22 分かれ道
ーーパンッ
乾いた破裂音が聞こえると同時に、碧翔の後ろの壁にヒビが入った。
ヒビ割れた壁からカラカラと小さなコンクリートが落ちる。
あ…持って帰れる…。
ほぼ無意識に、落ちたコンクリート片に手をのばす。
「なにやってる!」
碧翔の声でハッとした。
それでも、体は動かなかった。
碧翔は、コンクリート片へ向けたわたしの手を掴み、そのまま強く引き上げた。
「走れ!」
碧翔は、そう言いながらわたしの手を引いて走り出した。
「まって!なんで走ってるの?」
状況が理解できず、手を引いて走る碧翔にたずねる。
「わかんねぇ!けど、コンクリートを壊せる何かが俺達めがけて飛んできたんだ!
とりあえず、あの場所は危険だ!」
「そ…そうだね!」
碧翔の返事でようやく状況を飲み込めた。
ーー走る。
ただただ、どこまで続いているのかもわからない通路を走り続ける。
20分か30分ぐらい走り続けた。
「だいぶ走ったな。もう歩いても大丈夫かな」
普段から一日中歩き回る回収作業には慣れている。
それに昨晩は、いつもより長めの夜を使って休めたからか、思ったほど疲れは感じなかった。
「そうだね。でも、もう戻るのは危ないってことだよね。どうやって帰ろう…」
「そうだな、とりあえず先にすすむしかないな」
そう話しながら、2人はまた歩きだした。
歩き始めてしばらくすると、分かれ道になっていた。
片方の道は、見慣れた建造物の土のような素材でできた道。
もう片方は、一面コンクリートでできた通路。
分かれ道の前で立ち止まる。
「碧翔…。どっちにいこう?」
「そうだな…。俺としては、こっちに行ってみたい」
そう指差したのは、コンクリートの道だった。
「わたしも、そっちが気になった。でも、戻れる可能性があるのはこっちだよね」
そう言いながら、碧翔とは反対の通路を指差した。
「でもさ、もしそっちの道で戻れたとしても、こっちの道がどうなってるのか、確認してからでもよくない?」
「そうだね。こっちの道が必ず戻れるって保証もないし、ここまで来たんだから、最後まで行ってみたいね」
そう言って、コンクリートの道へ歩きだした。
視界一面コンクリート。
小走りと歩きを繰り返しながら、進み続けた。
ーーどれぐらい進んだんだろう。
そんなことを考えるぐらい、走り続けていたとき、通路の先に何かが落ちているのを見つけた。
落ちているものに駆け寄ると、それは手帳だった。
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『碧翔。一緒にこの景色を見たかった』




