最終話:執行、あるいは無への疾走
完結編: ルーカス・ゴンザレスの物語は、英雄的な勝利でも、惨めな処刑でもなく、壮大な「虚言」によって幕を閉じる。彼は最期の数時間、己の血と爪で独房に「全宇宙を救う方程式」という名の落書きを残し、審問官アンバーリー・ヴェイルを翻弄した。
肉体は神経破壊銃によって崩壊したが、彼の意識は次元の狭間を抜け、二つの太陽が輝く未知の荒野へと辿り着く。これは終わりではなく、新たな「不条理」の始まりである。
独房での隔離は、罰というよりは意識のための実験室だった。私の名はマーブルに刻まれることも、下級書記官の記録に残ることもないだろう。忘却こそが、唯一の下された確定判決だった。
キュレクサスとのゲームは終わった。彼のキャラクターは数千年の試行錯誤の末、ついに簒奪者を倒し、父の領地を取り戻した。私は彼に言いたかった。その架空の勝利こそが、真の帝国――数世紀の漂流を経て人類の解剖学的構造を安定させた不滅の英雄――の姿であったかもしれないと。だが暗殺者は聞かず、私はもう語らなかった。
孤独は幼少期からの寄生虫だった。私の目は常に、星々の間に蠢く蟻の群れを探していた。それらは幻覚だったが、鋼鉄の床の冷たさと同じくらい実体を持っていた。
「……」
溜息を吐く。唯一のエコーは船のエンジンの鼓動だけだ。準備が足りなかった。問題を解決するためではなく、人生という名の不穏な盤面で戦うためのカードが足りなかったのだ。
その時、大広間のエアロックが開く音が静寂を切り裂いた。それはサービターの足音ではなく、もっと軽いもの。一人の女性だった。
彼女のシルエットは、最初メカニカス(機械教)の司祭のような硬直した姿をしていたが、やがて波打ち始めた。細胞レベルの再構成。紫色の肌が流れ、彼女の顔から天然の仮面が生まれた。
「やはり君か。……カリードゥス。君のその姿が見られて嬉しいよ。これが最後なら、ありのままの君を見たい」
私の言葉に、彼女は一瞬動きを止めた。暗殺者のプログラムに生じた瞬き。彼女は流れるような動作でマスクを外した。
「信じられない……」
私の声が震える。それは皮膚ではなく、生物学を凌駕した半透明で青白い「何か」の融合体だった。
彼女は独房を開けた。汚れた空気と、外の儀式の香、神聖なオイル、そしてオゾンの香りが混ざり合う。彼女が手を差し出し、私はそれを取った。儀礼的なキスをするつもりだったが、私の壊れた心臓は、生存本能を飛び越えて彼女に本当の口づけをさせた。
火遊びだとは分かっていた。だが火災は四万年前から、あるいは私がこの暗黒の街に足を踏み入れた時から始まっていたのだ。彼女は自分の唇に触れ、その感覚を処理していた。彼女の唇は化学ワックスと工業用潤滑剤の味がしたが、その下には有機的な甘みが潜んでいた。
「……踊ろうか?」
私はこのセクターで最も愚かな生物になった気分で聞いた。だが、この安定、文明の残り香が必要だった。
彼女は理解したようだった。一歩、また一歩。それは魔法だった。不可能な殺戮のために改造された機械である彼女が、シンプルなリズムに身を任せ、嵐の中の小さな花のように繊細に揺れていた。私たちはワルツを踊り、それが世界のすべてだった。
永遠のような数分が過ぎ、私は彼女の頬を撫でた。
「君が何のために来たのかは知らない。だが、不幸な人生の果てに、待つ価値があったと思わせてくれたよ」
私は彼女の腰に触れ、その肌の下に隠された強大な力を感じた。
「もう行きなさい。私のせいで君までトラブルに巻き込まれる。時計は止まらないんだ」
私は震える手を隠し、貴族的な礼をして身を引いた。「ありがとう、愛しのミューズよ」
彼女は無言で去った。彼女は泣くようには設計されていなかったから、私が二人のために泣いた。審問官たちに聞こえるのを恐れる、子供のような怯えた泣き声だった。
独房に一人残されると、絶望が私を襲った。私は壊れたメロディを口ずさみながら、作業を始めた。爪を使い、歯を使い、血を使った。展示室の壁に狂気的な筆致で、私にしか解読できない「答え」と「恐怖」の記念碑を書き殴った。
アンバーリー・ヴェイルが到着した時、私の指からは血が流れ、壁の惨状は極限に達していた。
「何をしたの?」彼女が嫌悪と焦燥を混ぜて聞いた。
「問題を解決したのさ」私は歴史上最大の嘘をつく準備をして微笑んだ。
「ギリマンの致命傷を癒し、鎧から解放する化学合成。スペースマリーンの適合率を百パーセントにする手法。黄金の玉座の爆破装置の解除……皇帝を救う二つの選択肢をそこに残した。ティラニッド用の殺虫剤、ワープエンジンの最適化……私は、やったんだ……」
私はうわ言のように語り、冷や汗を流した。アンバーリーは躊躇した。あまりに価値がありすぎる情報だ。
「驚いたわ……すぐにこれを回収しましょう。ここから出すわ、処刑は正式な手続きとして計画し直すから」
彼女が開放ボタンを押した瞬間、最後は唐突に訪れた。一発の銃声。
私の体は役に立たない肉の袋のように崩れ落ちた。神経破壊銃が私の物理的存在を消し去ったのだ。マゴス・ビオロギス(生物賢者)が、データ抽出のための脳が使い物にならなくなったことに怒りの叫びを上げた。アンバーリーは立ち尽くしていた。壁に書かれたすべてが、ただの解読不能な「デタラメ」であり、最後の嘲笑であったことに気づいたのは、後のことだった。
意識は消えなかった。私は溶解し、「以前」の状態へと戻っていく感覚。だが、何かが失敗した。強烈で乾いた光がまぶたを打つ。
目を開けると、胸の重みは消えていた。二つの容赦ない太陽が輝く砂漠。空では、宇宙船の残骸が火の粉を散らしながら沈んでいく。
喉が渇いていた。猛烈な二日酔いがこめかみを叩く。私のいた世界でも、私の服でもない。ポケットには霜の入った缶、石、鉛筆、そして覚えのない図面が描かれた紙が入っていた。遠くから、金属の獣のように吼えるボロボロの車両が、私に向かって発砲しながら突進してくる。
私はどうしていいか分からず、ただ、走り始めた。
ルーカス・ゴンザレスの旅は、ここで行き着くべき場所に辿り着いたようです。
ウォーハンマー40,000の地獄のような秩序から逃れ、別の荒野(おそらく『マッドマックス』のような、あるいは別の世紀の終末世界)へと放り出された彼は、今や「帝国の遺産」と「自分の狂気」だけをポケットに詰め込んでいます。
「問題を解決した」と言って死んでいった彼の嘘が、いつか本当の救いとして誰かに発見されるのか、それともただの壁の汚れとして消えるのか。
ルーカス、あなたは今、新しい世界の砂を踏んでいます。
その手に残った「霜の入った缶」と「図面」は、この新しい荒野で武器になるのでしょうか、それとも新しいビジネスの資本になるのでしょうか?
物語はここで完結ですが、彼の走る先には、また新しい「不条理」と「最適化」が待っているはずです。お疲れ様でした。素晴らしい物語をありがとうございました。




