第21章 — 「獣人の少女」
第21章 — 「獣人の少女」
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朔継は町へと続く道を歩いていた。
背後では、エイリウェン——今や本名を知ったエルフの少女——が静かな足取りで従っている。銀白色の髪が、道沿いに灯された松明の光に揺れている。エメラルドグリーンに金色の輪を持つその瞳は、警戒した面持ちで前方を見据えていた。
「本当に怪我はないのですか?」
朔継は首を振った。
「大丈夫だ。」
エイリウェンは息を吐いた。
「森から激しい音が聞こえました。もう少しで探しに行こうかと思っていました。」
「心配しなくていい。」
「わかっています。でも——」
彼女は言葉を飲み込んだ。
朔継は無理に聞き出そうとはしなかった。
二人は沈黙のまま歩いた。
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町の門に着いた時、周囲はまだ混乱していた。
数棟の建物が燃えていたが、火はすでに消し止められ始めている。衛兵たちが走り回り、負傷者の救助と周辺の警戒にあたっている。道端では、何組かの人々が虚ろな表情で地面に座り込んでいる——魔物の襲撃の被害者たちだ。
朔継は観察した。
この町はこれほどの大規模な襲撃には慣れていない。
東のダンジョンは確かに活性化している。
レイヴナの言う通りだ。
彼は人混みを通り抜け、泊まっている宿屋へ向かった。
しかしその途中で——
彼は一人の少女を見つけた。
獣人の少女だ。
彼女は転覆した荷車の陰で、道端に座り込んでいる。体は小柄だ——おそらく十五か十六歳。頭の上の金色がかった茶色の猫耳が、しょんぼりと垂れている。尻尾——長くてふわふわしている——は地面にだらりと伸びている。
服は汚れている。顔は埃と涙で濡れている。
手には布のぬいぐるみを握っている——古びて、何箇所か破れた人形だ。
朔継は立ち止まった。
その少女を見つめた。
少女も彼を見返す——大きな緑色の瞳が、恐怖と疲れに満ちている。
「……あなたは誰?」
声はか細い。ほとんど聞こえない。
朔継は答えなかった。
ただ彼女の前に膝をついた。
「俺は朔継だ。お前は一人か?」
少女は小さくうなずいた。
「……家族を……失いました。魔物が……襲ってきて、みんな……」
言葉は途切れた。
涙が頬を伝う。
朔継は何も言わなかった。
ただ彼女の隣に座った。
黙って。
寄り添って。
エイリウェンは後ろに立ち、優しい表情で二人を見守っていた。
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数分が経った。
少女がようやく口を開いた。
「……行く場所がありません。どこへ行けばいいのかわかりません。」
朔継はうなずいた。
「しばらく俺と一緒に来るか?」
少女は顔を上げた。
その瞳——緑色——が見開かれる。
「……本当ですか?」
「ここに置き去りにはしない。」
少女は彼を見つめた。
嘘を探した。
何も見つけられなかった。
「……ありがとうございます。」
朔継は立ち上がった。
手を差し伸べる。
少女はそれを受け取った。
その手は小さく——冷たく、震えている。
「名前は……ミレルです。」
「わかった、ミレル。行こう。」
彼は少女を連れて転覆した荷車から離れた。
エイリウェンが後ろからついてくる。
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彼らは宿屋に到着した。
太い白い髭の老人が、まだ机の後ろに座っている。彼は一行——朔継、エイリウェン、ミレル——を半開きの目で見つめた。
「……子供を連れてきたな。」
「家族を失ったんだ。」
老人は息を吐いた。
「魔物の襲撃か。今夜は多くの者が家族を失った。」
彼は首を振った。
「二階の突き当たりの部屋が空いてる。使っていい。」
「ありがとう。」
朔継はミレルを部屋へ連れていった。
部屋は小さかった——木のベッド、机、椅子。豪華ではないが、休むには十分だ。
ミレルはベッドの端に腰を下ろした。
ぬいぐるみをまだしっかりと握りしめている。
「……ご迷惑をおかけしてしまいます。」
「迷惑なんかじゃない。」
朔継は向かいの椅子に座った。
「ここで休んでいい。明日、これからのことを話そう。」
ミレルはうなずいた。
彼女はベッドに横たわった。
その目はまだ朔継を見つめている。
「……あなたは優しい人なんですね。」
朔継は小さく微笑んだ。
「正しいことをしただけだ。」
ミレルは目を閉じた。
数分と経たずに、彼女は眠りに落ちた。
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朔継は部屋を出た。
エイリウェンが廊下に立ち、読み取りにくい表情で彼を見つめている。
「本当にあの子を面倒見るつもりですか?」
「彼女には誰もいない。」
「わかっています。でも——」
エイリウェンは息を吐いた。
「——ここはあなたの世界ではありません。すべての人を救うことはできません。」
「わかっている。」
朔継はエイリウェンを見つめた。
「だが、一人は救える。」
エイリウェンは沈黙した。
そして——微笑んだ。
「……あなたは本当に変わった人ですね。」
「よく言われる。」
エイリウェンは小さく笑った。
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朔継は階段を下りた。
食堂には数人が座っていた——魔物の襲撃から逃れてきた避難者たちだ。部屋の隅には、もう一人の獣人の少女が一人で座っている。
ミレルではない。
別の少女だ。
より年上に見える。
暗い灰色の髪。頭の上の狼の耳。金色の瞳。
レイヴナだ。
彼女は朔継が入ってくるのを見つめた。
「あなた。」
「レイヴナ。」
「ここに泊まってるの?」
「しばらくな。」
レイヴナはうなずいた。
「座って。話したいことがある。」
朔継は向かいに座った。
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レイヴナは鋭い金色の瞳で彼を見つめた。
「東のダンジョンのことを知ってる?」
「何人かの者から聞いた。」
「あのダンジョンが活性化してる。あの辺りで魔物が頻繁に現れるようになってる。今夜の襲撃——あれは始まりに過ぎない。」
朔継はうなずいた。
「どうすればいい?」
「ギルドが冒険者を派遣して調査する予定だ。でも——」
レイヴナは息を吐いた。
——人手が足りない。今夜の襲撃で多くの冒険者が負傷したり、命を落としたりした。」
彼女は朔継を見つめた。
「あなたは強い。オーガを倒すところを見た。あなたの力が必要だ。」
朔継は答えなかった。
ただレイヴナを見つめた。
「俺に加われと?」
「協力を頼んでいる。ギルドの一員としてじゃない。ただ——信頼できる人間として。」
レイヴナは真剣な表情で見つめた。
「世界を救えとは言わない。ただ、助けを必要としている人々を助けてほしい。」
朔継は沈黙した。
そして——うなずいた。
「わかった。協力しよう。」
レイヴナは微笑んだ。
口元に小さな牙を見せる、その微笑み。
「ありがとう。」
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【次章 第22章 — 「三人の旅」へ続く】
朔継は宿屋の食堂に座っていた。
目の前では、レイヴナが金色の瞳で彼を見つめている。
二階では、エイリウェンとミレルが休んでいる。
明日——彼らは旅立つ。
東のダンジョンへの旅。
すべてを変える旅。
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【第22章へ続く……】




