5 夜を待ちながら
ーーガチャ
無機質なドアを開けた。明るい部屋。
左腕のデバイスを確認する。
【時刻:21時】
【夜残高:5.5時間】
「休みが近いけど、遺物もあるし今日は3時間買っちゃお。遺物が見付かるなら食料1日分買ってればよかったな…」
半日分の食料しか買わなかった事を後悔しつつ、ドア付近の端末を操作する。
《本日の夜は3時から6時ですね。デバイスをかざしてください。》
久しぶりの夜の長さに少し浮かれながらデバイスをかざす。
ーーピ
【夜残高:5.5時間→2.5時間】
目元のシワを触りながらデバイスを確認した。
「お腹空いたな…」
そう呟きながら棚を漁り買いだめしておいた食料を取り出し、口の中に流し込む。
「逆歴前って、食料も違ってたのかな?って、なに考えてるんだろ。昔の事なんて考えても意味ない。」
思考を辞めて、シャワーを浴びた。
左腕のデバイスを確認する。
【時刻:22時】
【夜残高:2.5時間】
「夜まで時間あるな…」
髪の毛をタオルで拭きながら、机へ向かう。
腕のデバイスからマップを引き出し、机のスクリーンとリンクさせる。
遺物を見つけた場所等をまとめていく。
「重力変動発生場所がここ。ボール?だっけ、見付けたのがここ。あ、その後にここら辺で、また重力変動。だから、明日は…」
マップに情報を追加していた手が止まる。
「また明日………
ダメだ。気が散る…」
早々に作業を切り上げた。
椅子から立ち上がり、汚れた衣服を集め部屋を出た。
居住区近くの“生活所”へ歩いていく。
服のマークがある建物に入る。
広くはない室内に端末がいくつか設置された台がある。
台の上に汚れた衣服を置き、端末を操作する。
【作業着:3、部屋着:3】
入力が終わると台が開き、汚れた衣服が飲み込まれ綺麗な衣服が現れる。
衣服を取り建物を後にする。
帰り道見上げたマントルは、変わらず赤い。
部屋に着き、衣服を片付ける。
翌朝着る作業着の上に白い玉を置く。
デバイスを確認するとまだ1時。
「まだ夜じゃないけど…いっか。」
ベッドに横たわる。目を閉じても明るさが伝わってくる。
ふと目を開けると白い玉が視界に入った。
“また明日”
その言葉が頭をよぎり、ギュッと強く目を閉じた。




