15 地図の端
澪空は、本を閉じた。
「ねえ。ちょっと変じゃない?」
「どこが?」
「自然災害で逆さになったって聞いてたけど、逆さになってそんなにすぐに、食料の配給なんてできるの?通信機も使えないって書いてるのに…」
「そうだよな。やっぱり食料がどこからきているか、気になるよな」
碧翔は、ニヤッと笑いながらそう言った。
さっき陰謀論だとバカにしたことを自分から碧翔に投げ掛けていた。
碧翔の表情に少し釈然としない気持ちになり、つい、目元のシワを触ってしまった。
「ところでさ、この“コロニー”って、どこにあるんだろう?
“琴音?”って人とバラバラになっている感じだと、やっぱり端の方なのかな?」
「資料探したら何かわかるかな…」
2人は、地図や記録を読み漁った。
地図や記録を何冊も読み返したが、それらしい記述は見つからない。
ふと棚の奥を見ると、厳重に縛られた資料の束が置かれていた。
「この束って開けてもいいの?」
「あー、、、
うん。いいよ」
歯切れの悪い返事をする碧翔。
不思議と思いつつも束を開くと、その理由がわかった。
「これ…ご両親の…」
それは、碧翔の居なくなった両親が残していた資料だった。
資料の合間に、碧翔の様子が書かれていた。
初めて歩いた日から、初めて回収作業を一緒に行った日まで、日々の回収作業の合間に書き留めていたようだった。
「ごめん。本当に開けてよかったの?」
「うん。1人だとちゃんと読めてなかったしちょうどよかったよ。」
そう言った碧翔の目は、少し寂しげに見えた。
申し訳ない気持ちになりながらも、資料を読み進めると、気になる一文を見つけた。
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『逆歴133年45日』
地図の端の建造物の一部に扉のようなものを見つけた。もしかすると、未発見の土地かもしれない。
うまく行けば、遺物よりたくさんの夜をもらえるかもしれない。碧翔には、たくさんの夜を与えてあげたい。
近いうちに調べに行く。
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同じ束になっていた資料の中から、地図を取り出して広げた。
たしかに、地図の端にマークがついていた。
「ねぇ、ここって行ったことある?」
「ないな…ここが、親父達が最後に言った場所なのかな」
その言葉を聞き、澪空は何かを思い付いたように自分の腕のデバイスに地図の情報を入力した。
「今日はもう遅いし、明日も仕事だから続きは今度にしていいかな?」
「そうだね!遅くまでごめんね!また明日、仕事頑張ろうね」
挨拶をかわし、碧翔の部屋を後にした。
帰るの少し唐突だったかな…
でも、どうしても確かめたいことができた。
澪空は、足早に自分の部屋へ帰っていった。




