前期中間考査 初日
6月20日の月曜日。今日から一週間、前期中間考査がある。
今日の試験教科は現代文と古典。国語オンリーの日。
国語に苦手意識はないが、今回の試験はどうなるのだろうか。テストの難易度が分からないので何とも言えない。
キーンコーンカーンコーン。
「それでは試験を始めます。まず、諸注意から」
眼鏡で長身の先生が教壇に立つ。どうやら、監督の先生は担任というわけではなく、ランダムに割り当てられるようだ。
「スマートフォンの電源は切りましょう。もし音が鳴った場合、不正行為とみなします」
はい出ましたね。テストでお決まりのフレーズ。確か中学の時はそう言われたにもかかわらず、テスト中に音が鳴って、処罰された奴がいたっけ。
「それでは、回答用紙から配ります。名前と出席番号を書き忘れないように」
そういや最近読んだラノベで、氏名の部分に最初の問題の解答を書いて0点になる、というシチュエーションがあった。だけど、実際そんなことする人いるわけがないよな。
「試験時間は八十分です。それでは始めてください」
開始の合図とともにチャイムが鳴った。テストは基本的に九十分だが、チャイムの仕様もそれに合わせているようだ。
とまあ関係ない思考はやめにして、テストに集中しよう。
第一問 次の文章を読み、以下の問いに答えなさい。
人間の「意識」の実態が解明されてから数十年が経ち、脳の機能を人工知能に完全にコピーできるようになった。人の仕事は減りつつあり、今後……。
俺は最初に問題量がどれくらいあるかをざっと確認し、解けそうな問題から解いていった。
結構ボリューミーだが、まあ何とかなりそうだ。
キーンコーンカーンコーン。試験終わりの合図だ。
「では、そこまで。一番後ろの席の人は、その列の回答用紙を集めてください」
終了の合図がなされ、回答用紙を回収する。
とりあえず、全部論理的に考えて答えを出した。手応えはそれなり。
よし、次は古典だ。
今度は中年の女の先生が監督としてやってきた。
先ほどと同じく、解答用紙、問題用紙が順に配られていく。
「それでは初めてください」
第一問 次の文章は源氏物語『桐壺』の一説です。これ読み、以下の問いに答えなさい。
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらい給ひけるなかに、いとやんごとなき際にはあらぬがすぐれて時めき給ふありけり。はじめより、我はと思ひあがり給へる御かたがた、めざましきものに……。
俺はさっき同様、全ての問題をざっくり見てから解き始めた。
古典と漢文がちょうど半分ずつくらいで、難易度は少し高めな気がする。
古典は現代文のようにうまくはいかず、時々考えさせるような問題もある。
古文単語や漢文に出てくる漢字は、現代の意味とは全く異なるものも多い。
なので、知らない単語が出てきたときは、文脈から意味を推測しなければならない。
途中、どうしてもわからない四択の問題があった。数分考えたが、本当にわからない。傍線部が知らない単語ばかりで、答えを捻り出すのは不可能に違い問題だ。
よし、こうなったら、あいつの出番だ。
キラーン!
俺の手で、六角形のそれが輝いた。
行けっ、ライトニング・アンサー!
シューン、ギュルギュル…ドーン(想像上)
コロコロ(現実)
我が相棒のお告げは、四。
よし、その答えを解答欄に記入!
さて、次に行こうか。
キーンコーンカーンコーン。
八十分の格闘の末、チャイムが鳴った。
とりあえず全部埋めることはできた。結構難しかったが七、八割ぐらいの出来だと思う。
周りを見ると、渋い顔をしている人が多いようだ。予想通りだ。
テスト期間中は学校が午前で終わる。部活動も基本的に停止になるため、午後はまるまる空き時間になる。
「ライト、テストどうだった?」
「それなりだな。可もなく不可もなく」
「そっか。俺も同じようなもんだ」
「他の教科が終わるまでは気が抜けないな」
「そーだね」
「じゃ、また明日」
「うん、じゃーね」
ライトはテストが終わるとすぐに部活仲間と帰ってしまった。
ふう、疲れた。まだ一日目だというのに、疲労が異常なほど募っているようだ。昨日の夜缶を詰めて勉強していたせいかもしれない。
琴吹さんもすでに帰ってしまったので、俺も即座に退散することにした。
教室で勉強するのも一風変わってよいかもしれないが、今日は一番落ち着く自宅で勉強することにしよう。
俺はそそくさと鞄に荷物を詰め込み、帰路に就いた。




