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第十五話:勝利の重み、あるいは舌先で測る異端

審問官の困惑: 帝国全土を揺るがしかねない危機の後、最初に行われた「科学的分析」が「舐めること」だったと知った時、審問局の賢者たちは凍りついた。ルーカス・ゴンザレスは、熱力学と直感、そして恐るべき無作法を武器に、ディスフォーミティの残骸を「建築資材セメント」へと変貌させた。

彼は今、処刑されるべき異端者から、銀河で最も「替えの利かない資産」へと変わりつつある。たとえ彼が、九ボルト電池を舐めるような感覚で宇宙の法則を弄んでいたとしても。

「マゴス・トゥエルカリスキ、待ってくれ……いや、待て」

状況に圧倒された審問官が、通信越しに絶句していた。

「……つまり、セクター全体を滅ぼしかねなかったあの現象の後、お前たちが最初にしたことは……それを『舐める』ことだったのか?」

アンバーリー・ヴェイルの声は、明らかにショックを受けていた。他の審問官たちも、報告書の誤訳ではないかと疑うほど困惑していた。

「メカニカスはそれを崇めるべきか排除すべきか揉めている。だが、この異端者は自分の理論を証明してしまった。彼は『異端であって異端でない』存在として消えてもらうのが正解かもしれないな」

ブレイクが大きなジョッキから宝石の混ざった飲み物を啜りながら吼えた。

「感謝するんだな、あの狂人に。もし彼が毒を飲まされる前に裂け目を閉じていなかったら、お前は処刑される前に秘密を吐かされる裏切り者として扱われていただろうよ」

アンバーリーが不快感を隠さずに応じた。

輸送機の中で、アラリックが通信を切り、私に向き直った。

「貴様は彼らを苛つかせすぎだ。アンバーリーが指揮官であることに感謝し、もう少し敬意を払うべきだな」

「いや、驚く方が不思議だよ。霜が有機組織を焼かないなら、感覚的な差異を確認するのは最速のテスト方法だ」

私は当然のこととして答えた。アラリックは私の手法を疑わしげに見つめた。

「……もし、毒だったらどうするつもりだった?」

「死ねば毒だったということだ。あるいは、硫酸塩電池のような酸味があれば、アルカリ度を確認できたんだが……」

昔、弱った電池を舐めてみた時の、あの強烈な酸味を思い出した。

「野蛮人らしい発想だな」アラリックが吐き捨てた。

「その通りだ。君たちスペースマリーンだって、敵を食べて記憶を吸収するんだろう? ベッチャー腺の酸発射も……効率的だが不衛生なデータ収集だね」

ハンガーに到着すると、私は冷たい金属の壁に背中を預けた。拍手も称賛もない。あるのは、今すぐ私の喉笛を掻き切りたいという鋭い視線だけだった。

「舐めた感想か……?」私は床に座り込んだまま、アラリックに言った。

「構造を理解したいなら、利用可能なセンサーはすべて使うべきだ。味覚は短距離の化学センサーに過ぎない。もしあれが強酸性なら、柱の安定性が熱反応で損なわれていると分かったはずだ」

私は舌を鳴らして見せた。

「だが、あれは酸っぱくなかった。ただ……静電気スタティックのようだった。九ボルト電池を噛みながら、自分のものではない記憶が二百ボルトの強度で脳を突き抜けるような感覚。つまり、エネルギーは霧散せず、固体の待機状態として蓄積されたということだ」

通信機からアンバーリーの声が響く。

「ルーカス、マゴスが報告してきたわ。黒石の中に残った『セメント』のような構造は、ガンマ線を吸収しても劣化しない。物理学的には意味不明だけど、帝国セメント(セメント・インペリアリス)として期待されているわ」

「張力パターンを見るように言え。標準的な工具では跳ね返されるぞ。共振周波数を使って安定性を崩すか、形を整える前に素材を軟らかくする方法を見つける必要がある」

「君は新しい武器か、あるいは新しい監獄の鍵を彼らに渡しているのよ」アンバーリーが言った。

「今や君は、銀河で最も求められる男だ。罪人としてではなくね」

私は目を閉じ、光に向かって微笑んだ。

「生まれた時からずっと、何かの罪で追われているようなもんさ。……もしPrimarch(総督)が皇帝の剣を持って現れたら、こう言ってやるよ。『そこをどけ、人工照明の邪魔だ』とな。ディオゲネスの言葉の盗作だがね」

アラリックのバイザーの中に、初めて疑念の火花が散った。

「……貴様は奇妙な男だ、古き地球のルーカス。ボルターを最適化してほしいという奴らの気持ちが少し分かった気がする」

「一歩ずつだ、エスクデロ(従者)よ」

私は笑った。

「まずは、祈りで動くこの船の中で、どうやってスマホを充電するか教えてくれ。せっかく戦争犯罪を犯すなら、良い音楽をバックに流したいからな」

第15話を読み終えて、ルーカスが「自分自身の価値」を帝国に突きつけた瞬間を目撃しました。

九ボルト電池の例え話や、ディオゲネスの引用など、彼の持つ「21世紀的な皮肉」が、暗黒の41千年紀において唯一無二の武器になっていますね。

アラリックが「ボルターの最適化」を口にしたのは、彼がルーカスの実力を(不本意ながらも)認めた証拠でしょう。

さて、ルーカス。あなたは「戦争犯罪」という言葉を笑いながら口にしました。

あなたが次にスマホの充電器の代わりに手に入れようとしているのは、さらなる「禁断の技術」ですか? それとも、アンバーリー・ヴェイルすら予想だにしない「新しいビジネス」の始まりですか?

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