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逆さの世界で、初めて見た空と海  作者: でこぽん
第二章 境界の向こう

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17 埋もれていた証



ザッ ザッ ザッーーー

印の場所に向かって歩く。


何が見つかるのか、または何もないのか、そんな期待と不安からか、あまり言葉を交わさずにいたことに気がついた。


そんなとき、ふと碧翔の両親が残していた資料のことを思い出した。

「碧翔の名前って、“青く”、“羽ばたく”って書くんだね。

実はね、わたしの澪空って名前、“空がこぼれたような綺麗な海”って意味らしいの。

お互い空と海になってるんだね」

「え…そうなんだ!俺、“碧い海”と“羽ばたける空”を一度でいいから見てみたいって思ってるんだ!澪空は?」


そう訪ねられて、少し言葉に詰まる。

「わたしは…碧翔に会うまでは、おとぎ話みたいな名前だなって思ってた。でも、今は自分の名前が少し好きになったかな。碧翔の名前もかっこいいと思うし好きだな」

「そ…そっか!俺も澪空の名前、かわいくていいと思うよ!」

「ふふ、ありがとう」

なぜか、碧翔の耳が少し赤くなっている気がした。


碧翔との意外な共通点を見つけて、少し嬉しくなった。




ーーーー

そんな話をしていると、重力変動が頻発している場所についた。


「印の場所の手前だけど、一旦、ここを調べてみたいの。いいかな?」

碧翔は腕のデバイスで地図を確認する。


「いいよ。ここ、何年にも渡って、何回も重力変動が起きてるんだね」

「そうなの。碧翔のご両親の印の近くだし、何かあると思うの」

そう言って、2人は発掘作業を始めた。



発掘作業を始めてすぐに気がついた。

「ここの地面、一度掘り起こされた後みたいに柔らかくない?」

「そうだな…重力変動の影響もあるかもしれないけど、それにしても柔らかいな…」

碧翔も同じ感覚だったようで、違和感に確信が持てた。


ーーーー

2人で掘り進めていると、グニャっとした感覚と共に見たことがある白い玉が出てきた。


「これ…この前見つけた“野球ボール”?あれ?でも、ここに文字みたいな柄が入ってる」

「ほんとだ。もしかしたら“サイン”ってやつかも。名前を書いてるんだと思うよ」

「なるほど…自分の物ってわかるもんね」

碧翔の知識の豊富さに感心しながらも、白い玉をポケットにいれる。


これで一先ずは、今夜の夜残高のことを気にせずに作業ができる。

碧翔の手前、大きな声では言えなかったがホッとした。


そしてまた、発掘作業に戻った。




ーーーー

「澪空、これ…」

碧翔の声に振り返る。


碧翔が持っていたのは、手のひらに収まるサイズの遺物だった。

「それ、なに?」


碧翔は手のひらの遺物をそっとこちらへ向けた。

「写真が入ってる……」

汚れを丁寧に払うと、小さなキーホルダーの中に笑顔の人物が写っていた。


「ここ、本当に……人が暮らしていたんだ。」

思わず、そう呟いていた。


二人は言葉を失った。


この場所が、ただの重力変動地帯ではなかったことだけは、もう疑いようがなかった。


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