第19章 — 「銃声」
第19章 — 「銃声」
---
朔継は町を後にして歩いていた。
空の色が変わり始めている——明るい青から黄金のオレンジへと。太陽は西に傾き、前方の土の道に長い影を落としている。
彼は急いではいなかった。
足取りは静かで、一定している。散歩をしている人のように。
しかし彼の思考は静かではなかった。
魔剣は注目を集める。
あの老兵は何かを知っている。
もしかすると他の者も知っているかもしれない。
自分が何を持っているか、もっと慎重になるべきだ。
そしてもう一つ、試したいことがあった。
M16。
近代的な銃火器。
ゲネシスヴァが贈り物として与えたもの。
この世界ではまだ使ったことがない。
今日——試してみよう。
---
約三十分歩いた後、彼は森の中の開けた場所に到着した。
広い草原で、遠くに木々に囲まれている。人の気配はない。大きな動物もいない。ただ風と、揺れる葉の音だけがある。
完璧な場所だ。
朔継は草原の中央で立ち止まった。
もう一度周囲を見渡す。
誰もいない。
安全だ。
彼は手を上げた。
収納から——M16を取り出した。
---
銃が手の中に現れた。
冷たい金属。確かな重み。効率的で致命的なデザイン。
朔継はそれを見つめた。
地球では、銃火器に触れたことはなかった。握ったこともない。使ったこともない。映画やニュースやインターネットで見ただけだ。
しかし今——この手の中で、この世界で——その銃は違って感じられた。
これは殺人道具だ。
これは故郷の世界の技術だ。
これはこの世界が持っていないものだ。
彼は鑑定+を起動した。
【鑑定+】
対象:M16ライフル
解析:
・分類:銃火器 — アサルトライフル
・原産地:地球/アメリカ合衆国
・口径:5.56×45mm NATO
・装弾数:30発
・機構:半自動/バースト/フルオート
・改修:魔力適合弾薬システム — 弾薬は魔力から生成
・状態:新品 — 未使用
・備考:この武器はこの世界では知られていない。その音と効果は注目を集める。
朔継はその情報を読んだ。
弾薬は魔力から生成される。
地球から弾丸を召喚する必要はない。
この銃は際限なく使える。
彼は銃を掲げた。
手の中の重みを感じる。
グリップの位置を調整する。
遠くの木を狙う——立っている場所から約五十メートル先。
初めてだ。
銃を撃ったことは一度もない。
彼は引き金を引いた。
---
ドン——!
鋭く大きな爆発音が森の静寂を裂いた。
鳥たちが驚いて木々から飛び立つ。小さな動物たちが逃げ去る。その音は木々の間にこだました——晴れた日の真昼に落ちる雷のように。
朔継は肩に衝撃を感じた。
反動だ。
強い。
しかし彼の身体——ゲネシスヴァが与えた新しい身体——はびくともしなかった。彼は直立したままで、銃は前方を向いている。
彼は遠くの木を見た。
その幹に、小さな穴が開いている——狙った場所に正確に。
命中した。
初弾が標的に当たった。
彼は銃を下ろした。
真剣な表情でそれを見つめた。
これは魔法とは異なる力だ。
魔法——思考で制御できる。
この銃——身体で制御しなければならない。
どちらも練習が必要だ。
どちらも技術が必要だ。
彼は再び銃を掲げた。
同じ木を狙う。
引き金を引く。
ドン——!
二発目が一発目の隣に命中した。
ドン——!
三発目。
ドン——!
四発目。
朔継は止まった。
マガジンを確認する。
まだ満タンだ。
魔力の弾薬は尽きることがない。
彼はマガジンを再装着した。
ドン——!
ドン——!
ドン——!
