帰宮の朝
さらっと新キャラ登場します。
どう足掻いても湿っぽく終わりようがなかった、昨夜の密かな帰還報告と、カイとのあれこれについての説明会から明けた、翌日。
ディアナは朝から、室内の整理整頓に追われていた。
「ひとまず主室はこれで大丈夫。あとの荷物は、私室と寝室に分けて……」
「ディー? そろそろ出るけど、いけそう?」
「あっ、ごめんカイ、ちょっとだけ待って。ここの危険薬品類だけ分けて、絶対触らないように明記しておかないと……」
「……わぁすごい。この先、後宮で毒殺騒ぎが起こったら、真っ先に疑われそうなラインナップ」
「毒だけでもないけどね。どの子たちも、調合次第で人を助ける薬になってくれるから」
「ダンドロのエキスとか、完全にそっちだよね~」
「ペッラと合わせると毒効を消せるけど、毒の方にもまた使い道があってね……調合のこと考えると、結局エキス状態での持ち運びか、根茎での持ち運びが便利、って話になるのよ」
「まぁ、去年のアレコレでディアナに毒は無意味って分かってるだろうから、さすがに同じ轍を踏むバカは居ないと思うけど……ねぇ?」
苦笑するカイに、肩をすくめて苦笑を返し、私室の一角に〝危険物エリア〟を作って。
「後は、ちゃんと帰ってきてからにするわ。ごめんねカイ、お待たせ」
「俺は良いんだけどね。ノーラン商会で、衣装一式全部変えなきゃいけないのはディーだけだから」
「あら。〝カリン〟にはならないの?」
「側室さんたちは、後宮の代表だった『名付き』の三人以外、出立式に参加してないからね。『紅薔薇の間』付きが全員スタンザへ同行したのは知ってても、その中に〝カリン〟は入ってない。今回は後宮の門前に馬車が着くみたいだし、下手に〝カリン〟が居た方が『あんな侍女いたっけ?』って疑問に思われるよ。『紅薔薇の間』の侍女は五人、女官は一人っていうのが、後宮内の認識なんだから」
「なるほど……」
「俺はディーが馬車へ乗り込むのを見届けたら、ひと足先にこっちまで戻っとく予定。ちょっと時間あるし、何かしとこうか?」
「そうね……。じゃあ、できたらで良いけど、この辺りの荷物を調薬系と診察系でざっくり分類しておいてくれると助かる」
「分かるのだけで良い?」
「もちろんよ」
「りょーかい。じゃあ、やっとく」
その言葉を区切りに、カイはディアナへ『隠形』をかけて、二人は『紅薔薇の間』近くの廊下から隠し扉の中へ入った。そろそろ隠されていることを忘れそうなほど慣れ親しんだ通路を、カイの案内のもと、上下左右にひたすら歩いて。
「あ……今、外へ出た、わよね?」
「うん。ディーも霊力の気配が分かるようになってきたか」
「何となくだけど。空気が違うのは分かるわ」
そこからまた、しばらく歩く。大地の気配を感じられるディアナだから、今、王都のどの辺りを歩いているのかおおよその見当はつくが、幾つも分かれ道があるこの隠し通路を熟知するのは、かなり至難の業だろう。改めて、稼業者としてのカイの熟練度は相当なものだと感心する。
――そうこうしているうちに、いつの間にか、地上へ向かう階段が見えて。抜け出た先は、一昨日とはまた違う、古い時代の建物だ。
「ここも、出入り口なのね……」
「知ってた?」
「建物は知ってる。アスト王時代に建てられた噴水庭園で、庭を取り囲む建物が当時の面影を色濃く宿してる、って評判だもの。噂じゃ、どこかの商家が権利書を持ってて、上モノごと貸し出しもしてるんだけど、賃貸料がめちゃくちゃ高いせいで、完全に土地を遊ばせてるだけの状態になってる、って」
「あ~、たぶんその商家は王宮と繋がってる誰かさんだね。公的な土地だと遊ばせてるのは不自然だから、個人所有の賃貸物件って建前にして、実際は誰にも貸さないようにしてるんだよ。王都の隠し通路出入り口の建物って、だいたいそんな感じみたい」
