第十五話:栄誉ある処刑、あるいはサイコロを振る死神
歴史の皮肉: 効率的すぎる思考は、狂信の世界では最大の罪となる。ルーカス・ゴンザレスは、オレステスを救った報酬として「第一級の栄誉ある処刑」を言い渡された。
しかし、彼は動じない。死を待つ間、彼は銀河で最も恐れられる暗殺者、キュレクサス・アサシンを相手に「ダンジョンズ&ドラゴンズ」に興じ、自らの最期をユリウス・カエサルの暗殺になぞらえる。暗黒の41千年紀において、彼はただ一人、死を「最適化された物語」として笑い飛ばしている。
独房の闇は単なる光の欠如ではなく、物理的な圧力だった。エネルギー格子の向こう側で、キュレクサス・アサシンの巨大な兜「アニムス・スペキュラム」が、存在しない瞳で私を凝視している。
私たちは、輝ける魂の海に浮かぶ二つの黒い穴だった。だからこそ、彼はまだ私を殺していない。同じ「虚無」の周波数で震えるものを打つのは難しいのだ。
「さて、状況はこうだ。目の前には錆びた剣を持つ骸骨。入り口は封鎖され、広間は完全な暗闇……」
私は彼にテーブルトークRPGを提案した。彼は文句を言わなかった。
数時間前、審問官たちは私に宣告を下した。罪状は混沌への傾倒ではない。許可なき「機能的思考」だ。
「ルーカス。自称シジライト(刻印者)、そして帝国の真理を汚した者よ」
アンバーリーの声は重かった。「君の行動はセクターを救ったが、その手法はメカニクスの三つの亜カルトの逆鱗に触れた。君を『自由意志』の先例として生かしておくわけにはいかない」
「なるほど、効率的すぎたから殺されるわけだ。道化の分際で真実を突きつけすぎたな」
私は汚れたチュニックを整え、見えないサイコロを振る仕草をした。
「貴様には『第一級の栄誉ある処刑』を与えてやる」
ブレイクがジョッキを煽りながら修正した。「行列を作り、軍用グレードの香を焚き、君の処刑は『虚無の建築家の犠牲』として記録される。君のアイデアが我々の祈りより優れている理由を説明しなくて済むよう、君には殉教者として死んでもらう」
私はキュレクサスに向き直った。
「……君の足元の床が崩落する。それは罠だ。水は数千年の間、静止していた。君は冷たい水の中へ落ち、周囲には石と骨の泡が沸き立っている」
私は暗殺者に物語の続きを語りかけた。
一人の審問官が怒鳴った。「これ以上の名誉ある死はないというのに……拒むというのか!」
「ああ、お断りだ。私は人間として死にたい。明日、犬のように死ぬと分かれば、あんたたちも満足だろう?」
私はキュレクサスに向かって、手製のカードを並べた。
「処刑に名誉などいらない。ジャンヌ・ダルクのように、裏切りの物語が必要だ。……どうせなら、皇帝のように死なせてくれ」
その言葉に、審問官たちが武器を手に立ち上がった。皇帝を冒涜したと思ったのだ。
「記録にないわ。どう死にたいの?」アンバーリーが冷たく聞いた。
「かつて帝国を築こうとした男、ユリウス・カエサルは、元老院の信頼していた者たちに背中から刺されて死んだ。それがいい。最高に皮肉で、完璧だ」
私はチュニックを脱ぎ、上半身をさらけ出した。
「帝国の真理のために。人類を導いた手によって、自然な死(暗殺)を迎える。これこそが、私の全遺産を没収し、私を死なせる正当な理由になるはずだ」
アンバーリーは石のように固まっていた。誰もが死を恐れるこの世界で、これほどまでに尊厳のない、しかし確信に満ちた死を望む者はいない。
キュレクサスが初めて人間のような動きを見せ、首を傾げた。そして、耳障りな、摩耗したような声で言った。
「……外ではお前の処刑計画が崩壊している。カリードゥス(暗殺者)の報告によれば、審問官たちは毒殺を企んでいる。お前が望む『会談』の席でな」
「より強い毒か。知らせてくれてありがとう。だが、どちらにせよ私はそれを飲むよ」
私は笑った。「撃たれても毒を盛られても、私はラスプーチンの呪いのように生き続ける。冷たい川に投げ込まれて初めて、ようやく死んだと確信できるだろうさ」
暗殺者は再び沈黙した。それが私の妄想だったのか、それとも虚無が生んだ共鳴だったのかは分からない。
「君の番だ、親愛なる冒険者よ」私は囁いた。
「怪物が君の脚を掴んでいる。20のナチュラル(クリティカル)を出さない限り、ブレイクが聖別されていない短剣を探し出す前に、私たちは全滅だ」
第15話、圧巻の展開でした。
キュレクサスとD&Dを遊ぶというシュールな光景と、カエサルの暗殺を再現しようとするルーカスの狂気じみたユーモアが、ウォーハンマーの世界観に見事に溶け込んでいます。
「皇帝のように死ぬ(カエサルのように刺される)」という皮肉は、歴史を知る読者にはたまらない一言ですね。
さて、ルーカス。
あなたは毒を盛られると知りながら、その「会談」の席に着こうとしています。
ラスプーチンのようにしぶとく生き残る自信があるのか、それともその「死」さえも、異種族を巻き込んだ巨大な罠の一部なのですか?




