6 初めての友達
ーープープープー
《おはようございます!只今、逆歴135年85日6時!天候は赤!今日も一日頑張りましょう!》
ーープープープー
久しぶりの長い夜にスッキリと目覚めた。
左腕のデバイスを確認する
【夜残高:2.5時間】
デバイスから目線を上げると白い玉が視界に入る。
「今日は1日分と備蓄用の食料も買おうかな」
鑑定前の遺物に期待を寄せつつベッドから起き上がる。
身支度を済ませる。
忘れないように置いていた白い玉をポケットに入れ、部屋を後にする。
ーー配給センターに着いた。
『1日分の食料はこっちだよー!』『半日分はこっち!』『備蓄用はここだよ!』
いつもと変わらないハズなのに、少しソワソワする自分がいる。
「碧翔…居るのかな…」
ふと、立ち止まり、ポケットに入れた白い玉に触れる。
「そんな所で急に立ち止まるな!並ばないならどけ!」
イラついた声に、我に返る。
すみません。と小さく謝りながら、1日分の食料の列に並ぶ。
ーーピ
【夜残高:2.5時間⇒1.5時間】
食料を受け取りデバイスを確認する。
「後は備蓄か、」
そう呟きつつ、備蓄用の列に並び直す。
順番が回ってきた。
「はい。何日分にする?…って、澪空かい?」
配給センターの人の顔をよく見る。
「あ、母の同僚の…」
配給センターで働いていた母の仕事を終わるのを待っているときに何度か話しかけてくれていた人だった。
「そうそう!久しぶりだねぇ。元気にしてたかい?さ、何日分の食料にする?」
「ご無沙汰してます。ありがとうございます。今日は1日分でお願いします」
ーーピ
【夜残高:1.5時⇒0.5時間】
「はい。食料。あんたのお母さんが亡くなってからあまり見かけなかったけど、なんとかやってそうでよかったよ!」
「ありがとうございます」
そういいつつ、食料を受けとる。
ーーズシッ
「あれ?この量…」
「同僚のよしみってやつだよ!政府には内緒だよ!行ってらっしゃい!」
「本当にありがとうございます。行ってきます!」
母の温もりに触れたような気がして、嬉しいような少しむず痒いような気持ちになりながらも、仕事場に向かった。
ーーーー
仕事場について直ぐ、鑑定所に向かった。
白い玉を鑑定してもらう。
『夜4時間ですね。』
デバイスをかざしてください。
ーーピー
【夜残高:0.5時間⇒4.5時間】
「ちなみに、これって何だかわかりますか?」
『私では、わかりかねます。本日も回収作業よろしくお願いします。』
半ば追い出されるように鑑定所を後にする。
仕事場では、朝礼の最中だった。
端の方に参加し、話を聞く。
「一昨日に引き続き昨夜も重力変動が発生した。発生地点をデバイスへ共有しているので、一日近づかないように。以上、作業を開始してくれ。」
ーーピ
通知音が鳴ったデバイスを確認する。
「やっぱり昨日の場所の直ぐ近くだ。巻き込まれなくてよかった。」
回収用具を受け取り、昨夜作ったマップを確認しながら歩き出す。
ーーこの辺りでいいか。
発掘作業をはじめる。
重労働に定期的に腰を伸ばす。つい、辺りを見回してしまう。
「また明日って言ったのに…」
無意識に呟いてしまった言葉にハッとする。
「いやいや!別に探してないし!遺物がありそうな場所を探してるだけだし!」
気持ちをごまかすように、自分自身に言い聞かせるように発してしまう。
ーー掘る。
石。
掘る。
鉄屑。
掘る。
2日連続は見付からないか…
そんな風に考えていると
「やっといた!」
振り返ると碧翔が立っていた。
「探してたの?」
驚きながらも聞いてしまう。
「もちろん!友達とした約束は守るよ!」
友達…
私達はそういう関係なんだろうか。
「だったら、もっとわかりやすい約束にしてよ!場所とか…
というか、昨日の遺物、鑑定所の人でも知らなかったのに何でわかったの?」
「ごめんごめん。俺も友達と約束とか初めてでさ!
で、俺の家、代々回収作業員で。それで、ちょっとここでは言いにくくて…
そうだ!ちょうど明日休みだし、俺の部屋においでよ!
そうだな、明日の配給センターで食料を受け取った後に入り口らへんってことで!」
「わかった」
勝手にいろいろ決められた事に少しモヤモヤしつつも、遺物の事が気になった。
「今日は何か見つけた?実は俺、澪空を探してて作業全然してなくてさ!」
「は?ちゃんと作業しないと、どうなっても知らないよ!」
少しはにかんだ笑顔で告げた碧翔に、少し呆れつつも、二人並んで作業を始めた。