「それは……聞いたことないけど、たぶん我が家も一枚噛んでる気がする」
「あ、うん。それは俺も思う」
そんな話をしつつ、建前上は個人所有の賃貸物件な噴水庭園を抜け、大通りへ出れば、ノーラン商会はもう目と鼻の先である。
「そろそろ良いかな……『隠形』解くよ」
「えぇ、お願い」
頷いて、術が解けるのを確認し。
向かったのは、ノーラン商会王都本店の、従業員出入り口である。
「こんにちはー」
「おや、ディアナ様。いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは、本店の店長。ノーラン商会長夫妻の信頼厚い御仁で、フィオネの出自と親族関係を知るうちの一人だ。
「ごめんなさい、少し遅くなっちゃって。叔母様はいらっしゃるかしら?」
「えぇ。先ほどから、奥でお待ちですよ」
「わわ、早く行かなきゃ。……カイはどうする? どこか行くところとかある?」
聞いたのは、せっかく王都へ出たのだから、カイにも何か用事があるのではと思ったからだが、彼は当たり前の如く首を横に振った。
「今のところ、王都で済ませる用事は特にないかな。店長さんさえ良ければ、ここで待ちたい」
「私どもの方は、特に問題ありませんよ」
「じゃあ、待つよ」
「分かったわ。行ってくるわね」
「はーい、いってらっしゃい」
手を振るカイに見送られ、商会の家屋内にある貴人専用の着付け室へと、ディアナは一人でてくてく進む。普通は表の、貴人専用の商談室から店員に先導されて入る部屋だが、何度もノーラン商会を訪れて、家屋の構造を把握しているディアナに案内は必要ない。
やがて到着した着付け室のドアを、軽くノックすると。
「開いてるわ、お入りなさい」
「はい、叔母様」
ドアを開け、入った先には。
「遅いわよ、ディアナ。何してたの」
「申し訳ありません、叔母様。ナーシャ様の治療に当たり、クレスターから手当たり次第に送ってもらった荷物が、主室まで侵食しておりまして。部屋があのままだと、さすがに帰ってきたみんながびっくりしちゃうなぁと思って、軽く片付けを……」
「あなたは暫定『紅薔薇』で、王の側室の一人なのよ? その程度の仕事は、人に任せることも覚えないと」
「そうなんですけど、送られた荷物の中には、取扱注意な危険物もあって……」
「そういうのは、侍女と一緒に片付けながら、取り扱い方を学んでもらうの。じゃないといつまで経っても、侍女たちが主人の持ち物について理解できないでしょう」
「な、なるほど」
「分かったら早く、湯を浴びていらっしゃい。――お前たち、頼むわよ」
「はい、奥様」
商会の腕利き着付け師をずらりと並べ、ドレスもアクセサリーも化粧品も準備万端整えて、飾り立てる張本人の到着を待っていたフィオネに、開口一番怒られた。彼女の言葉は至極もっともなので、反論は控えめにして、殊勝に頷いておく。
付属の浴室で湯をもらい、着付け師たちに頭から足先まで磨かれてから、本格的な着付けを開始。久しぶりのコルセットに顔を顰め、ドレスの重さにうんざりした後は、髪と顔を『紅薔薇』仕様に整えられて。嫌味なほどのアクセサリーを身に纏えば、出立式よりなお煌びやかな『紅薔薇様』のお出ましとなった。
「このまま陛下との謁見に挑んでも問題ない程度には豪華ですね……」
「これはあくまでも、〝スタンザにて国使の役目を果たし、堂々と凱旋帰国した紅薔薇様〟をアピールするための武装よ。謁見時は、より完璧な装いにしてもらいなさい」
「これは完璧じゃないのですか?」
