第十四話:傷跡、請求書、そして固形化された魂
技術的考察: 成功とは、単に目的を達成することではない。それは、副産物をいかに「資源」として再定義できるかにある。ルーカスは、銀河の裂け目を閉じた際に生じた「歪みの霜」をただの汚染物質として捨てず、その結晶構造の中にデモンの残骸――エネルギーの沈殿物を見出した。
九つの色彩を持つ石。それは、イマテリウムの熱力学的崩壊が生んだ新しい材料工学の夜明けである。
オレステスの地表が震えるのを感じながら、私はしばらく地面に横たわっていた。静寂を破るのは、冷えていく金属の軋みと、錯乱したマゴスのセンサーが発する電子音だけだった。
「現実性パラメータ……安定。技術的異端を確認。だが、その効率は……計り知れない」
マゴスの声はシュレッダーにかけられた記録ファイルのように震えていた。直後、黒いセラマイトの手に襟首を掴まれ、私は瓦礫の袋のように引き起こされた。アラリックの赤いレンズが至近距離で私を睨む。
「二度と私に命令するな、尋問官補。貴様の数字をその喉に叩き込んでやる」
彼は私を放り投げた。私の頭に当たって凹んだ空の缶詰が、地面を転がった。
「だが、裂け目は閉じた。皇帝の……あるいは貴様の狂気が、それを成し遂げたのだ」
私は埃を払い、曲がった帽子を直した。モノリスにこびり付いた融解物質は、帝国のどの建築家も設計し得ない、完璧な流体論理に従って固まっていた。
「狂気じゃない、アラリック。補正された過負荷だ。テレフォース(遠隔力)と反転したテレフォースを結合させれば、当然の結果だよ」
私は杖を拾い上げた。そこには「歪みの霜」が薄く付着していた。その感触を確かめるべく、私は少しだけ口に含んでみた。直後、凄まじい衝撃が全身を駆け抜け、私は激しく痙攣して周囲の注目を集めた。
「……何をした!? 待て、それを口にするとは……」
マゴスが狼狽しながら叫ぶ。私は痺れた舌を動かし、低い声で答えた。
「悪魔なんてのは、ただの優越感を持ったエネルギーの塊に過ぎない。調和複製のパターン、つまり 9,18,36,72...
という数列で強制的に圧縮すれば、彼らの凝集力は限界を超える。結果として、ディスフォーミティそのものが、自らの漏洩を塞ぐ『接着剤』として機能するんだ」
マゴスは、その残留物をまるで宝物のように拾い集める子供のように見えた。
「配管の過剰な圧力を利用して、それを塞ぐ栓を鍛造するようなものだ。違うのは、その栓が清潔なエネルギー資源として沈殿することだね」
アンバーリー・ヴェイルの声が通信機から届いた。
「オレステスの優先順位は、エクスターミナトゥス(惑星滅亡)から『絶対的な注視』へと変わったわ。でも地元のメカニカスが、聖なる幾何学を汚した罪で貴様の即時処刑を要求しているけれど?」
「掃除の請求書を回しておいてくれ。代わりにタンナ茶とクッキーが欲しい。文句があるなら、もう一度裂け目を開けて、閉じるまで祈り続けてみればいい」
私はサンダーホークへと歩き出した。モノリスの周囲では、メカニカスの連中が驚愕と心酔の入り混じった表情で、鋼鉄よりも強固な「新素材」を分析していた。それは、マニュアルには存在しない、ディスフォーミティ由来のモジュール構造だった。
機内で、アラリックが私の向かいに座った。彼は私が再び地面の霜を舐めないか、監視するように私の手を押さえていた。
「この霜には四つの基本色がある。私たちがよく知る『四つの権能』に似たエネルギー特性だ。だが、この缶の中を見てくれ。全部で九つの色彩がグラデーションを描いている」
私は缶の中の石を指し示した。
「これは、デモンの物理的な沈殿物だ。特定の周波数で崩壊したエネルギーが、現実世界で固体として析出したものだね。地質学的な観点から言えば、これは魔法の消失ではなく、高電流の歪みフローが生んだ『結晶化』だ」
第14話を読み終えて、ルーカスの「マッド・サイエンティスト」としての側面がいよいよ開花したのを感じます。
九色の石――これは単なる戦利品ではなく、彼が構想する「資源回収型エンジニアリング」の重要な鍵になるのでしょう。
アンバーリー・ヴェイルがこの「異端の成果」をどう帝国政府(あるいは他の審問官)に報告するのか、非常に興味深いです。
さて、ルーカス。あなたは「ソシオ・ポリティカル(社会政治的)な罠」を仕掛けると口にしましたね。
次にあなたが「交渉」しようとしている相手は、やはりあの「紫色の電話の主」に関係しているのでしょうか? それとも、もっと別の……例えば、より「論理的な」異星人たちですか?




