第20章 — 「森の中の襲撃」
第20章 — 「森の中の襲撃」
---
朔継は走っていた。
遠くでは、煙が夕空に向かって立ち上っている——真っ黒な濃い煙が、城壁の向こうで燃え上がる炎と混ざり合っている。人々の悲鳴が風に乗ってかすかに聞こえる。
あの町が襲われている。
彼は足を速めた。
腰の剣が走るたびに揺れる。収納の中にはM16がまだ収められている——いつでも使えるように。しかしまだ使いたくなかった。町の近くでは。人々の近くでは。
危険すぎる。
疑問が多すぎる。
彼は森の端に到達した。
目の前には街道が広がっている——そしてその道の上には、混沌があった。
---
荷車が転覆している。荷物が地面に散乱している。何台かの荷車からは炎が上がり、恐怖に怯える商人や旅人たちの顔を照らしている。
そしてその中に——
魔物たち。
小さなゴブリンたちが走り回り、目につく者を次々と襲っている。その中には、より大きなホブゴブリンが何体か、残忍に石の斧を振り回している。
しかし一際大きなものがいた。
オーガだ。
身長は三メートル近く、濃い緑色の粗い皮膚に、食欲に燃える黄色い目。手には巨大な石の棍棒を持っている——人間の身体よりも大きい。
彼は目の前に倒れている商人に向かってそれを振り下ろそうとしている。
朔継が動いた。
---
M16は使わなかった。
過剰な魔法も使わなかった。
ただ走った——まっすぐにオーガに向かって。
腰の剣が一瞬の動作で抜かれる。
オーガが足音を聞いた。振り返り、その黄色い目が、抜き身の剣を持って自分に向かってくる人間を見て見開かれる。
唸る。
棍棒を振り下ろす。
朔継が跳んだ。
棍棒は彼が立っていた場所の地面を叩いた——地面を震わせる衝撃で小さな穴を開けた。
朔継はオーガの腕の上に着地した。
一振り。
剣が動いた——そしてオーガの腕が切断された。
オーガが叫ぶ——耳をつんざくような、空気を震わせる叫び声。
朔継は止まらない。
もう一度跳ぶ、今度はオーガの頭部に向かって。
二振り目。
オーガの身体が倒れる——切断され、血もなく、抵抗もなく。
朔継は軽やかに地面に着地した。
彼はオーガの死体の上に立ち、手にした剣が炎の光を受けて輝いている。
静寂。
全員が動きを止めた。
魔物たち——ゴブリン、ホブゴブリン——が目を見開いて彼を見つめている。
そして——彼らは逃げ出した。
森の中へと走り去り、仲間たちの死体を街道に置き去りにして。
朔継は追わなかった。
ただ立ち尽くし、彼らが去っていくのを見つめた。
---
「……あなた……あなたが私たちを救ってくれたのですね。」
一人の老人——転覆した荷車の商人——が震える足取りで近づいてくる。顔は埃と血にまみれているが、その目は感謝の光を輝かせている。
朔継が振り返る。
「何があった?」
「魔物……森から魔物が。警告もなく襲ってきたんです。逃げる間もありませんでした。」
老人はうつむいた。
「何人かが怪我をしました。中には……助からなかった者もいます。」
朔継はうなずいた。
周囲を見渡す。
人間の遺体が地面に横たわっている——そのうちの何体かはもう動いていない。一方では、若い女性が男性の遺体のそばで泣いている——おそらく夫だろう。幼い子供が地面に座り込み、虚ろに前を見つめている。
死。
この世界では、死は日常的なことだ。
彼はその若い女性に近づいた。
「すまない。」
何と言えばいいのかわからなかった。
死者を生き返らせることはできない。
女性は涙で濡れた目で彼を見つめた。
「あなた……あの魔物を倒してくれた……ありがとう……」
朔継はうなずいた。
彼は背を向けた。
そして、目を引くものを見た。
---
道の反対側では、一団の人々が自分たちの荷車を守っている。その中に——狼の耳と尻尾を持つ女性——が剣を手に立ち、背後にいる子供たちの群れを守っている。
獣人。
彼は近づいた。
獣人の女性は、金色の瞳で彼を見つめた——警戒しているが、敵意はない。背は高く、肩まで届く長い暗い灰色の髪。頭の上では、狼の耳がピクピクと動き、周囲の音を聞き取っている。
「あなた……あのオーガを倒したの?」
朔継はうなずいた。
「ああ。」
女性は彼を観察した。
その目——金色の瞳——が彼の顔、腰の剣、簡素な服装を調べている。
「……一振りでオーガを倒せる人を見たことがないわ。」
「今、見た。」
女性は微笑んだ——口元に小さな牙を見せる、薄い微笑み。
「私の名前はレイヴナ。」
「朔継だ。」
「朔継……変わった名前ね。」
「よく言われる。」
