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逆さの世界で、初めて見た空と海  作者: でこぽん
第二章 境界の向こう

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19/24

19 また明日

碧翔の部屋についた。

「失礼します…」

2度目となると、部屋にも少しなれてきた。


「とりあえず、適当に座ってよ。今日もお疲れさま」

「ありがとう」

そう言って、碧翔の向かい側の椅子に腰かける。

ふと視線を上げると、一瞬だけ目があったあと、すぐにそらされた。


わたしの顔が老けてるから、見ようとしないのかな…

シワの少ない肌…羨ましい…



碧翔は、目をそらしてしまった手前、視線が泳ぎながら話し始めた。


「なぁ、今日の場所、樹って人の日記にあった“コロニー”だよな…」

碧翔はそう言いながら、発掘したキーホルダーをポケットから取り出した。


「そうだね…その遺物がなにかはわからないけど、その写真に写ってる景色は、日記に挟まっていた写真に似ているもんね」

キーホルダーの中の写真を見ながら言った。


「逆歴は、あそこから始まったのかな…

これも、もしかしたら、琴音って人のものかもしれないね」

資料の中だけの話だったのが、今日見つけた遺物で一気に現実になったーー


2人の間に少しだけ無言が訪れた。




「そういえば、樹と琴音って、どういう関係だったんだろう」

続ける言葉が見つからず、ふとした疑問を口にした。


「“旅行”に行くってあったし、でも別に暮らしてるみたいだったから、夫婦になる前?あ、でも、伝えることがあるってあったからさらにその前…って、どういう関係なんだろうね」

話し出すと気になっていたことが一気に溢れてきた。


「そうだな…ここだと、子供・大人・夫婦しかないし、俺達みたいな夫婦になる前の関係ってことかな?」

「え?俺達みたいなってどういうこと?」

「あっ!いや、その…まぁ、なんだ。約束をして一緒に過ごす…みたいな感じかな」

言葉に詰まりながら話す碧翔。

その様子を見て、この話はあんまり続けると良くないのかと思い、話を変えることにした。


「なんか、ありがとうね!いろいろ話せて良かった!明日も今日と同じ場所で作業しよっか」

「あ、あぁ!そうだな!じゃ、また明日、朝礼で落ち合おう」

「明日は、一緒に遠くの目的地に行くね。樹の日記にあった“旅行”ってことかな。」

「そうだな!作業だけど“旅行”だな!楽しみだな。樹もこんな気持ちだったのかな」

「ふふ。そうかもしれないね。じゃ、また明日」

「また明日」

そう言うと、澪空は碧翔の部屋を後にした。

部屋の扉を閉めた後、碧翔は急に恥ずかしくなり、ベッドの布団に顔を埋めていた。



ーー「“旅行”か…少し変な感じ」

碧翔の部屋を出た後、歩きながら呟いた。頬が自然と緩んでいたことに気づかなかった。





ーープープープー

《おはようございます!只今、逆歴135年87日6時!天候はあか!今日も一日頑張りましょう!》

ーープープープー


左腕のデバイスを確認する

【夜残高:2時間】


何かがいつもと違ったような気がした。

けれど、その違和感はすぐに頭の中から消えていった。


今日は、初めての“旅行”。いつもの作業だろうけど、なんだか楽しみ。


そんなことを考えながら、部屋を後にした。


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