11 残された記録
碧翔が広げた地図に書き込まれたマークに目が止まった。
「このバツ印ってなに?」
「この印は遺物を見付けた場所だけど、どうかした?」
「ちょっとスクリーン借りるね」
そう言うと、腕のデバイスからマップを引き出し、スクリーンとリンクさせる。
「私ね、重力変動があった場所とかも記録してたんだけどさ、その地図を重ねてみて?」
碧翔はスクリーンに映し出された地図の上に重ねた。
ーー印がほとんど重なった。
「澪空の地図って書いた日とかわかるよね!?
あーくそ!なんで俺も日付を書かなかったんだ!」
碧翔は、資料や本をあさりだした。
少しして目当てのものが見つかったようだ。
「あったあった。この日記に日付とか書いてあるんだ!って、言っても両親の分だけだけと…」
分厚い手帳を開き、2人の地図の印が重なった場所の日付を確認していく。
「やっぱりそうだ。遺物を見つけた日か次の日に、同じような場所で重力変動が起きてる」
信じられないような仮説が、現実味を帯びてくる感覚があった。
「ここの失踪者…」
地図の端にある印を指差す。
「俺の両親なんだ…」
少し悲しそうな顔をする碧翔に、胸が苦しくなった。
「そうなんだ…でも、これだけ資料があれば、手がかりが見付かるかもよ?私も手伝うよ!」
碧翔のために、自分ができることをしてあげたくなった。
私の両親は、もう戻ってこないからーー
2人で資料を見ていると、本の隙間から何かが落ちてきた。
そこには、青い空の下、幸せそうに微笑んでいる若い男女写真だった。
「すごい笑ってるね。なんで笑ってるんだろ」
「んー。俺はその気持ち、少しわかるな。」
碧翔は、写真を見ている澪空を見ていた。
「そうなんだ。
それより、この写真が挟まっていた本、読んでみようよ」
そう言って、本を見た。
ーー『3025年度日記 樹』ーー