「あなたがスタンザへ持って行った〝備品〟の中でも豪華なものを再現したけれど、所詮は複製だから。宝石も上質なものじゃないし、ドレスだって、全体的な品質は落ちるわ。国使団としての威厳を示すなら、やっぱり〝本物〟でないとね」
「そういうものですか……」
「あと、慣習の問題もあるわ。謁見の後はそのまま晩餐会なのでしょう? 舞踏会ほど大袈裟ではないけれど、晩餐会もまた、夜の社交に入るから。準正装だとドレスコードが違うの」
「あぁ、そうなるのですね。わたくし、実のところ、正式な晩餐会に参加するのは初めてなもので」
「何度か練習がてら、クレスターで模擬晩餐会は開いたけれど、他所へお呼ばれする機会なんてそうそう無いものねぇ」
「クレスター家だから、というのもありますが、わたくしの歳で晩餐会の招待客となるのは、結構なレアケースかと」
「それは、えぇ、間違いないわ」
貴族における〝晩餐会〟とは、それぞれの家で賓客を招いて行う、正式な手順に則った食事会を指す。ダンスありきの夜会よりさらにフォーマルな場であり、もてなす側は家の当主夫妻、客人側は当主夫妻と同格か、さらに上の身分であることがほとんどだ。身分が親の爵位に付随する独身者が呼ばれることは、自邸で開催される晩餐会であってもほぼあり得ない。
ましてや、国王主催の晩餐会ともなれば、それこそ招待客は他国の王侯貴族レベルでないと釣り合わないはずだが。今回に限っては、予想に反し帰ってきた国使団をどう扱うか、王宮内でも困惑が強かったのだろう。
「――とにかく、これで外見は概ね取り繕えたはずよ。あとは馬車と合流するだけね」
「馬車は今、どの辺りを走っているのでしょう?」
「さっき、王都へ入ったと連絡が来たわ。ちょうど良いタイミングね」
「到着は遅くなってしまったのに……間に合わせてくださりありがとうございました、叔母様」
「どういたしまして。『年迎えの夜会』には参加する予定だから、また元気な顔を見せてちょうだい」
「はい、必ず」
しっかりと頷き、世話してくれた着付け師にも謝意を示して、ディアナは再びフィオネとともに、従業員控室へと戻る。このドレスのまま外へ出たらどうしても目立ってしまうため、短時間ではあるが、カイに『隠形』の霊術をかけてもらわねばならない。
ドレスが崩れないよう慎重に、先ほどよりは時間をかけて廊下を歩き。やがて見えた従業員控室のドアを、先に歩いていたフィオネが開けてくれて――。
「あーっ、くっそー! もう一回だ、もう一回!!」
「……いやぁ、もう止めない?」
「そうだよ~、お兄ちゃん」
「ネロの馬鹿野郎! 男には、決して引けない戦いがあるんだ!」
「お兄ちゃんが引かないのは勝手だけど、さっきからボロ負けしかしてないじゃん。実力差がありすぎるから、何回やっても一緒だって~」
「傷つくから本当のこと言うな!!」
ドアが開いた瞬間、賑やかな声が控室から溢れてくる。首を傾げたディアナを他所に、フィオネは一足飛びに室内へと入り込み、声の主の頭をスパンと張り飛ばした。
「サム! あんた何してるの!」
「母さん! だってよ~、母さんが言ってたディア姉ちゃんの未来の旦那ってコイツだろ!?」
「だったら何よ?」
「悔しいじゃん、こんなぽっと出の奴に姉ちゃん取られるなんてさぁ~! せめて姉ちゃんに釣り合う奴かどうかくらい、試させろよ!」
「それで、カードゲーム三本勝負かける五くらいやって、全戦全敗だったの~」
「ばっか、ネロ! それは言わなくていい!」
「あぁ……なんかごめんねぇ、カイ」
「いや、別に良いけど。ノーランさんちの男性陣が、揃いも揃ってディー過激派なのは、エドワードさんからちらっと聞いてたし」
