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第四話:ハーブティーの代わり、あるいは再生への嘔吐

技術的知見: 異形の粘液に触れた場合、ただ洗うだけでは不十分だ。それは単なる汚れではなく、魂にまで浸食する毒素である。アルコールによる消毒は、肉体を焼くと同時に、内側で芽吹こうとする「贈り物」を窒息させるための儀式となる。

死を目前にした人間が口にするのは、神への祈りではない。それは、生存への執着が生み出す呪詛の歌だ。

これまでの過酷な経験が、私の内臓に重くのしかかっていた。

「クソったれが。あいつの身内もろとも地獄に落ちろ……」

罵倒しながら走り、混乱の中で彼女の姿を探した。かなり遠くまで離れてしまったようだ。だが、エレベーターの扉に彼女の杖が挟まっているのを見つけた。

「……助かった」

腐敗した逆流が喉までこみ上げる。

「神よ……あの肉が腐っていたのか?」

蛆虫が腹の中にいるのではないかと震えながら、私は口の中の汚れを吐き捨てた。

彼女が象徴的な杖を捨ててまで生存を優先したことに、私は少しだけ笑みを浮かべた。エレベーターは数階下まで墜落していたが、私は側面の梯子を使って登ることにした。手には、あの切断された「腕」に触れた場所から発疹が広がっていた。毒素か、あるいはバクテリアか。私は買い物袋からアルコール瓶を取り出し、汚れた手で触れないよう注意しながら、皮膚を焼き払うように洗った。

数階分を登り切り、私は力尽きそうになりながらも彼女の痕跡を追った。ある階で、彼女が挟んだであろう金属の印を見つけた。その先には、下層よりもいくらか「生きた」人間の気配がある居住区が広がっていた。

そこでは、赤い法衣を纏った男――テックプリーストに、市民たちが泣き叫びながら縋り付いていた。

「……」

彼らの傍らにはサーボスカルや武装したサーヴィターが控えている。最悪の予感がした。私の手の発疹は激しい熱を持ち始めていた。私はシャツを引き裂いて包帯代わりにし、アルコールで患部を抑え込んだが、痛みは引かない。

その時、一体のサーボスカルが私を検知し、私の手をスキャンした。

「チクリ野郎が……」

背後から手が伸び、私を抱きしめた。彼女だった。彼女は無事を喜んでくれたが、私の手の異常を見て顔を曇らせた。私はもう片方の手で「チェーンソーで切る」ような仕草をしてみせた。彼女に頭を叩かれたが、どうやら切断しなくて済む方法があるらしい。

金属音が響き、猫背のテックプリーストが私たちの前に現れた。

「冗談だろ……」

私は皮肉な敬意を込めて会釈した。言葉は通じない。私はノートを取り出し、不格好な図解を描き始めた。サーボスカルが私のノートをスキャンし、プリーストが冷徹な声で問いかけてくる。

私はノートに、二重の円と、それを取り巻く機械的な構造を描いた。さらに、二人の「神」のような、あるいは「悪魔」のような機械の顔を描き、その横に『TT?』と疑問符を添えた。

彼らは私のノートを奪い取り、その中身を精査し始めた。

「ああ、ダメだ。それは……」

私は恥ずかしさからノートを取り返そうとした。だが、彼らは私の設計案――テスラ・コイルを応用した水素エンジンの点火システムや、湿気収集メカニズム――に異常な関心を示した。

「既存の部品を使っているだけだ。ただ、効率を上げるために少しだけ『現代的』な解釈を加えただけで……」

言い訳をしたが、彼らの反応は異様だった。この世界では、技術の創造は冒涜とされる。だが、私の「妄想」はあまりにも具体的すぎた。

「おい、サーボスカル。俺を殺すなら、一思いにやってくれ」

その時、通りの奥から銃声が響いた。パニックになった市民たちが押し寄せ、テックプリーストたちは私たちを強制的に連行し始めた。

通りの向こう側から、緑色の軍服を着た一団が現れた。

「……カディアか?」

私は呟いたが、指揮官らしき男はプリーストたちと激しく口論を始めた。

「おい、兵士さん。ここはどこだ? 英語は通じるか?」

私は頭を抱えた。

「カディアじゃない、ヴィジルスだ」

指揮官の言葉が響いた。ヴィジルス。暗黒の領域への入り口。

私は再びノートに書き込んだ。カディアン、ヴォストロイアン、ヴァルハラン……私が知る限りの知識を、図解と共に。そして、テラ、皇帝、黄金の玉座、そしてその下に仕掛けられた爆弾――。

兵士たちは私の描くものに戦慄し、後退した。テックプリーストたちもその「禁じられた知識」に釘付けになった。

彼女は不安げに私を見つめていた。私は親指を立てて「大丈夫だ」と伝えたが、彼女は私の胸に顔を埋めた。

その瞬間、私の意識は限界に達した。激しい動悸と、胸を突き刺すような痛み。私はアルコールを煽ったが、それは胃に届く前に喉を焼き、私はその場に崩れ落ちた。

「……聖なる玉座と、鋼の栄光のために……」

毒に侵されていた。私は汚染を広めないよう、彼女を突き放した。兵士たちは銃を構え、私を「隔離」しようとした。

私は残りのアルコールを無理やり喉に流し込み、腹の底にある「不浄」を絞り出そうとした。

「私の体は器であり、魂はその欠片だ。主の光を我が身に宿し、その怒りを盾と成さん!」

それは祈りではない。私が知る「歌」の断片だ。

喉から膜のようなものがせり上がってくる。私はそれを素手で掴み、嘔吐と共に引きずり出した。

「お父様、お父様……」

アルコールと血が鼻から噴き出す。喉の奥で蠢いていた「不浄の肉の塊」を、私は床に叩きつけた。

「不浄なる霧の中で、私は救済など求めない。ただ、焼き尽くされることを望むのみだ」

血混じりの嘔吐物の中から、小さなヌルグレットたちが這い出してきた。彼らは私の胃袋の中で、アルコールに酔い、苦しんでいた。

「私を使い、私を壊せ。私の死を、お前の王国のための糧とせよ」

私は朦朧とする意識の中で、一匹のヌルグレットの足を掴み、その口にアルコールを流し込んだ。もう一匹が逃げようとするのを見て、私はその上に覆いかぶさり、血とアルコールを容赦なく浴びせかけた。

私の不気味な笑みを見て、その小さな悪魔は、生まれて初めて本当の恐怖を味わったようだった。

第4話を読んでいただきありがとうございます。ルーカスの「自己流・除霊(除毒)」が炸裂しました。祈りではなく、酒と意地で体内の悪魔を吐き出すその姿は、ある意味でどの聖職者よりも狂信的です。

彼がノートに記した「テラの秘密」と「禁断の技術」。そして、それを見た帝国軍とメカニカスの反応は……。

地獄の淵で、ルーカスの物語はさらに歪に、そして熱く加速していきます!

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