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逆さの世界で、初めて見た空と海  作者: でこぽん
第一章 逆さの世界

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7/8

7「碧翔(あおと)」

ーープープープー

《おはようございます!只今、逆歴135年86日6時!天候は赤!今日は回収作業がお休みです!一日頑張りましょう!》

ーープープープー


朝を告げる放送が、大音量で居住区に鳴り響く。


「……あまり寝れなかったな」

布団の中でぼやきながらも目を覚ました澪空。

窓の外は、毎日“毎時”赤みを帯びた光が街を照らしている。


重い瞼をこじ開け、左腕のデバイスを確認する。

【夜残高:3時間】


無機質なベッドから起き上がり、顔を洗いに行く。

「…増えてないかな?」

鏡に映る自分の顔が気になる。

今日会う自分より若い“友達”を意識しながら、目元のシワを指で伸ばしてみる。


「…何やってるんだろ」

適当に洗顔を済ませ、無地のシャツとパンツを取り出し身支度を始める。

今日は、“友達との約束”。休みを丸一日使う事に少し気だるさを覚えながらも、部屋を後にする。


ーー配給センターに着いた。


『1日分の食料はこっちだよー!』『半日分はこっち!』『備蓄用はここ!』

いつもと変わらない風景。

ふと備蓄の方に目を向ける。昨日とは別の人になっていた。


1日分の食料を受け取り入り口へ向かう。

少し早かったのか、碧翔の姿はまだない。

なにもすることがなく見上げたマントルは、変わらず赤い。


「おはよう!」

碧翔が息を切らして駆け寄ってきた。


「おはよう。走ってきたの?」

「部屋を整理してたら遅くなっちゃって!食料はもう買った?」

「買い終わったよ。待ってるから行ってきたら?」

「わかった!すぐ買ってくるよ!」

そう言ってまた走り出した碧翔の背中を見つめる。


そんなに急がなくてもよかったのに…

そんなことを思いつつも、なぜか口元が緩む。



ーー戻ってきた碧翔と居住区へ向けて歩き出す。


「そういえば、澪空の部屋はどのあたり?」

「配給センター側の地区。」

「そっか!だから今日早かったんだね!明日は俺も早く行こうかな!」

そう言って微笑む碧翔に戸惑う。

毎日会う前提なのかな…。



そんな話をしている間に碧翔の部屋に着いた。

澪空の部屋より少し広い。


「俺一人だからちょっと散らかってるけど…」

「失礼します…」

碧翔の部屋は澪空の部屋より少し広かった。

散らかっている訳ではなかったが、本やファイルなどが部屋の一角を占領していた。


「まぁ、適当に座ってよ!遺物の事だっけ?」

そう言いつつ、本やファイルを漁る碧翔。

たくさんの写真が挟まったファイルを取り出す。


「見て。これが両親」

ファイルの1ページを広げ見せてきた。

若く見える男女が小さな男の子と写っている。


「俺の家系、昨日の言ったとおり代々回収作業員で、よく遺物を持って帰ってたんだ。そこで、家族からいろんな話しを聞いてちょっと詳しくなったんだ。」

そう話す碧翔は、少し誇らしそうにも見える。


「でも、3年前、回収作業に出てから2人もと行方不明でさ。だから俺、回収作業しながら2人のこと探してたりもするんだ!」

碧翔の話を聞き驚いた。

明るい、悪く言えば何も考えてないだけだと思っていた事に後ろめたさを感じた。


「私の両親は、配給センターで働いていたんだ。」

人の事情に触れてしまった罪悪感からか、つい自分の事情もうちあけてしまう。


「配給センターって、安定してるしいいんだけど貰える夜が少なくて、40歳で2人とも老死。だから私は長生きしたくて回収作業員になったんだ。ま、この通り上手くいってるとは言えないけどね。」

自虐的に笑いつつも目元のシワを指で触れる。

気づいたら、普段なら話さない事を話していた。


「澪空って、何歳なの?」

少し暗い顔をした碧翔が聞いてきた。


「18歳だよ。碧翔は16歳ぐらい?」

「俺は、20歳。そんなに若く見えるかな?」

「え?嘘!?」

自分より遥かに若く見える碧翔の年齢に驚きを隠せない。


「回収作業員って、そんなに夜があるの?」

「そうなんだ。遺物の事も含めてさ、この部屋の写真とか実物を見てもらった方が早いかなって思って来てもらったんだ!」

そう言って、またなにかを取り出したーー



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