カイがフィオネに淡々と返している辺りで、ようやくドレスを庇いつつ、ディアナも控室への入室に成功する。もちろんカイは最初から気づいていたようで、すぐに手を差し伸べてくれた。
「大丈夫、ディー?」
「えぇ。久しぶりの準正装とヒールに、ちょっと感覚が追いついていないだけ。すぐ慣れるわ」
「ディア姉ちゃん!」
「ディアお姉ちゃん、こんにちは!」
「こんにちは、サム、ネロ。久しぶりね、元気だった?」
サミュエル・ノーランとネローニ・ノーラン。今年十五歳と十三歳になるフィオネの息子たちで、ディアナにとっては従兄弟である。親戚関係は良好のため、ディアナが後宮入りするまでは、割と気軽に互いの家を行き来していた。年が近い分、子どもの頃はよく一緒に遊んでいたため、少し年上の従姉妹として慕われている自信はあったが。
「本当に久しぶりだよ……! 姉ちゃんが後宮なんかに行ってたせいで、二年ぶりくらいなんだからな!」
「そっか。どうりで、サムの背がずいぶん伸びたと思ったの」
「だろ!? もうすぐ姉ちゃん追い越すぜ!」
「ディアお姉ちゃん、僕は~?」
「ネロも大きくなったわ。前に会ったときより、ずっとお兄さんになってる」
「えへへ。やったー!」
明るく活発なサムはフィオネによく似たキリッとした顔立ちで、人当たりよく穏やかなネロはジンと似た温和な顔立ちの、どちらも両親の良いところを受け継いだ美形だ。フィオネはクレスター家直系の血筋であるため、悪徳娼館を経営していそうな悪人面をしているが、その息子二人の顔面に悪人要素は遺伝していない。どういう仕組みかは不明だが、クレスター伯爵家の悪人面は代々、長男の子限定で継がれていくため、このように血の繋がりが見受けられない神秘の従兄弟姉妹が世代ごとに爆誕している。
「ところで、さっきは何してたの?」
「学校から帰ってきたら、従業員室に見たことない人がいて。店長が紹介してくれた名前が、お母さんから聞いてた、ディアお姉ちゃんの彼氏さんのだったから、お兄ちゃんがいちゃもんつけてたの」
「人聞き悪いこと言うなよネロ!」
「……それより何より、〝私の彼氏〟ってナニ。いたことないけどそんなの」
「世間一般で言う彼氏彼女の関係じゃないもんねぇ、俺ら」
「えっ、母さんの勘違い!? コイツ、姉ちゃんの未来の旦那じゃねぇの!?」
怒涛の勢いで詰めてくるサムを、カイがぐいとひっぺがす。
「〝旦那〟の意味は知らないけど、将来の約束をした仲ではあるよ」
「あらあら。ついになのね」
「ディー過激派なのはそっちの勝手だし、勝負はいくらでも受けるけど。負けるつもりも譲るつもりも全くないから、そこは諦めてね」
「なんだよそれ~!!」
「ほらぁ、だから言ったでしょ。勝ち目ないって、お兄ちゃん」
「ネロだって母さんから話聞いたときはぶすくれてたろ!」
「僕はお兄ちゃんと違って、無駄な勝負はしない主義なの。――やるなら、確実な勝ち筋見極めてからだよ」
「……弟くんの方が、見た目も中身もジンさん寄りっぽくて、油断ならないんだよなぁ」
のんびりしたカイの雰囲気といい、実にほのぼのとした一幕ではあるが――いや、うん、ちょっと待ってほしい。
「……いつですか?」
「あら、どうしたのディアナ?」
「叔母様、いつサムとネロに、カイの話をしたのですか?」
「えぇっと……ああホラ、今年の雪月頃に、後宮からご側室が誘拐された関係で、衣装とか色々協力したでしょう。あのとき初めて、カイと顔を合わせてね」
「確かに、そうでしたね」
「で、その日の夜、夕食のときに雑談がてら、『ディアナの未来の夫に会った』って話を」
「早くありません!?」
シェイラの誘拐から貴族議会辺りは、まだディアナの中に恋心の芽生えがあったようななかったようなの、曖昧極まりなかった頃だった。そんな前から、ノーラン家の食卓では、カイがディアナの何とやら的に語られていたとは。
