8 あり得ない仮説
碧翔は古びたアルバムを取り出した。
そこに写っていたのは、
青い空
白い雲
青い海
白い砂浜
笑顔の人々。
「これって…逆歴前の写真…?」
聞いたことのあった“空”の写真。
『澪空って名前はね、空からこぼれたような海の青さって意味で付けたの。どこまでも青く、美しくいてほしくて』
母から聞いていた、自分の名前の意味を理解する。これが、こぼれそうな“青”。
ただの昔話だと思っていたものが、目の前にあった。
「そうだよ。祖父が回収作業の時に見付けて、そのままうちに残してたんだ!」
碧翔の返事で我にかえる。
「逆歴になってから、代々回収作業員だからさ、こういう遺物を貯めて、夜が足りない時とかに使ってるんだ!」
碧翔が夜に余裕がある理由がわかった。
それと同時に疑問が浮かんだ。
「遺物って、見付けたらすぐ、鑑定に出さないと、違反じゃないの?」
「そうだよ。だから、2人だけの秘密!」
重大な秘密を軽いトーンで話す碧翔に驚きを隠せない澪空をよそに、話を続ける。
「なぁ、逆歴って本当に自然現象なのかな」
「なに?急に?陰謀論の人工的に起こされた!ってやつ?」
少し冷めた笑いを含みつつ問いかけた。
「いやさ、配給される食料も、回収した遺物も、結局どこから来てどこへ行くのか知ってる?」
考えたこともない、いや、あえて考えようとしなかったことだった。
真面目に配給センターで働いた両親。でも、支給される夜が少なく、子供だった澪空に夜を与えるために、自分たちを犠牲にして、早死にした。
その時は、それが当たり前だと思っていた。
でも、その夜の量を決めているのはーー




