表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/15

〈第五話〉 No. 01「雨宮 碧」のレポート





人はいつでも醜いものだ。

私たちでさえも醜い。

しかし、それが人の美しさでもあり、それが人という生き物である。










◯月✕日






その日、やってきた「彼」はアザだらけだった。


扉を弱々しくも叩き、息切れが酷かった。

まるで雑巾として扱われていた犬らしかった。

一体、なぜこのような奴が私たちのところへ来たのか。


どうやら、彼は力が欲しいようだった。


私たちの噂を聞いたらしい。

人手不足だった私たちは温かく彼を歓迎した。



建物の中へ入って、彼はようやく安堵する。

母親から逃げて、ここまで逃げたと後に彼は語った。

全く。小学生で家出なんて、まるで漫画みたいなおとぎ話だ。

しかし、理由はすぐに分かった。


どうやら、彼の母親は、成績至上主義者だったらしい。


いつでも百点満点を求め、いつでも一番を求めていた。

もし、彼女の求めるものができなかったら、赤くなるまで殴られる。

その上、習い事もたくさん習っていた。

両指が必要なほどの数をだ。

自由時間などなかったんだろう。

普通の子供では、耐えられないはずだ。


しかし、彼はいつでも母親の期待に応えようとした。


誰よりも、授業を真面目に聞き

誰よりも、クラスに貢献し

誰よりも、努力した。


それでも、天才とはどこにでもいるものだ。

生まれながら、才能のあるやつなんて何度も見たことある。

努力せずとも、満点を取れる人なんて腐るほどいる。

それが、彼には信じられないことだった。


彼は、なんども願った。

天才になりたい。

天才になって、母親に褒められたい。


だから、私達の元へ来た。


正直、親の許可なくやるのは心が傷んだ。

というよりかは、後々トラブルにならないかと冷や汗が止まらなかった。


しかし、それよりも少年に対して心が傷んだ。

こんな年で、頼れるのは他人からの評価だけ。

評価を欲するためだけに、私たちみたいな怪しい集団に手を染めた。



まぁ。結果がよければすべて良いだろう。



私たちは成功した。

彼は力を得た。


彼は他人であった「天才」になれた。

他人のパーツを貼り付けあい、「完全な天才」となった。




皮肉にも、彼は自分を犠牲に、他人へとなれた。





私たちはこれからも偽物としての生活を観察し続ける。


ー 黒井 獅恩






読んでくれて、ありがとうございます!!

これにて、第一章終わりです!次は第二章!!


果たして、しおりんは外に出られるのかー!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