彼は撃ち続けた。
一発ごとに、何かを学んだ。
反動。
精度。
呼吸制御。
姿勢。
すべてが重要だ。
約二十発撃った後、彼は止めた。
遠くの木は穴だらけだ——いくつかは中心近くに、いくつかは横に散らばっている。
精度はまだ完璧ではない。
しかし初めてとしては——十分に良い。
彼は銃を下ろした。
真剣な表情でそれを見つめた。
この銃は効果的だ。
この銃は致命的だ。
この銃は——危険だ。
人の近くで使えば、間違った注目を集める。
緊急時のために取っておくべきだ。
彼はM16を収納にしまった。
---
しかし振り返ろうとしたとき——
彼は何かを聞いた。
遠くの音。
鳥の音ではない。
風の音でもない。
音——足音。
重い足音。
何かが来ている。
大きな何か。
朔継は動かなかった。
草原の中央に立ち尽くし、耳を澄ませた。
足音が近づいてくる。
草原の東側の木々の間から、一体の魔物が現れた。
身長は約二メートル——普通の人間よりはるかに高い。筋肉質な体に、岩のように粗い濃い緑色の皮膚。その目——黄色い——が食欲のこもった表情で朔継を見つめている。
手には巨大な石の斧を持っている——以前遭遇したホブゴブリンの斧よりもはるかに大きい。
オーガ。
【鑑定+】
対象:オーガ — 魔物
レベル:18
HP:350/350
MP:20/20
筋力:55
耐久:40
敏捷:15
知力:8
属性適性:土(耐性)
魔核:有り — 大型(推定価値:高)
備考:オーガは中級の魔物である。ゴブリンやホブゴブリンよりも強い。物理攻撃は非常に強力。
レベル18。
以前遭遇したゴブリンよりはるかに強い。
朔継は慌てなかった。
ただ観察した。
オーガは銃声を聞いて来たのだ。
その音が彼の注意を引いた。
今、彼はそれに対処しなければならない。
---
オーガが唸った。
深く響く声——その胸の奥から発せられる轟音のように。
「グルルルル……!」
石の斧を掲げる。
朔継に向かって歩み寄る。
一歩ごとに地面が震える。
朔継は退かなかった。
その場に立ったまま。
剣。
M16。
魔法。
多くの選択肢があった。
彼は剣を選んだ。
先ほど偽装したばかりの剣だ。
---
彼は鞘から剣を抜いた。
刃が夕日を受けて輝く——鍛冶屋が追加した層では完全に隠せない、かすかな白い光。
オーガが立ち止まった。
その目——黄色い——が剣を見つめた。
再び唸る——今度は異なる調子で。警戒の調子だ。
彼は何かを感じた。
剣の力を感じた。
しかし彼は退かなかった。
走り出した。
石の斧が頭上高く掲げられ、振り下ろす準備ができている。
朔継は動かなかった。
待った。
斧が振り下ろされる。
朔継は横に一歩ずれた。
斧は彼の横の地面に突き刺さった——地面を震わせる衝撃。
朔継は剣を振り抜いた。
---
一振り。
剣は目に見えない速度で空気を切り裂いた。
オーガが止まった。
その目——黄色い——が見開かれる。
動こうとする。
できない。
その身体は——真っ二つになっていた。
オーガの身体が地面に倒れる——肩から腰までまっすぐに切断されている。
血はない。
抵抗もない。
ただ倒れる身体だけだ。
朔継はその上に立っていた。
落ち着いた表情でオーガの死体を見つめた。
中級の魔物。
一振りで死んだ。
この剣は——強すぎる。
彼は膝をついた。
オーガの死体から魔核を取り出した。
濃い緑色の大きな結晶——ゴブリンの魔核よりも明るい輝き。
高価値だ。
売れるかもしれない。
彼はそれを収納にしまった。
---
朔継は立ち上がった。
地面に横たわるオーガの死体を見つめた。
銃声は魔物を引き寄せる。
集落の近くでは使えない。
しかし遠くの場所で——誰もいない場所なら——
使える。
彼は剣を鞘に収めた。
背を向ける。
町へと歩き始めた。
---
【次章 第20章 — 「森の中の襲撃」へ続く】
朔継は町へと戻る道を歩いていた。
背後には、オーガが地面に横たわっている——一振りで死んだ魔物が。
しかし前方——町へと続く道——彼は何かを見た。
煙。
炎。
悲鳴。
町が襲われている。
彼は足を速めた。
---
【第20章へ続く……】




