閑話 緑の勇者と青の勇者を慕う会
青の勇者様を慕う会を勧誘出来ない理由
蘭:
ねぇ。ディーネさん。
青の勇者様を慕う会の人を私たちと一緒に行動は出来ないの?
ディーネ:
はい。それは以前にお断りされたはずですよ。
緑の勇者様は世界の脅威を倒すことが目的です。
この世界の人々が協力して世界の脅威を倒そうという考えも私には理解出来ます。
ですが、青の勇者様を慕う会は世界の脅威を倒した緑の勇者様の戻る場所を守るための組織です。
蘭:
私の戻る場所?
ディーネ:
はい。その通りです。
建国と創世の時代より前の殆どの国が崩壊してしまいました。
世界の脅威との戦いに集中していた青の勇者様が全ての世界の国を守れる訳がないのです。
蘭:
そうなるわよね。
青の勇者パーティーの五人がこの世界の全てを守れる訳ないのは分かるわ。
ディーネ:
緑の勇者様に協力して戻るべき居場所がなくなってしまっては困ります。
手薄になった他の国を守るための防衛手段が青の勇者様を慕う会です。
仮に、復興が必要になっても協力する手筈になっています。
世界中にいる最高戦力と考えると分かり易いかもしれません。
蘭:
そんな力の持ち主が私たちと同行して助けて貰えたら、より早く世界の脅威を倒せるのでは?
ディーネ:
いつ世界の脅威が復活するか分からないから協力出来ないのです。
青の勇者様の時は約二十年ぐらい世界の脅威の軍勢と戦い続けたと聞きます。
当時と比べても失われたクラスや失われた情報がたくさんあります。
戦力ダウンしている今の現状で世界の脅威の軍勢から守れるとは思えないのです。
青の勇者様を慕う会のみなさんも今は緑の勇者様に同行出来ないという判断でしょう。
何れ時が来れば、その時は同行して貰えるでしょう。
蘭:
でも、その時が三十年後や四十年後だったらどうするのかしら。
私の年齢も五十歳や六十歳ぐらいなっているのではないかしら。
エルフのディーネさんは見た目や能力に衰えはないかもしれませんが人である私は・・・
ディーネ:
緑の勇者様は大丈夫ではないかと思われます。
青の勇者様も世界の脅威を封印するまでは、そこまで年齢を重ねたと聞いてはいません。
私と緑の勇者様の年齢は大丈夫としても、寧ろ問題なのは聖女キャロル様の方です。
キャロル:
えっ? 私ですか?
それはどうしてでしょうか?
ディーネ:
聖女キャロル様はこの世界の人だからです。
緑の勇者様は元の世界と比べると若返ったそうですが、青の勇者様も同様に若返っていると思います。
万全の年齢で世界の脅威に対抗出来る年齢である必要がある訳で、世界の脅威と戦えない年齢であるはずがありません。
それで、この世界の人が歳を取って老けてしまうのは人です。
私たちエルフはそう大差ありませんが、人はどうしてもエルフより早く老けてしまいますからね。
キャロル:
高齢になってしまうと世界の脅威と戦うのは困難なのではないでしょうか。
そうなると私はお役御免ってことですか?
ディーネ:
聖女アンズ様がどうだったのか記録がありません。
聖女キャロル様も若いままだったかもしれません。
ただし、世界の脅威との戦いが終わったら急激に身体が老ける可能性があるかもしれません。
聖女アンズ様もご高齢で亡くなったと聞きますので、永遠に若いままという訳ではなさそうです。
蘭:
聖女アンズ様も世界の脅威との戦いを終えて寿命で亡くなったと?
ディーネ:
はい。その通りです。
青の勇者様パーティーの聖女アンズ様、青の勇者様、剣神ジョア様は寿命で亡くなられたと聞いています。
蘭:
他の仲間の方はどうなったのですか?
ディーネ:
魔王ガリア様、賢者アレク様は消息不明です。
たぶん、亡くなられたのでないかという噂話だけしか情報がありません。
青の勇者様が亡くなられて三百年経過して亡くなられても誰も知り得ない情報と思われます。
キャロル:
そうですわね。
中心となる人物が亡くなったというお話は聞きますが、それ以降にそれ以外の人物の消息を常に把握なんてしていませんからね。
ましてや、自ら消息不明になった人物を探し出すなんて不可能ですわ。
蘭:
もしかすると賢者アレク様や魔王ガリア様が生きているかもしれないってこと?
ディーネ:
それはあり得ません。
エルフの長寿の者でも建国と創世の時代を詳しく知る人物はエルフの中でも誰もいません。
千年前や二千年前の出来事を今でも鮮明に覚えているのは無理がありますからね。
キャロル:
建国と創世の時代は今から1000年~2000年前と言われている時代ですわ。
具合的に何年前という記述はありませんが、仮に1000年として考えてもエルフの年齢だと百歳ですわ。
エルフより長寿の種族はいないので他の種族の方であれば寿命で亡くなっていると考えるのは至って普通ですわ。
ディーネ:
これは、ある意味仕方ないことかもしれませんね。
世界の脅威を倒すという勇者の使命が百年単位であれば、弟子や後継者のような存在もいると思いますが、1000年~2000年前みたいな期間になると世代交代してしまっていますからね。
キャロル:
そうですわね。
そんな昔のことを覚えている人もいない訳ですし、ほぼ手探りになるのは仕方ありませんわ。
蘭:
どうして、ここまで世界の脅威に関しての情報が存在しないの?
少しぐらいの情報があっても良かったはずなのに・・・
ディーネ:
青の勇者様の日記に書かれていた通りではないかと思われます。
世界の脅威に挑戦する勇者が自身の実力で倒せるようになって欲しい。
先代の勇者の青の勇者様が知り得た情報は助言やアドバイスとなるので人の記憶を操作された結果かと。
蘭:
もし、私が世界の脅威を倒せなかったとしても次世代には世界の脅威の強さや秘密に関する情報は伝わらないってこと?
ディーネ:
はい。そうなるはずです。
蘭:
一体、何処まで秘密主義なのよ。
その上に世界の脅威を私たちが倒しても終わりになるとは限らないんだよね?
ディーネ:
それは分かりません。
誰も世界の脅威を倒せていないから勇者を召喚して世界の脅威を倒そうとしているのか。
それとも世界の脅威を倒す倒さないに関係なく神の遊びであるとか。
そんな記録が一切ないので私たちには知る方法がありません。
蘭:
そうなのよね~。
秘密主義というか提供される情報が少ないから誰も真実を知ることが出来ないんだしね。
青の勇者様が残した日記の内容を読んだ緑の勇者様の御一行がこんな感じの感想を言っていたと言わなかった誰にも知る由は無かったのです。
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ーリメイク情報ー
終焉の起源をリメイクしています。
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




