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逆さの世界で、初めて見た空と海  作者: でこぽん
第一章 逆さの世界

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2 遺物回収作業員

朝食を済ませた澪空たち回収作業員は、専用の乗り物へ乗り込む。


運転手のいない、大きな一枚岩のような乗り物だ。座る場所はない。気を抜けば落ちることもある。

澪空はこの乗り物が嫌いだった。



しばらくすると、仕事場が見えてきた。

遠く地平線まで続く巨大な黒い構造物。この構造物の端を見た者はいない。


どこから始まり、どこで終わるのか。それすら誰も知らなかった。

「いつか端を見てみたい」

そんなことを思ったのは遠い昔だ。



仕事場に着くとすぐに朝礼が始まった。


「昨夜、重力変動が発生したとの報告が入っている。発生地点付近で作業をしてした者2名が行方不明となっている。」

後ろの方で話を聞く。


「重力変動の発生地点をデバイスへ共有しているので、一日近づかないように。以上、作業を開始してくれ。」


ーーピ

通知音がなったデバイスを確認する。

「うわ、狙ってた場所の近くだ。今日は場所探しからか…」


回収用具を受け取り、デバイスに表示された場所を背に歩き出す。


「…この辺りでいいか。」

1時間ほど歩いた足を止める。

他の回収作業員が遠くに見える。


掘る。


また掘る。


腕がだるい。


回収作業員というと遺物を探す仕事に聞こえるが、実際はほとんど土木作業だ。


パッと見て見付かる物は、政府が既に回収済み。少し掘って見付かる物は、他の回収作業員が回収済み。


だから澪空が狙うのは、巨大な構造物の下敷きになった遺物だ。


ーー数時間後。


泥だらけになりながら掘り出した金属片を政府の鑑定所へ持ち込む。


スーツ姿の職員が鑑定器に通す。


結果は――

『建材です。夜の加算対象外です』


「…そうですか」


『本日の作業分のみ支給しますので、デバイスをこちらへかざしてください』


ーーピー

【夜残高:3.5時間→5.5時間】

表示された夜残高に、つい目元のシワを触ってしまった。

「まぁ、そんな日もあるか」


『本日の必須作業時間は終了しましたが、作業を続けられますか?』


澪空は少し考える。

「今日の目標に届いてないしな…作業続けます」


『かしこまりました。本日の居住区への最終便は20時となります。必須作業時間外で回収された遺物に関しては、必ず翌朝にご提出ください。』



鑑定所を後して、また歩き出す。

ふと見上げた先には、朝と何も変わらない“マントル”がそこにある。



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