「別に早くないわよ。話してみて、カイがディアナを特別に想っているのはすぐ分かったし」
「……特別隠してはなかったからなぁ」
「ディアナの頼みごとを十全にこなしてきた時点で、ディアナの隣と一番に頼られるポジションを譲る気ないのも明白だったし」
「それはずっとそう」
「何より――『闇』すら頼れない状況下で、自分の心を全部曝け出さなきゃできない頼みごとを託せる相手が、ディアナにとって特別じゃないわけないでしょう」
「ぅ……」
ぐうの音も出ないフィオネの分析に、顔が熱くなっていくのが分かる。昨晩もジュークから「ディアナとカイがこうなることは、ディアナ以外の全員が知ってた」と言われて大変驚いたが、こうも冷静に己の気持ちを読み解かれると、驚き以上に羞恥心がすごい。
誰にも視線を向けられず、結果的に真っ赤な顔で俯くこととなったディアナを、カイが引き寄せてくる。
「……かーわいいね、ディー」
「ちょっと……今はそれ、困る。こんなところを〝可愛い〟カウントしなくて良いから」
「無理だよ。だってかわいいもん」
「それ、前からよく言ってくれるけど、『紅薔薇』仕様の私を可愛いと思うあなたの感性って、まぁまぁ独特だと思うのよね……」
「仮に独特だとしても、その分ディーを可愛がる時間が増えるだけだから、俺は別に困らないし」
「私は困るの!」
というか、今この場には、叔母と従兄弟というかなり近い親戚がいるのだ。向こうだって、よく知る人間のこんな場面は見たくないだろう。
そう思って、カイをぐいと押して距離を取りつつ、謝罪の意を込めて三人の方を見ると。
「ホラ、ね? 分かったでしょ? あんたたちもいい加減、ディアナ離れしなさい」
「ちくしょう……」
「預けるだけだもん。いつか勝つもん!」
涙目になり消沈するサムとネロの肩をポンと叩くフィオネという、よく分からない一幕が展開されていた。どういう話の流れでこうなったのかと首を傾げたところに、いつの間にか表へ出ていたらしい、王都本店の店長がやって来て告げる。
「ディアナ様、奥様。エルグランド使節団の馬車が到着いたしました」
「あら、ありがとう。わたくしが応対します。――ディアナはその間に、馬車へ入っておきなさい」
「分かりました。何もかもありがとうございます、叔母様。また会う日まで、どうかお元気で」
「もちろんよ。あなたもね」
笑って愛用のベールを被り、去っていくフィオナ。一瞬で〝母親〟から〝ノーラン商会女主人〟の顔になったフィオネを見習い、ディアナも深呼吸して気持ちを切り替える。
(ここからは――『紅薔薇』よ)
「サム、ネロ。短い時間でしたが、久しぶりに会えて、楽しかったわ」
「――俺もです、ディアナ姉様」
「また会える日を、お待ちしております」
さすがは、フィオネとジンの薫陶を受けた息子たち。こちらも見事な切り替えである。
互いに頷き合うまで見守ってから、カイが『隠形』の呪符を取り出した。
「じゃあ、かけるよ。解除はエドワードさんにお願いしてね」
「分かったわ。――カイ、あとでね」
「うん。短い時間だけど、気をつけて、ディー」
カイが掲げる呪符を見つめながら、再び動き出す『紅薔薇』の時計の針を、ディアナは確かに感じていた。
存在自体は明言されていましたし、私の中では随分前から自己主張激しかったので新キャラ感はさほどないですが、ディアナの従弟二人のお目見えでした。
ディアナが絡むと残念な感じですが、ジンとフィオネの美点を顔も中身も受け継いでいる二人ですので、クレスター兄妹に負けず劣らず、ノーラン兄弟もハイスペックです。