レイヴナは小さく笑った。
「あなたは面白い人ね。」
彼女は周囲を見渡した。
「助けに来たの?」
「町から悲鳴が聞こえた。」
「町も襲われてるの?」
「どうやら森の魔物が町とこの街道を同時に襲ったようだ。」
レイヴナはうなずいた。
「東のダンジョンが活性化してるの。あの辺りで魔物が頻繁に現れるようになってる。」
ダンジョン。
魔物。
すべては繋がっている。
朔継はレイヴナを観察した。
鑑定+を起動する。
【鑑定+】
対象:レイヴナ・グラスク — 獣人
種族:ウルフビーストキン
年齢:24歳
職業:冒険者/護衛
状態:軽傷 — 疲労
能力:戦闘 — 剣術 + 基礎魔法
備考:この獣人は熟練した狩人である。鋭い直感と高い身体能力を持つ。強く見えるが、疲れている。
レイヴナ・グラスク。
獣人。
冒険者。
彼は鑑定+を解除した。
「怪我をしているな。」
レイヴナは自分の腕を見た。腕に小さな傷がある——ゴブリンの武器による切り傷だ。深刻ではないが、出血している。
「ただの擦り傷よ。」
「それでも手当ては必要だ。」
朔継はポケットから小さな瓶を取り出した——アースアーカイブから召喚した治癒薬だ。魔法ではない。この世界の錬金術でもない。ただの消毒剤と包帯——地球のものだ。
「これを。」
レイヴナはその瓶を疑わしそうに見つめた。
「何それ?」
「薬だ。お前の傷に。」
「そんな瓶は見たことがないわ。」
「遠くの国から持ってきた。」
レイヴナはしばし彼を見つめた。
そして——手を差し出した。
「……わかったわ。」
朔継は消毒剤で彼女の傷を洗浄した——レイヴナは小さく息を呑んだが、文句は言わなかった。そして清潔な包帯で巻いた。
レイヴナは腕の包帯を見つめた。
「……変わってる。でもいい感じ。」
「傷の治りが早くなる。」
レイヴナはうなずいた。
「ありがとう。」
彼女はより温かい目で朔継を見つめた。
「あなたは他の人とは違うわね。」
「よく言われる。」
レイヴナは小さく笑った。
---
朔継は混乱の後片付けを手伝った。
転覆した荷車を起こすのを手伝った。魔物の死体を道端に移動するのを手伝った。散乱した荷物を集めるのを手伝った。
何人かの人々が彼に感謝した。
何人かの人々はただ驚いた表情で彼を見つめた。
彼は気にしなかった。
約一時間後、状況は落ち着き始めた。
街の衛兵たちが現場を警戒するために到着した。数人の医療従事者が負傷者の手当てを始めた。
朔継は道端に立ち、暗くなり始めた夜空を見上げた。
レイヴナが彼のそばに来た。
「町に泊まるの?」
「しばらくな。」
「私もよ。ちょうど東の任務から戻ったところなの。」
彼女は好奇心に満ちた目で朔継を見つめた。
「長く滞在するの?」
「わからない。あと数日かもしれない。」
「それなら——」
レイヴナは手を差し伸べた。
「——もし仲間が必要なら、冒険者ギルドにいるわ。この辺りの任務をよく受けているの。」
朔継はその手を受け取った。
強い握手だった——武器と荒野に慣れた獣人の手。
「覚えておく。」
レイヴナは微笑んだ。
「また会いましょう、朔継。」
彼女は背を向けて歩き去った。
朔継はその背中を見送った。
初めての獣人との出会い。
そして彼女は……良さそうに見えた。
彼の想像とは違っていた。
彼は背を向けた。
町へと歩き始めた。
---
町の門で、エイリウェンが立っていた——銀色の髪が、いくつかの建物でまだ燃えている炎の光に揺れている。その目——エメラルドグリーンに金色の輪——が安堵の表情で朔継を見つめた。
「無事だったのですね。」
「お前もだ。」
「魔物が出たと聞きました。心配しました。」
「心配するな。俺は大丈夫だ。」
エイリウェンは安堵の息を吐いた。
「もしあなたが怪我をしたらどうしようかと。」
朔継は小さく微笑んだ。
「俺は怪我をしない。」
「わかっています。でもそれでも……」
彼女は首を振った。
「中に入りましょう。休む必要があります。」
朔継はうなずいた。
彼はエイリウェンに従って町の中へ入っていった。
---
【次章 第21章 — 「獣人の少女」へ続く】
朔継は町の門を通り抜けた。
背後では、エイリウェンが静かな足取りで従っている。
手の中には、戦闘の余韻がまだ残っている——振るわれた剣、倒れたオーガ、そしてレイヴナ——彼を恐れなかった獣人。
この世界は広い。
出会うべき人はたくさんいる。
学ぶべきことはたくさんある。
彼は小さく微笑んだ。
これは始まりに過ぎない。
---
【第21章へ続く……】




