ったけど、意外に即答だった。


「同じ方向ですね。じゃあ、一緒に帰りませんか?」


先輩は数秒悩んだのち、「ええ、いいわよ」承諾した。俺は心の中でガッツポーズをした。




 帰り道、先輩と歩きながら会話をした。内容はもちろん期末テストのことだ。


「先輩はテストどうですか?」


聞くまででもないのだが、一応聞いてみることにする。


「今のところ順調よ」


「やはりそうでしたか。先輩は凄いですね」


俺と先輩では、勉強にかけるものが違う。きっと超難関大学、おそらくは帝都大学志望なのだろう。


「そっちはどうなの? 順調にいってる?」


「そこそこ手ごたえはあります」


対策がうまくできているおかげで、今のところは順調にいっている。


「あらそう。それは良かったわね」



先輩は冷静というか、素っ気ないというか、テストだからと焦っている様子は全くないようだ。きっと普段から勉強しているから、特別テストだといって騒いだりはしないのだろう。本当にすごいな。


その後も、テスト絡みの会話が続き、大通りまで来た。俺は軽く挨拶し、先輩と別れた。


先輩と下校したのは初めてだったが、思いのほか落ち着いて話ができた。あまり自分からは質問してこないけど、俺の質問にはきっちり答えてくれるので、とても話しやすかった。いい先輩を持ったものだ。


そんなことを思いながら家に帰り、さっそく教科書と参考書を机の上に開いた。次は英語、数学だ。

あと二日頑張ろう。






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