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第八話:肉体のトラウマ、あるいは狂犬の咆哮

技術的知見: 4万年代の医療は治療ではなく、再構築である。麻酔なしで神経を焼かれ、骨を合金に置き換えられる苦痛は、魂に消えない刻印を残す。

だが、その絶望の中でルーカスは悟った。この狂った未来において、唯一の対等な対話は、洗練された理論ではなく、剥き出しの殺意と、相手の喉元に突きつける「禁じられた真実」であるということを。

骨の深くに金属が打ち込まれる不快な音が響く。凄まじいショックと激痛。

叫びを上げようとしたが、喉は切開され、舌は針で固定されていた。顎は小さな機械腕によってドリルで削られ、矯正具が取り付けられる――それはまるでもう一人の不幸な脱落者から引き抜かれた部品のようだった。

足は逃亡を防ぐためにボルトで固定され、腕は粉砕された骨を外科的な残酷さで合金へと組み替えるパズルと化していた。

機械的な声が飛び交う。彼らにとって私は単なる「検体」であり、その怯えた瞳も、神経を焼かれる苦痛も、考慮に値しないデータでしかなかった。

唯一、マゴス・ビオロジスだけが、その光景に興奮を隠せずにいた。彼女の影は二重に見えた。枯れ果てた機械の肉体と、その背後で脈打つ、管に繋がれたホムンクルスのような異形の胎児。

「はぁ……」

気がつくと、石造りの狭い部屋の台の上にいた。腕を上げると、そこには無数の傷跡が刻まれていた。あの地獄のような悪夢は、この世界における「慈悲深い現実」に過ぎなかったのだ。

「気絶してたか……。その方がマシだったな」

運命を呪ったが、今の私はある意味で自由であり、同時に処刑を待つ身でもあった。

皮肉なことに、帝国の医療技術は4万年かけて、ようやく私の右と左を間違えない程度には進歩していたらしい。

部屋の扉が開き、小柄なテックプリーストが現れた。恥ずかしそうに目を逸らし、作業着を手渡してくる。

「ありがとう(グラシアス)」

私はテレビドラマのような大げさな会釈をして、服を着た。新しい服はザラついていたが、この冷たい空気の中では心地よかった。

「おい。お前の名前は?」

私はゆっくりと、オルクのような野蛮な愛嬌で尋ねた。「俺の名前はルーカスだ」と胸を叩く。

「ビオ・ロー・シー 1.0(Bio Rho-C.1.0)」

彼女も同じように胸を叩いて答えた。その無垢な仕草に、私は少しだけ救われた気がした。「よろしく、ロシオ(Rocío)。案内してくれ」

通路を進むと、そこには異様な光景が広がっていた。重厚な装甲を纏った巨人――スペースマリーンが立っていたのだ。深い赤色の鎧に、直接刻まれた祈祷文と封印。

「ワード・ベアラー(説教者)か?」

私がロシオに尋ねると、彼女は首を傾げた。そこには審問官たちと、十数名のシスター・オブ・バトル(戦闘修道女)が待ち構えていた。

私はサーボスカルに浮遊するスマートフォンを手に取り、翻訳を打ち込んだ。

「ごきげんよう。また揉め事か?(笑)」

サーボスカルが音声を再生する。

「いいか、そこのワード・ベアラー。ナーグルの疫病を消したければ、除菌は儀式ではなく熱力学的な必要性だ。隔離し、洗浄し、栄養を与えろ。ギィリマンのように甘く考えるな。彼は魔法的な無効化能力を持っていない」

高熱的なラテン語が部屋に響く。審問官エフラエル・ヴァールが進み出て、私の罪を読み上げ始めた。

「貴様を異端として断罪する。疫病を解き放ち、遺伝子を汚染しようとした罪だ。貴様が口から悪魔を吐き出すのを見た目撃者もいる」

私はフンと鼻で笑い、スマホの録音ボタンを押した。彼の1分間に及ぶ独善的なモノローグを録音し、即座に「翻訳」して再生し返した。

「異端……? お前はその役職の意味を分かっているのか? 貴様らが崇める『テキスト』を書いた本物のワード・ベアラーは、今も地下牢で貴様らよりよっぽど忠実に皇帝へ祈りを捧げているぞ。貴様らはただの寄生虫だ」

部屋の空気が凍りついた。巨人のガントレットが怒りで軋む。

私はさらに挑発を続けた。テーブルをひっくり返し、私を殴り飛ばした審問官を見据える。

「俺をテクノバーバリアン(技術蛮族)と呼ぶか? 俺は西暦2000年から来たんだ。お前らの帝国より、その恐るべき暗黒時代より古い。俺はマルカドールではないが、皇帝のために玉座に座って消滅してやる覚悟なら、銀河の誰よりも先にあるぞ!」

審問官の拳が私の顔面に直撃した。植え替えられたばかりの歯が吹き飛ぶ。巨漢の審問官が私を押し潰そうとした。

だが、私は笑った。

「OK Google。……ラテン語で。……『皇帝のために! 人類のために!』」

私は無謀にも、自分より二回りは巨大な審問官の足元にタックルした。ラグビーのような体当たり。

内臓が弾け、傷口から血が噴き出すのを感じたが、死に物狂いで彼を持ち上げ、テーブルの上へと叩きつけた。

「……ッ!」

審問官の悲鳴が響く。私は勝者ではなかった。ただのボロ雑巾のような死体だった。

マゴス・ビオロジスが素早く近づき、私の首に何かを注射した。私は地面に崩れ落ちた。

視界が霞む中、一人のアポセカリー(衛生兵)が駆け寄ってくる。私は血まみれの口で、最後にこう呟いた。

「……アナコレータ(隠者)……彼だ……」

遠のく意識の中で、私は紫色の肌をしたジーンスティーラーの女性と目が合った。彼女に名前はない。だが、私は爪の剥がれた親指を立てた。彼女は無表情のまま、その仕草を真似した。

第8話を読んでいただきありがとうございます。ルーカスが全身全霊をかけて審問官に「物理的な喧嘩」を売る衝撃の回でした。

「ワード・ベアラー」という言葉が持つ、この世界での最悪のタブーを突きつけ、さらに初期の皇帝を知る者しか呼び得ない「ネオス(Neoth)」の名を出す。

瀕死の重傷を負いながらも、ジーンスティーラーの女性と心を通わせるルーカスの運命は。

次回、工場の深層。彼は「知識」として保存されるのか、それとも「英雄」として利用されるのか。物語はさらなる狂気へ!

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